夫婦のロマンスを取り戻すために(2)~子どもに気づかされた夫婦のコミュニケーションの大切さ~

夫婦でロマンスを諦めていること自体に気がついていない場合があります。

それは長い結婚生活の中で、知らず知らずのうちに「あきらめて」しまったこと。
それに気づかせてくれるきっかけを子どもが教えてくれることがあります。

子どもが言い出してくれなければ、あきらめていることに気がつけないのです。
そして、気がつくことができた時、あきらめを変えていくアプローチが見えてきます。

例えばこんなご相談。大学生の娘を持つAさん(女性)のお話

* * *

娘が大学生になっても、恋愛にまるで興味がないんです。
私は、それが心配になり、娘に理由を聞いてみると・・・
「男に何の期待も持てない」と言うじゃありませんか。
驚いた私は、ますます心配になったんです。
恋愛なんて無縁だと思っていたけど、過去に手痛い失恋でもしたんじゃないかって。
だから私、娘に言ったんです。
「何があったのか知らないけれど、男性も捨てたもんじゃないのよ」って。
そしたら・・・
「男なんて、どうせ結婚しても、お父さんみたいになるんでしょ。だったら付き合ってもしょうがないじゃない。お母さん、お父さんをあんなに邪険にして、よく男も捨てたもんじゃない、なんて言えるね。」
私、何も言えませんでした。
娘に対して、どう接していけばいいのでしょう。
娘が恋愛に興味を持ってくれるにはどうしたらいいのでしょうか。

* * *

Aさんにしてみれば、言い分はあるわけです。
確かに夫は仕事が忙しく、家のことは妻であるAさんに任せっきり。
休みの日には家でゴロゴロしていることも多い。しかし趣味の釣りの時には張り切って出かけます。
Aさんも夫は疲れているし、好きな釣りくらいさせてあげようと思っていますが、どこかで仕方ないとあきらめていたところもあります。
だから、Aさんも自分の趣味を楽しんだりして、夫婦が別々に楽しむようになった。

それが、いつしか、夫は家にいないもの、として自分と娘が二人で過ごすのが当たり前になってしまい、家族でコミュニケーションを取ったり、時間を共有することをやめてしまっていのでした。

でも、娘の目に見えているのは、表面的な姿です。
父は仕事人間で家に興味がない。たまの休みは寝てばかりでぐうたらしている。
そんな母は父をいないものとして扱っている。家にいても邪魔とばかりな態度を取っている。

娘はそう思っているわけです。

実際には、そこまで夫婦の仲はひどくないのです。
二人の時に会話をすることだってあるし、家族で楽しむことだってあった。
だから、そうじゃない、と言い訳したいけれど、思い当たるところもいろいろあるので、娘に説明ができません。

夫を邪険にしていたかもしれない、という罪悪感がAさんにはあるんですね。

そんな風に説明できない母親に対して、娘はやっぱりね、という態度。
これでは、娘が恋愛に興味を持つなんて無理と感じ、また、恋愛に興味を持てないのは、自分たちのせいなんだ、とAさんは悩みます。

こんな風に悩んでいる時、私たちの心は「もうやり直しがきかない」という苦しみに入っています。

こんな時にはどうしたらいいのでしょう。

夫婦問題は、コミュニケーションが取れない、すれ違い、離婚、浮気、セックスレスなど、様々なテーマがありますが、カウンセリングでこうしたご相談を受けた時の具体的な対策は「まず自分からコミュニケーションを取っていく」なんですね。

これは夫婦二人でやり直したいと思っている時はもちろん、離婚したいと思っている時も同じ。
カウンセリングをわざわざ受けてくださるのですから、そこには何かやり残しがあるのです。

やり残しの多くは、お互いの思いを伝えあえていないこと。つまりコミュニケーションが取れないか、不足していることがあるのです。

しかしながら、多くの場合、お互いの恨みつらみや、あきらめなどの長年の蓄積がありますから、そう簡単に話ができるようにはなりません。

では、どうしたらいいのか、というと、ごくごく簡単なことからアプローチしていきます。
例えば、「いってらっしゃい」「お帰りなさい」「おはよう」「おやすみ」という挨拶。
これを単に言葉に出すだけでなく、夫の目をちゃんと見ながら言ってあげる。
直接関わらなくてもいいから、家にいる時には、その存在を感じておく。

家にいない時には、時々でいいから思い出してあげる。

これだけでも、夫にしてみれば、自分のことを見てくれている、思ってくれている、と感じられるようになります。

人は五感の生き物です。ただ見る、思いをはせる、ことで相手にその雰囲気が伝わるのです。

Aさんの場合は、それだけでなく、こんなことを具体的に実践してもらいました。
休みの日に娘と出かける時は、断れてもいいから声をかけるようにした。

今までは家にいない前提だったので買ってきていなかった、ケーキやお菓子などを、夫の分も含めて買ってくるようにして、テーブルにメモ付きで置いておくようにした。

ところが、最初のうちは、何の変化もありません。
夫にしてみれば「今更なんだ」と思いますし、「どうせ一時的なもの、気分的なものだろう」と思います。

何せ、お互いのすれ違いの蓄積がありますからね。

Aさんにしてみれば、こんなに一生懸命やっているのに、どうして変わらないんだ。こっちの気持ちも知らないで!と腹が立ってきます。

「今更何よ!」と思っているのは私の方!ですからね。

しかし、これをしばらく続けていくと、夫の態度が段々、変化していきます。
会話が増える、妻や娘のことを気にかけるようになる。

お土産を買ってきたり、出かける誘いかけに少しずつ乗ってくるようになる。

娘にもわかるように夫婦の会話が増えていき、夫婦ともにお互いの感じが変わってきます。
Aさんも、久しぶりに夫婦で過ごす、楽しむことを感じられるようになってきます。

しかし、ワクワクする、ロマンスを感じるなんて無理、と思います。

ところが、この無理!という感情は、ロマンスを感じられていないのではないのです。

「恥ずかしい」という心理からきているんですね。

結婚生活が長い夫婦ほど、ロマンスが戻り始めた時には「強大な恥ずかしさ」がやってきます。

この感じがやってくるというのはロマンスが戻り始めた証拠なんですね。

こうした積み重ねを続けていったある時、娘がこんなことを言いだしました。
「お父さんとお母さん、仲が悪かったんじゃないんだ」と。

それも嬉しそうに、です。

これは絵空事、でしょうか。

もし、今、心当たりを感じられた方は、Aさんがチャレンジしたことができているか、確認してみてください。

夫婦の関係性が滞っている時、そこには日常のコミュニケーションが不足していることが理由であることが本当に多いのです。

>>>「夫婦のロマンスを取り戻すために(3)~親との世代の違いや状況を理解する~」に続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

池尾 昌紀

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。