私が感謝の気持ちを持てるようになった話

心理学などでも、コミュニケーションの中などでも、“感謝の気持ちを持つことは良いこと”だよと言われているものですが、皆さんは日々、どのくらい感謝の気持ちを感じて過ごしていますでしょうか。

今でこそ、私もいつも感謝の気持ちを忘れないように・・・という自分でいられるようになりましたが、10代の頃の私は「そうするのが当たり前だから感謝するほどのことでもない」という感覚の強いタイプだったように思います。

たとえば、家でご飯が出てくるのは当たり前とか、掃除・洗濯してもらうのは当たり前みたいに。

そんな風に誰かが何かをしてくれても、そんなの当たり前のことでしょ?と感じていて、恥ずかしながら、あまり感謝の気持ちを感じたことが無かったんですよね。

だから「ありがとう」だなんて、心を込めて伝えたことはほとんどありませんでした。
また、私の方でも誰かに感謝を求めたことがなく、何か親切をしたとしても、そうするのが当たり前だからと感謝をしてもらっても「大袈裟だな」と思って受け取ろうとはしませんでした。

ですから、何かをしてもらっても、何かをしても、そこには「当たり前だから」しか無かったんですね。
そんな私が感謝というものについて真面目に考えるようになったのは、ある疑問を感じたことからでした。

私は歴史を感じられるものが好きでして、趣味でよく神社などに行っていました。
境内を散策したり社の古風な作りを眺めたり、何々の神様が祀られているなどの由来を学んだりといった楽しみ方をしていたんですね。

それで神社に行くのですから参拝もさせてもらう訳なんですが、そこで「感謝」というワードが出てくるんですよね。
参拝をする時は神様に感謝を伝えましょうと言われているものでして、私も私なりに日頃の感謝の気持ちを伝えてみるんです。
そうしてちょくちょく散歩がてらにお参りしては、感謝を伝えてみるものなんですが、実際のところ、本当に感謝出来ているのかはあやしいものでした。

「日頃、平穏無事に過ごせておりますことを、感謝申し上げます。」

頭ではそう言えるのですが、実は心からはそう思えていない自分がいるのを私は知っていたからです。
感謝の気持ちはあるにはあるけれど、私はその気持ちの薄さにただ形式的な文言を伝えているだけのようにしか感じられないでいたのです。

そこでたまたま神職経験のある知人とお話させていただける機会があったので、質問してみたんです。
「神社では感謝の気持ちを持ちましょうって言われていますけれど、あんまり感謝を感じられないんです。」と。
すると、その方は「それは中山君が幸せを感じていないからだよ。」と仰いました。

それを聞いて、私はハッとしました。また、「確かに!」と思ってしまったのです。
さらに教えてもらったのが「不平不満を挙げるより、小さなことや、当たり前だと思っていることに感謝を感じるようにしてごらん。」とのことでした。
私は痛い所を突かれた気がしました。
何でも「当たり前のこと」にして相手の気持ちに寄り添おうとしない自分勝手な人間であったこと、そのクセ不平不満は一丁前にため込んでいた自分を見透かされたように感じて恥ずかしくもなりました。
でも、ここで私はそんな自分ではいたくないと思ったのです。
そしてボチボチと、小さなことも当たり前にして流さず、ひとつひとつのことに「ありがとう」と思ってみることにしました。

それからは、家から駅までに乗る自転車にも毎日ありがとうと思い、駅員さんからコンビニの店員さんにも毎日ありがとうと思い、大好きなペットと過ごせる日々、大切な家族と過ごせる日々、夏でいえばクーラーの効いた部屋で過ごせる日々、冬でいえば温かい布団で眠れる日々など、普段と何も変わらない日常の中にある「当たり前」に、たくさんの「ああ、よかった」と思えることや「ありがとう」と感じられることがあると思えたのです。

そうして、自分の今って、こんなにも恵まれていて幸せだったんだなと感じられるようになっていきました。
もちろん、決して大満足という訳ではありませんし、不平不満が無くなった訳でもありませんが、大切なのは“今ある幸せを感じようとすること”なんじゃないかと思えたのですね。

それからはさらに「ありがとう」の気持ちを言葉にして伝えるようにしてみたところ、冷ややかに感じていた距離感のある人間関係に、何となく温かみが感じられるようになったのです。
コンビニの店員さんにも、宝くじ売り場のおばちゃんにも、(一方的にかもしれませんが)温かみを感じられるってすごいなと思いました。
それは店員と客という役割でなく、人と人とのやり取りを感じているかのような温かみでした。

感謝をすることで、伝えることで、心が豊かになっていく。
そんな感じがしました。
また、感謝を受け取れるようにもなりました。
その気持ちを受け取ってもらえなかった側の気持ちが分かったから。

そんなこんなで最近はめっきり減りましたが、たまに神社に行くと、「日頃、平穏無事に過ごせておりますことを、心より感謝申し上げます。」と、スッキリした気持ちでお参り出来ております。

皆さまも、もし上手く感謝を感じられないという時は、今ある幸せを振り返ってみると良いかもしれませんよ。

それでは、最後までお読みいただきどうもありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

さまざまなタイプの男性の心理分析に高い評価を得ており、恋愛・パートナーシップ・片思いなどの問題解決を得意としている。また、人の眠る才能や魅力を引き出すことで、自己価値の改善や自己承認をサポートしていくカウンセリングにも定評がある。ゆるい人柄と落ち着きのある声も人気である。