「願いはかなう」というお話

心理学や様々なヒーリングの世界では、「願いはかなう」ということが言われます。
私も確かにそう思います。
ただ、何でもかんでもかなう、ということではありません。
願いがかなうという意味は、やみくもに夢を見たり、願いを持ったりすればそれだけでかなうという話ではありません。例えば、「新幹線より速く走りたい」という願いを持ったとします。
これはかなうでしょうか?
人間の身体能力のみから言えば無理な話ですね。
しかし、将来「走る」という側面でロボットスーツのような物が開発されて、それを着用すれば人間の身体能力をアシストしてくれれば可能となるかも知れません。
実際、既に重量物を持ち上げるという側面では身体に装着して人間の能力をアシストするスーツが販売されています。
人間の身体能力をアシストしてくれる物を用いて実現したとして、夢や願いがかなったと捉えるのか、それとも「本来の人間の力で」と限定して、かなっていないと捉えるのかによって「夢はかなう」「願いはかなう」の話は変わってきます。
そもそも、「新幹線より速く走りたい」という思いはどこからきているのか、その根本的な目的が何かにより異なってくるのです。
「人間本来の身体能力への挑戦」が目的であれば、夢はかなわないかも知れません。
しかし「新幹線と並走して乗客に手を振りたい」という目的であれば、アシストスーツを着用して走っても夢はかなうことになるのです。ここで少し卑近なお話を例にとってみましょう。
カウンセリングの中で、よくあるご相談に恋愛問題があります。
彼とお付き合いをしていたけれど、別れ話になって、彼と何とかやり直したいというご相談をお受けすることがあります。
詳しい状況をお伺いすると、もうかなり関係性が破たんしていて難しいと感じる場合もあるのですが、クライアントさんからすれば「彼」との関係性を改善したいという限定がどうしてもついているのですね。
これは、心情的には痛いぐらいよくわかります。彼と楽しく過ごした歳月の思い出や得られた安心感や親密感、ときめきなど多くの事が脳裏をよぎりますね。
しかし、そもそもクライアントさんが本来得たいものは何かと考えると、必ずしも「彼」との関係性である必然性は無いのかも知れません。
クライアントさんが感じたい感情は2つに大別されると考えられるのですが、1つはお付き合いする事で感じられた安心感や親密感、ときめきといった心を温かくする感情で、もう1つは彼との関係性でうまくできなかった失敗感や罪悪感、無価値感、無力感という心を冷たくする感情です。
この心を冷たくする感情を取り除くには、「彼」との関係性を改善してその状況を打ち消すしかないということになって「彼」という限定した対象に固執することになるのですね。
本来の目的は、心を温かくする感情を得る事だったはずなのですが、「彼」に固執することによってその目的が心を冷たくする感情を打ち消すことに変わってしまい、「彼」との関係性を改善するという、「いばらの道」を歩もうとするのですね。
そうすると、得たいものを得られずにますます辛く困難な状況に自身を追い込んでしまうということもよくあることなのです。
これは、「彼」という手段(相手)に固執することにより、本来の「願い」であるはずの温かい感情を得るという目的が達せられないということになります。

このようなケースでは、本来の目的に立ち返って、温かい感情を得られるような関係性を築ける新しい彼をゲットすること、そのために自身の心をブラシュアップしていくことが目的にかなっているのではないでしょうか。

夢や願いはその目的や得たい感情から見てみると、かなえられることはとても多いものです。

例えば、お金持ちになりたい、いい会社に就職したい、出世したい、こんな職業に就きたい、パートナーを得たいなど私たちは多くの願いを持ちます。
それは、手段の限定を取り除き、どんな感情を得たいからなのかという本来の目的に立ち返って考えてみれば、かなえられることはとても多いものです。

さて、今回は触れませんでしたが、願いをかなえることを阻害する心理的な奥深い問題も私たちの心の中には横たわっていることがあります。
これらの罠にも注意が必要ですが、このお話はまた機会があればさせていただきたいと思います。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。