行動したいのに行動できない心理

自分の目的を達成するために「こうした方がいい」と思っている時でも、なかなかそうできないことは無いでしょうか?
特に、他人が関わることなく、自分のみで決められることであっても、「こうした方がいい」の一歩がなかなか踏み出せないことがあります。

例えば「あの資格を取った方がいい」と思っていても、なかなかそれに向かって動き出せないことがあったり、「家を移った方がいい」と思ってもなかなか動きにくかったりする人もいるのではないでしょうか。

そうこうしているうちに、資格試験の申込日はいつしか過ぎ去ってしまったり、あるいは出物の不動産は人に先を越されて無くなってしまったりということも起こります。
この状態は「〇〇した方がいい」という結論には達しているわけですから、「決められない」とか「迷っている」という状態では決してありません。
決めていても実行できない状態なのです。

では、私たちは「〇〇した方がいい」と決めていてもなぜ実行できないことがあるのでしょうか?
それは、「〇〇しない」ことで得られるメリットの方が大きいと心のどこかで感じているからです。

私たちの心は、いわば複数の人間が自分の中に存在しているグループのような構成になっています。
私たちの心の中にはAという考え方のAさんもいれば、Bという考え方のBさんもいるようなものです。
そのAさんとBさんが綱引きをして、どちらかが勝ったときに私たちは行動に移せるのです。
Aさんが行動したいと思っても、Bさんの反対が強ければ決着がつくまで行動に移せないわけです。
もっとも、最初からAさん、Bさんが同じ意見の場合もあります。
そんなときはスムーズに行動に移すことができます。

では、〇〇した方がいいと決めていても、行動に移すことを阻害する要因は何でしょうか?
それは、行動することにより生じるであろうと“予測”される“感情”を感じる“怖れ”です。
換言すれば、行動することによって、ある“感情”を感じると“予測”しており、その“感情”はなぜか感じたくない“感情”であり、それを感じることを“怖れて”いるのです。
その感じたくない“感情”は人により様々で、その原因も様々です。

例えば、試験を受けることを例にとると、試験を受けて感じる感情には、単純に落ちた時に感じる自分自身のふがいなさを責める感情であったり、落ちた自分に対する他人の視線に感じる怖れであったり、また逆に受かってしまった時に感じる重圧感であったり、目標の喪失感である場合もあります。

どうしてそのような感情を感じることになるかの“予測”は、過去に同じような出来事があったなど私たちが今まで生きてきた経験や、観念やルールなど誰かに教えられたこと、あるいは物事の捉え方の癖などに起因しています。
そして、感じると予測している感情は、かなりの確率で生じると“信奉”しているのです。

ここで少し見方を変えてみましょう。
私たちの“感じたくない感情”には、必ず心のどこかで自分を責める気持ちが働いています。
自分は駄目な人間だ、自分にはそれをやるだけの能力が無い、自分は怠け者だなど・・・。
何某かの行動を起こした結果、これらのことを上司や親や友人などから言われると考えると、行動したくはなくなりますね。
それと同じことなのです。
他の人に言われて感じるか、自分が自分自身に心の中でそう言って感じるかの違いだけで、感じる自責の感情は同じなのです。

行動したいのに行動できない時には、自信を見詰めてみるのであれば、私は行動を起こすことによってどんな感情を感じることを怖れているのかを見詰め、その根底にある自責の部分を見詰め、そしてそれは本当にそうなのかを考えるのも必要の方法です。

よりシンプルな方法は、とにかく行動してみることです。
私たちは、実はやって後悔するよりも、やらなくて後悔するのですから。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。