セールスの心理学

ビジネスやお金についてという話は何度か触れてきましたが、今回はセールスについてです。
セールスとは、売る事、販売する事という意味で、少し広い意味では勧誘する事も含まれたりするようですが、要するに「この商品、いかがですか?」という売り込みをする事ですね。

八百屋さんが「安いよ安いよ!」と声を上げるのもセールスだし、「ごいっしょにポテトはいかがですか?」というのもセールスだし、カウンセラーが「次回もお話しませんか?」というのもセールスだという事になりますね。

そして、このセールスが上手い人は、ものすごく高額な商品を喜んで買ってもらえたりするし、下手な人は「押し売りはお断りですよ!!」と拒絶されてしまったりするようです。

少し極端な事を言えば、セールスが上手な人はみんなに喜ばれて自分も豊かになれるし、セールスがあまり上手くない人は、自分は儲かっても「あいつは悪徳商人だ」と悪口を言われたり、悪口は言われないけどお金も儲からなかったり、最悪の場合はみんなに嫌われてお金も儲からない、という事もあるようです。

 

じゃあ、セールスで成功するのに必要な事は何なのか、という話なのですが、こんな話はビジネス本などで散々語られている事で、今更私がどうこう言っても仕方がない話なのですが、あえて私なりの見識でコツをお伝えしますと、「自分と相手が得をするバランスを考える事」ではないかと思います。

ちょっとわかりにくいと思うので詳しく説明しますと、たとえば「100%善意の人」というのがいたとすると、この人は自分を犠牲にしてでも他人の為に尽くしたい、お金なんかいらないから皆の役に立ちたい、というような人で、これは大変素晴らしい事ですが、自分の幸せや豊かさの事をほとんど考えていないので、「いい人だけど儲からない」という事が多いです。

一方、「100%金儲け主義の人」というのは、どうやって自分だけが得をしようか、どうやって人を騙してお金を取ってやろうか、という事ばかり考えているので、短期的にはうまい商売やビジネスを思いついて儲けたりするのですが、長い目で見ると「あの人と関わった人はみんな損している」とか「あいつは悪い奴だ」とか変な噂が立って、長期的に成功し続ける事は難しいようです。

 

では、セールス的にうまい具合はどんな感じかというと、「自分も楽しくやれて、みんなにも喜んでもらえるにはどうしたらいいかな?」という事を常に考えて実行していく事です。
つまり、「みんなは得するけど自分は損する」でもなく、「自分だけが得をして相手は損する」でもなく、「自分も得になるし、相手も得になる」という状況を作れる人が、上手なセールスができる人だと個人的には思います。

こんな事を言うと、「そんな都合のいい事が出来る訳が無い」と思われるでしょうが、必ずしもそうではありません。

 

たとえば、あなたが何か商売を始めるとして、仮に八百屋さんだったとしましょうか。
そこで、リンゴを販売するとして、周りの八百屋さんは1個100円で売っていたとします。

こういう状況の時に、「他のお店は100円で売っているから、うちは80円とか50円で売ればみんなが喜んでくれるはず」と考えると、「喜ばれるけど儲からない」のパターンになりがちです。

一方で、「何とかして1個300円とか500円で売ってやろう」と考えて、「このリンゴは他のものとは圧倒的に違いますよ」とか大袈裟な宣伝をしていくと、短期的には売れる事もありますが、そのうち「大した事ない商品を高額で売りつけている」と悪評が立って、だんだん売れなくなっていきます。

セールスが上手い人というのは、こういう状況の時に「じゃあリンゴは100円だとして、うちはニンジンが大量に余っているから、リンゴとニンジンをセットで150円で売るのはどうだろうか?」とか、「リンゴを1個だけ買う人は少ないようだから、3個買ったら250円にしたら沢山買ってもらえないだろうか?」とか、そういう方法を考えられる人が成功する事が多いです。

他にも、「宅配サービスは需要がありそうかな」とか、「ジャンケンで買ったら半額になるキャンペーンをしたらウケるかな」とか、とにかく「相手も喜んでもらえて、自分も損をしないバランスはどの辺りかな?」という事を考えられると、上手なセールスやサービスができて、みんなが喜んで自分も儲かるという状況を作る事は必ずしも不可能ではありません。

 

しかし、ここまで読んでみて、「そんなグッドなアイデアが出るようなら苦労しないわ!」と思われるかも知れませんが、全くその通りで、自分も相手も喜べる状況というのは、色々考えて試行錯誤しないとなかなか生まれるものではないので、やはり簡単な事ではありません。
ただ、そこをあれこれ真剣に考えていけるようであれば、色々な人の声に耳を傾けたり、色々なアイデアを試してみたりして、たとえ失敗したとしても諦めずに挑戦を続けていけば、その姿勢に共感をする人は多いので、そう遠くないうちに成功への道が開かれていく事は多いです。

安易な儲け話で自分だけが得をしようとするのもオススメできませんが、自己犠牲になりすぎて無償で働いてしまうのも少々勿体ないかと思います。
自分も相手も得をする方法は、「そういう方法があるはずだ」という目線で探していけば、案外と見つかっていくものです。
セールスは難しいとか、セールスは嫌われるという考えにとらわれずに、自分も相手も幸せになれるセールスを是非探してみてもらいたいと思います。

この記事を書いたカウンセラー

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