怒りの声を聞くとダメージを受ける 〜面前DVの影響からの脱出〜

面前DVの影響からの脱出

自分が怒られていなくても怒りの声を聞くだけでダメージを受けるC子さん。自分が怒られてなければさほど気にならない人もいれば、そうじゃない人もいます。この違いはなんなのかを探っていくとC子さんには面前DVという虐待のご経験がありその影響が怒りの声を苦手としていることがわかりました。

■自分が怒られてなくても男性の怒っている声が怖い

C子さんは、男性の怒っている声を聞くのがとても怖いという方でした。

例えば男性の上司がC子さんにではなく同僚を怒っていたとします。
C子さんは直接怒られてはいないのですが、怒気をはらんだ声を聞くと、C子さんは萎縮してしまうとのことでした。
そして、怒気をはらんだ声を耳にした日は心が疲れてしまうとのことでした。

自分が直接怒られていなくても男性の怒っている声を聞くとダメージを受けてしまうわけです。

怒気をはらむ声が苦手ということもあり彼氏とケンカができません。

口にするとケンカになるかもしれないことは飲み込み、我慢して、なるべく争いにならないようにします。
言ったところでケンカにはならないかもしなくとも、万が一でも怒らせないように神経を使うとのことでした。

過度の相手を怒らせないようにという思いは、言いたいことを言うことの枷になっていました。
言いたいことは言えず、自分の心の中に飲み込むことが多いそうです。

それは彼氏に対してだけではなく、友達との関係でも、職場でもです。

怒っている声が心地良い人はいないかもしれませんが、人によっては自分が怒られていなければさほどストレスにならない人もいます。
逆にC子さんのように、自分が怒られていなくても怒気をはらんだ声を聞くだけでもストレスになる人もいます。
彼氏が怒ることがさほど気にせず意見を言える人もいれば、怒らすことに関してすごく怖がる人もいます。

C子さんはなぜ男性の怒ることに関して人一倍ストレスになるのか、人一倍怖がってしまうのかをカウンセリングで探っていきました。

■面前DV(ドメスティック・バイオレンス)

カウンセリングで要因を探っていくと虐待の話がでてきました。

お父さんが子どもの前でお母さんに暴力を振るうという面前DV(ドメスティック・バイオレンス)をする人だったそうです。
お父さんが逆上すると子どもの目の前でお母さんを罵倒しボコボコに殴る人だったそうです。

この面前DVは心理的虐待にあたります。

C子さんは罵倒され、殴られているお母さんを守る為にお父さんとお母さんの間に割って入ったこともあったそうです。

「割ってはいるのは怖くはなかったですか?」と聞くと「怖かったです」という返事が帰ってきました。
怖かったですという言葉を出すとC子さんの目から涙がでてきました。

涙がでてくるというのは、まだ癒えていない感情が残っている一つの記しです。
C子さんは子どもの頃の虐待の体験による癒えていない思いが残っていたようでした。

お父さんがDVをするのを見るのは怖いし、お母さんがつらい思いをしているのを見ると子どもつらい気持ちになります。
その思いはケアーを受けていたのかをお聞きするとケアーはされていないとのことでした。

お母さんは自分がつらい思いをしていることに耐えるのにいっぱいいっぱいで、子どもがDVを見て傷ついているということまで意識がまわらなかったんだと思うとC子さんは語ってくれました。

じゃあ、その怖かった思い、つらかった思いは、どうしていたのかを尋ねると一人で抱えていたとのことでした。
祖父母や、親戚などにもこのことは言えなかったとのことです。

子どもの頃にケアーを受けていないので、その時のつらかった感情は癒えることもなく、大量に癒えていない感情は残ってしまったようでした。

■ケアーされていない感情をケアーする

カウンセリングで、子どもの頃にケアーされていない怖かった思い、辛かった思いを癒やすことしていきました。

子どもころには祖父母にも親戚にも言えなかったけど本当は誰かに助けてほしかった思い、お母さんを守るお父さんを怒らせないように神経をすりへらしていた思い、逆上するお父さんを見て怖かった思いなどを言葉にしていき癒えていない感情を外に流していくことをしていきました。
涙もいっぱい流しました。

そうして心が癒やされていくと徐徐に男性の怒っている声が苦手というのが和らいでいきました。

以前は人が怒られているのを聞いてもC子さん自身がダメージを受けていたのですが、自分が直接怒られない分にはダメージを受けなくなっていきました。

以前は彼氏を(男性を)怒らせないように過度に神経を過度に使っていて、言いたいことも言えずにいたのですが、怒らすことを過度に怖がることがやわらぎ言いたいことを言いやすくなっていきました。

+++

子どもの頃に虐待を受けてケアーをされていない為に、大人になっても虐待の影響がでてしまうことがあります。

もしあなたがケアーをされなかったことでC子さんのように恋愛、仕事、友達関係などに影を落としているようなら、今からでもご自身をケアーする時間をとられると良いと思います。
過去の体験の影響からさようならしていきましょうね。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 子どもに優しくできない〜虐待を受けていた影響からの解放〜
  2. 私が悪いと思う癖〜虐待が作る私が悪いと発想する心理パターン〜
  3. 怒りの声を聞くとダメージを受ける〜面前DVの影響からの脱出〜
  4. 自分の気持ちがわからない〜虐待により感情を閉じ込めた影響〜
この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。