ロマンス再考 その3 〜パートナーシップがもたらすもの〜

成熟したロマンス、というとどんな感じを思い描くでしょうか。
夫婦生活も長くなると、「あ・うん」の呼吸というように、どんなときに
どんなことをするか、決まってきますね。
朝は何時からご飯で、和食か洋食か、つけるおかずは何品か。
当然のように、決まった時間に起きて、子供のお弁当を作る、奥さんの作っ
たものを食べて、決まった時間に家を出て。
何かしらのルールができたりします。
どんな話をすれば、相手がどんな反応を返すのかもだんだんわかってきます
よね。
以前はどうしてこうなの!、と思っていたけれど、だんだん「こんなものよ」
「このひとはこういうひと」みたいな考えに変わってきたりもします。


もちろん、このことが円満の秘訣であることも事実です。
けれども、ふとした瞬間に、さびしく感じることはないですか?
カウンセリングをしている最中に、ふと、長い間踏み固められた夫婦のつな
がりのなかに、どこか「あきらめ」のようなお話を聞くことが少なくありま
せん。
ところで、ほとんどの夫婦が「間違った理由」で結婚する、ということを
ご存知でしょうか(笑)
思い出して欲しいのです。
結婚したときに、どんなところが決め手になったでしょうか。
「この人なら、ずっと大切にしてくれると思った」
「料理が上手だから」
「家事も手伝ってくれそう」
「自分を頼りにしてくれるから」
私たちがパートナーに望む、「〜してくれること」というのは、過去にあなた
が満たされなかったニーズから来ています。
ニーズというのは、誰しもが持つ欲求のことです。
小さかったころ、私たちが望むものはただひとつ、「愛と親密感」です。
パパに愛されたい、ママに愛されたい、これが子供のもつ欲求のすべてです。
もっと一緒に遊んで欲しかった、ただそばにいて欲しかった、などという
願いです。
けれども、大切な子供たちを育てるためには生活があります。
子供たちを守るために、愛するがゆえに、パパはお仕事、ママも家事で忙し
くていつもいつもかまうことができません。
ここで、もらえなかったという痛みが生まれます。
こうして大人になり、私たちは、子供のころにもらえなかったものを、パー
トナーに求めるようになります。
昔、親に満たしてもらえなかった、もっと一緒にいたかった、そばにいて欲
しかった、たくさんお話をしたかった、などの欲求をパートナーに求めるの
です。
恋愛の初期のころは、それでも相手のためにいろいろしてあげたい、という
欲求もありますから、ラブラブのロマンスの状態です。
けれども、パートナーに対してもつニーズは、過去にもらえなかったという
痛みを伴っています。
自分のことを愛しているはずの両親からもらえなくて、パートナーからもも
らえなかったとしたら、いったい誰がくれるというのでしょうか。
そんな心理から、なんとしても手に入れたいという欲求に変わります。
あれほど愛を誓った相手なのに、いつしか、奪い合いになっています。
「お前は俺のことを放ったらかしだった」
「あなたは私のことなんて分かろうとしなかった」
けれども、ここでは、欲しがるのですが受け取ることができません。
奥さんが、くたくたになりながらもだんなさんのご飯を作ったり洗濯をして
いるのに、「不満そうにしている」「子供よりも後回し」と理由をつけて、
してくれたことを受け取れません。
だんなさんがたまに早く帰宅しても、「家にいてもすることないでしょ」
「疲れたしか言わないんだから。私のことも分かってよ」と素直になれま
せん。
はじめは、「これは間違いだったんだ」と思い、腹も立ちますが、そのうち
「こんなもの」というあきらめに変わってきます。
慢性的な問題なので、表面的にはおだやかです。
けれども、その下にあるのは、まぎれもなく義務や役割、男性(女性)である
ということからくるタイプの自己嫌悪、ニーズの奪い合いという競争なんで
す。
さらに、次に進む恐れというものがでてきます。
「こんなもの」、ということで自分を納得させます。
これは、夫婦生活が長くなってくるときに出てくる罠のひとつです。
たいていの夫婦はここで終わってしまいます。
けれども、考えてみてほしいのです。
このパートナーと、「この燃え尽きた感じのまま終わるのだろうか」。
そんな疑問を感じたことはありませんか。
そんなときに感じているのは、パートナーに魅力をまったく感じない、異性
として見られない、生活そのものがまったく味気のないものになっていると
いうことではないでしょうか。
誰しもが安定を求めていますが、これではワクワク感も刺激もなくなります。
常に我慢している状態でもありますから、ちょっとしたきっかけがあれば、
浮気に走ったり、ワーカホリックになったり、病気になってしまいます。
こうした問題は、自分が意識していないところから派生してしまいますから、
本当の原因か何であるか、あまり自覚がないのです。
次のステップでは「親よりも自分を大切にしてくれる」という間違った動機
で一緒になったけれど、正しい理由でもう一度同じパートナーを選択する、
ということです。
正しい理由、というのは、相手を愛するということ。
満たされなかった自分の欲求の痛みよりも、相手を継続的に見続けるという
こと。
そして、あなたが欲しかったことを、自分が手にいれるよりも先に、パート
ナーに与えてみませんか?
あなたが、子供のころ、親から欲しかったものは何でしょうか。
もっと一緒にいて欲しかったことでしょうか?
もっと自分を見て欲しかったということでしょうか?
もっとコミュニケーションを楽しみたかったことかもしれません。
想像してみてほしいのです。
今までは、静かに綱引きをしていたようなものです。
(この、静かにというところがミソです)
片方がやめることで、一瞬バランスが崩れますが、まずは体制が立て直され
ます。
(これも、すぐに反応がでるというよりは、じわじわと反応があります。静か
な綱引きですから)
そして、お互いに埋まらなかったハートの喪失の、まずは片方を埋めるので
す。
どちらも埋まらない競争を続けるよりはいいのです。
相手の欲求を先に満たすことで、今まで不毛だと感じていた関係性に変化を
もたらします。
どちらも不足していたのが、充足しはじめたのですから。
再び、潤いをもって流れ出すのです。
そして、大きな恩恵がやってきます。
あなたが想像もしなかったものがもたらされるのです。
このままで終わらないために。
もう、古くなってしまった関係性を手放して、新しく蘇らせてみませんか?
まずは、あなたからの一歩ですよ。
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