人をどう育てていくか~自発的行動の引き出し方~

自発的行動を引き出す方法について、心理学の基礎的な理論として、“オペラント条件付け”と呼ばれるものがあります。

オペラント条件付けとは、大雑把に言ってしまえば、何らかメリットやデメリットがあると、そのメリットをどうすれば受けられるか、デメリットをどうすれば受けなくて済むかという学習をするという事です。

オペラント条件付けには4つのパターンがあり、行動の結果として、好ましい結果(ご褒美など)を与えたり、好ましくない結果を取り除いたり、好ましい結果を取り除いたり、好ましくない結果を与えたりします。

前の2つは結果を得る行動が増加し、後の2つは結果を得る行動が減少します。
これらを組み合わせていく事によって、学習を進める事ができるという考え方です。

◎リクエストを頂きました◎
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いつも楽しくメルマガを拝見しています。
先日、テレビで元プロ野球選手が子育てについて話されていました。

その方のご家庭では、運動会で1等になったり、学校で賞を取ったりした時は、その子だけ、特別扱いでお祝いをするそうです。(ステーキを厚くするとか)。

いい成績を収めると、こんないい思いができるんだぞということを子供の頃から教えておくそうです。
社会の成功者の中にも何かを成し遂げた自分にご褒美を与えるようにしてると、脳は良いパフォーマンスをするようになるという人がいます。

でも、この育て方だと、ありのままの(失敗した)あなたはダメということになりませんか?
50m走を全力で走りきり、順位とは無関係に両親に褒められた子は自己肯定感が強くなるような気がしますが、どうなんでしょう。
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人を育てるという事は、つくづく難しい事だと思います。

どう接して、どんな風に育てれば、その人が伸びるのか、成長するかは育てられる人にもよりますし、また、育てる側の物の見方や考え方、感じ方、また持っているスキルも影響してきます。

子供の立場から見て親の愛情を感じるのはどのような時かという、とある調査があって、“褒められたとき”という子供たちがいる反面、“叱られたとき”と答えた子供たちもいます。

正に、“これが正解”という育て方は無いのではないかと思います。

さて、心理学では、学び=学習の基礎的な理論として、“オペラント条件付け”と呼ばれるものがあります。

オペラントとは、“自発的な”と言う意味で、誰から強制されることなく、正に自発的に学ぶというものです。

オペラント条件付けとは、大雑把に言ってしまえば、何らかメリットやデメリットがあると、そのメリットをどうすれば受けられるか、デメリットをどうすれば受けなくて済むかという学習をするという事です。

例えば、飼育箱の中に押すと餌の出る仕掛けを作り、その中にマウスを入れます。
マウスは飼育箱の中で動き回り、ある時偶然その仕掛けを押します。

そうすると餌が出てきてマウスはそれを食べる事ができます。
その偶然が何回か重なると、マウスは自発的にその仕掛けを押して餌を獲得するようになります。
マウスはその仕掛けを押すと餌が手に入るという事を学習したのですね。

この仕掛けを押すという自発的な行動が強化されたのは、餌が獲得できるというご褒美を伴ったからです。
オペラント条件付けの学習には4つのパターンがあります。

①行動の結果として、好ましい結果を与える・・・・・行動頻度が増加
②行動の結果として、好ましくない結果を取り除く・・行動頻度が増加
③行動の結果として、好ましい結果を取り除く・・・・行動頻度が減少
④行動の結果として、好ましくない結果を与える・・・行動頻度が減少

①は先ほどのマウスが仕掛けを押すと餌を獲得する場合です。②は、例えばいつもお手伝いとして課している仕事(掃除など)をご褒美として免除するというような事柄です。③は、例えばいつも与えているおやつを罰として与えないというような事柄です。④は、例えば罰としてトイレ掃除をさせるというような事柄です。

頂いたリクエストでは、“運動会で1等になったり、学校で賞を取ったりした時は、その子だけ、特別扱いでお祝いをするそうです。(ステーキを厚くするとか)”という、①の行動の結果として好ましい結果を与える方法について、“でも、この育て方だと、ありのままの(失敗した)あなたはダメということになりませんか?”という問いかけをいただきました。

確かに、ご褒美を与えられれば「よし、また頑張るぞ!」という気持ちになりますが、リクエストにお書きいただいているように自分なりの全力で頑張ったけど入賞できなかった子供は「頑張ったけどできない私は・・・」という気持ちになるかもしれませんね。

しかし、ご褒美は何も特定の分野の競争の結果に対してだけ与えるものではないと思うのです。
人を褒め、認めるポイントは、様々なところにあります。

それをどう見つけ、認めてあげるのか、そこをどう伸ばしてあげようとするのかにより、ご褒美の与え方は変わってくるように思います。

例えば、兄の誕生日には兄が特別扱いされ、弟の誕生日には弟が特別扱いされるように、特別扱いはあってもいいと思います。

しかし、それぞれの誕生日が異なるように、異なる分野や内容で、承認してあげる事が必要なのではないでしょうか。

そうすれば、それぞれが得意な分野で自己肯定感を育んでいけるのではないかと思います。

さて、オペラント条件付けの理論を用いた学習に関して教育心理学の分野を始めとして、①~④のどれを使うのが効果的かという議論があります。しかし、私は④を除いて状況に応じた組み合わせを行っていく方法が、一番効果が現れるのではないかと思います。

なぜならば、④の方法は感情的にネガティブな側面を残す可能性があり、また、モチベーションを下げる方向に働くことが多いと考えられるからです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。