発達障害のある子の子育てで感じる孤立感を抜け出すヒント

■わが子の発達の遅れを指摘される=母としての自分は×と感じていた

うちの息子は言葉が遅く、声をかけても反応してくれないことも多い子でした。
1歳半健診のとき、保健師さんから、「一人っ子だし、お母さんも忙しくて声掛けが少なかったのかな?」と言われた時、わたしはとても腹がたちました。

なぜならば、一人っ子だと思うから、意識してできるだけたくさん声掛けをしていたからです。
言葉が遅いかも?と不安を感じながら、返事や反応が少ないなと思いながら、その不安を払拭するように精いっぱい声掛けしていました。

例えば、息子がタオルを握っているときには「タオルだね~。ふわふわだね~。」と。
保育園からの帰りに犬や猫を見つけると「ワンワン、いるね」「にゃんこだね~」というように、です。

それなのに、言葉掛けが少ないかも?と言われると、全然努力が足りていないと批判されている気がしました。

やってるのに・・・。がんばっているのに・・・。でも、言葉が出てくれない。
わたしだって他の子のお母さんのように、言葉のやり取りを楽しみたいのに・・。
誰よりもそれを望んでいるのに・・。
どんなにがんばっても、この子は反応してくれない。
そう感じるたび、悲しくて、切なくて、悔しくて、惨めな気持ちがして、当時の私は、その頃ちょっと投げやりな気分にもなっていました。

 

■普通の子のように育ってくれない子を持つ母の気持ちをわかってもらえない切なさ

ある日、友人に電話で、「この子、ちっとも話してくれないのよ。イライラしちゃう。」と愚痴をこぼしました。すると、友人は「あんた、今、ちびちゃんおるんやろ?子どもの前でそんなん言うたらアカンやん。」と言いました。

それを聞いたとき、ちょっとイラっとして「どうせ、この子、わからへんもん」と返事をしたんです。すると友人は「何言うてんの。今のあんたとはちょっと話したくないわ!」と言って電話を切りました。

その時、わたしはこう思いました。「あんたに何がわかるの!」って・・・。

子どもの前で、子どもの愚痴をこぼすことがよくないことだ、ということは私だってわかっている。でも、たとえそれが悪口だったとしても、子どもが私の言葉に反応してくれることがあるなら、どれくらいうれしいだろう。「わたしが何を言っても、この子にはわかっていない」と感じる悲しみの大きさなど、誰も分かってくれないのだという気持ちでした。だから、当時のわたしには、友人の思いやりのある助言を受け入れる余裕はなかったのです。

他のお母さんたちは、子どもの話すつたない言葉の可愛さを感じながら、コミュニケーションをとっているのに、どうしてうちの子は・・と感じるのはとても悲しくてせつないものです。

 

■愛おしいから悲しみも大きい

わたしの育て方がいけないんだろうか?
わたしがお母さんだから、この子は話さないんだろうか?
と、自分を責めてばかりで、わたしは母としての自信はどんどん失っていきました。

でも、そもそも、なぜ当時のわたしは、そんなに悲しくて、悔しくて、切なくて、腹立たしくて、自信を失ってしまったのでしょうか。

今振り返ってみて、わかる事。それは、わたしはわが子とのつながりをとても強く感じたかったし、いっぱい話をしたかった、ということです。わが子のことが愛おしくて、愛おしいと思う分だけ、言葉で通じ合えないことが悲しくて、切なかったのです。

人は、悲しみが深かったり、自分を責めすぎたりしたときに<怒り>という感情を感じます。

 

■「怒りは感情の蓋」

<怒りは感情の蓋>という言葉があります。
あまりにも辛く悲しい気持ちを感じなくていいように<怒り>という感情で蓋をする、ということです。

「なんでうちの子は・・・」と感じるとき、あなたの心には大きな悲しみがあるのかもしれません。
それは「わたしのかわいいわが子と分かり合えない、つながれない」という悲しみ。なぜなら本当はもっと分かり合って、つながりをいっぱい感じていたいと望んでいるから・・。

 

■自分を責める代わりにできること

「怒りも悲しみもいっぱい感じるほど、本当はわが子を愛したかった・・・。」怒りの下にあった「本当は大好き。本当はとても大切。本当はものすごく愛してる。」という自分の気持ちに気づいたとき、わたしは不覚にも号泣してしまいました。

そして、やっと「大好きなわが子」を素直な気持ちでみることができるようになりました。わが子の発達がゆっくりであったとしても、それがこの子のペースであって、他の子ができることがまだ上手にできなかったとしても、そのことで、母としての自分を責める必要はないのだと思えるようにもなりました。

自分を責める代わりに、わが子のことにもっと興味を持とうと思ったり、、わが子の興味が持っていることを一緒に楽しんだりする。「今、そこにある喜びや楽しさ」に目を向けることが子育てを楽しむコツなのかもしれませんね。

 

次週は池尾千里カウンセラーが担当します!お楽しみに。

 

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