ロマンス再考 〜シンプル自己表現〜

私は、10年間の結婚生活の末にピリオドを打ちました。
離婚した今でも、時々、ふとした瞬間に、いろんなことを思い出します。
そして、今だからこそ、見えるものというものがあります。
結婚して、最初のうちは、仲むつまじく楽しい時期でした。
しかし、夫の仕事はどんどん忙しいものになってゆき、次第に会話が少なく
なっていきました。


それでも、一緒に旅行に行ったり、週末にはお酒を一緒に飲んだりして、
それなりに夫婦の生活をしていたと思います。
しかし、水面下では深刻な問題を抱えていました。
セックスレスです。
そのことを見ないように、お互いに、何かを補おうと必死だったと思います。
彼は、仕事人間で、働いて働いて、出世をめざします。
(自分のためが大きかったのでしょうが)
その分、帰宅時間が遅くなります。
週末はお酒を飲んで、先に寝てしまいます。
私は、仕事と家事、さらにお稽古事で、夫の帰りが遅いことを紛らわして、
なんとか表面の穏やかさを保っていました。
その一方で、お酒の量ばかりが増えていきました。
結婚4、5年経ったころには、飲みすぎるのが常で、毎回のように、嘔吐して
いました。
そうなっても、表面上は穏やかだったんです。
毎週、一緒に買い物に行って、週末には一緒にキッチンに立って。
やがて、ゆるやかに曲がり角を曲がり始めます。
私の退職。
彼の浮気。
私はどこかで、彼が外で欲求を満たしていたことを知っていました。
やんわりと、そのことを彼に問い正してみても、彼は否定するばかりでした。
事実はわかっていたのに、信じたくない気持ちもありました。
どうしたらいいのかもわかりませんでした。
このとき、本当は、私はさびしかったんです。
でも、そのことをどんなに訴えても、彼は離れていくばかりでした。
逆の立場に立ては、いわずもがなですね。
しかし、私の主張はエスカレートしていきました。
一方で、彼もさびしかったのだと思います。
このとき、私もまた、彼を見ていなかったのですから。
次第に、私は、こんなにしてあげているのに、と、文句が多くなり、
グチが多くなり、彼にもっとかまって欲しいと詰め寄るようになりました。
帰宅するたびに、怒りをぶつけてばかりではいけないと思い、無関心にも
なりました。
彼の世話の手を抜くようになりました。
一方で、彼も、私の文句から逃れるために、帰宅時間が遅くなりました。
どんどん、文句はエスカレートするばかり。
距離はどんどん離れるばかり……。
悪循環が最高に達したとき、ついに夫の暴力と浮気、そして、「別れて欲しい」
という三行半をつきつけられたのでした。
今にして思えば、私はいえなかったんです。
もっと、夫婦の距離を縮めたいと。
私を愛して欲しいと。
自分のことをできそこないの妻だと思っていましたから。
自信がありませんでした。
いえない代わりに、お願いする代わりに、こんなにしてあげているのだから、
こんなにがまんしたのだから、あなたがしてくれるのは当たり前でしょうと、
グチや文句にすりかえてしまっていました。
愛して欲しいという代わりに、私のことを愛してみなさいよ、と挑戦的な態度
だったと思います。
かわいくなかったと思います。
(反省しているはずの今でも変わらないんですが ^^;)
夫婦だからこそ、怖いことってあります。
正面切って頼んで、もし、否定されたら……。
どこに行けばいいのでしょうか。
考えたら、夫婦なのに、へんですよね。
また、夫婦なのに、こんなことを頼むのは、屈辱的だったり、照れくさかったり。
そんな思いがジャマをする分、夫婦だからアタリマエでしょう、という態度に
なってしまうんですね。
分かってくれて当たり前。
もっと、話し合って当たり前。
愛してくれて当然。
そして、そのことすら、分かってくれているはずだ、と思ってしまうんです。
あのとき、もっと、自分を見つめて、勇気をもってこの態度で望めたら、
あんなにお互いを傷つけることはなかったのかもしれないとも思います。
愛して欲しい、というのは、言葉だけではありません。
相手が愛せるような態度、愛しやすいような振る舞い、そして、言葉。
あなたは、パートナーに、自分を愛させていますか?
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