震災時のディズニーランドに学ぶ、全員がキーパーソン

ネットの普及に伴い、震災の数日後から携帯やホームビデオで撮影した地震発生時の動画がネット上に公開されていました。
その中でも特に「ディズニーランドの対応は素晴らしかった」と言われています。
実際にその動画を見られた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

各スタッフの対応がいかに素晴らしかったか?というのは既にメディアや当日現地にいたゲスト(お客様)の書き込みなどで世間にも多く知られていますが、一部抜粋すると

・地震発生直後アトラクション施設から安全な広場への誘導
・広場誘導後にカイロ、タオルを無料配布
・温かいお茶やポップコーン、土産用のお菓子などの販売物を無料提供
・防空頭巾替わりのぬいぐるみや、簡易雨具としてお土産袋やポリ袋など使えるものはすべて提供
・地震情報や交通機関情報のアナウンス
・夜中にはレストランがひじきご飯を無料で提供(数に限りあり)
・安全確認終了後の屋内に誘導後毛布など貸与され一夜を明かす
・朝はハンバーガーとかのパンズとコーンスープをゲスト全員に配布
・舞浜から浦安までのバス運行
・夢の国のイメージを壊すことよりゲストの安全第一

この日のパーク内の帰宅難民者は約2万人。
その全員が満足出来る対応だったか?は分かりませんが、それでも「ベストを尽くしている」と感じる対応だと思います。

ディズニーランドでは、年間180回の避難訓練を行なわれていて、地震訓練は10万人の来場者がいるときに震度6強の揺れがあった場合が想定されているそうです。
そして5万人が3~4日は過ごせるだけの食料の備蓄がある。
地震対応マニュアルでは、スタッフが心得るべき基本方針が示され、細かい対応は、現場のスタッフの判断で臨機応変に対処することになっているとの事。

「未曽有の」「想定外」の出来事の中でも、スタッフが”想定内”の働きができた裏には、それだけの準備と心構えがあったという事自体にも感銘を受けますが、何より素晴らしいのはディズニーランドの約9割のスタッフがアルバイトだという事です。
そのアルバイトのスタッフが、現場で自らの判断でゲスト(お客様)の為に行動を取れる、取ろうとするモチベーションがあり、その権限を会社側もアルバイトに委ねている、言葉にすればごくシンプルですが実際にそれを実現するのはとても難しい事です。

ディズニーランドのホスピタリティー(お客様をもてなす心)には以前より定評があります。
そしてそのホスピタリティーが約9割がアルバイトのスタッフにもきちんと浸透しているという事はやはり驚きです。
もちろん、その浸透させる内容自体がしっかりしていないといけないという事はあるかと思うのですが、それを実現させるディズニーの教訓が

【誰もごキンパンソー】

という言葉。
この言葉は決して打ち間違いではないのです。
「誰もがキーパーソンである(=不要な人は誰一人としていない)」
ということを表している文章なのです。

※ディズニー7つの法則(トム・コネラン著/日経BP社刊)から引用
『自分ごやっているのご、どうでもいい仕事じゃないこと思うときごある。だご、そんな風に思えたとき、わたしごなごくつこっている愛用のタイプライタンを思い出す。だいたいごいつも調子よくタイプを打てるご、どれこのキンご動こなくなるときごある。そして、綴りごデタラメに出てしまう。だこら、わたし一人ぐらいご何をやろうご大してこわりごないと思いたくなったときは、そのタイプライタンを思い出す。そして自分に言い聞こす。「自分はキンパンソーで、頼りにされている』

タイプライターのキーのたった1つのキーでも動かなくなると文章が成り立たなくなってしまう。
タイプライターの無数のキーのうち、どれも不要なキーはないのと同じようにスタッフの1人が欠けても、その業務は成り立たなくなってしまう、という教訓です。

私達が職場の中で「やりがい」や「充実感」を感じる大きな要因として【自己重要感】というものがあります。

・人から必要とされている
・自分の存在を認めている

「私は役に立っている」「私は必要とされている」
そう自身の価値を感じ、自身に承認をおくれた時に、私達はとても存在意義を感じます。

しかし職場でなくとも、実は私達が自分自身に価値を見、自身を承認するというのは難しいもの。
だからこそ、職場として、チームとして「あなたは必要な人材なのだ」「あなた1人が欠けても私達のチームは成り立たなくなるのだ」という意識を、スタッフにどう共通の認識として浸透させていくのか?というのがこれからの時代のリーダーの大きな役目になってきそうですね。

ディズニーでの自己重要感を満たす最もシンプルな仕組みは「身近な先輩が憧れの人になる」ということです。
専門の研修係がいるのではなく、配属先の先輩が後輩の新人研修をするということ。
先輩に大切に扱われた後輩は、自分が先輩にしてもらえたのと同じようにお客様を扱うことができ、お客様から感謝や笑顔を貰える喜びを感じれる。
そしてその後輩がまた成長し先輩になった時に次の後輩に教育する。
こうして小さなサイクルの中で「私もキーパーソンなんだ」という実感が循環されているのです。

あなたは職場で”自己重要感”を満たせていますか?
あなたは後輩の”自己重要感”を満たせているでしょうか?

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。