供給過多な社会と「個性」という概念

令和という新しい時代へと進んでから、しばらく経ちましたね。
時代の変わり目には、平成を振り返る懐かしい映像などが放映される場面も多く見られましたが、ここ何十年かの時代の変化の大きさは驚くべきものがあったかと思います。

かつては、「インターネットの出現で世界が変わった」と言われていましたが、今はそこから更に色々変わっているようです。
スマートフォンやSNS、更にはAIなどがそれに当たるでしょうか。
これらは、一つ一つ取っても大きな社会的変化となるものなのでしょうが、そんな大きな変化が次々に起こっているのが今の社会の現状のようです。
 

そんな中、今の日本のような社会を表す言葉として、「飽和先進国」という言い方があるようです。
要するに、国民のほとんどが生活に必要なモノを全て手に入れてしまっていて、需要がほとんどない状態だという事のようです。

昔は、自家用車やテレビ、エアコンや洗濯機、携帯電話やパソコンなどはいずれも「高級品」で、みんながそれを欲しがったので、あらゆるモノの需要が高い時代でした。
しかし、さっき挙げたような「高級品」を、今や国民のほとんど全員が、当たり前のように持っていますよね。
かつての高級品は現在では当たり前の値段になり、どんどん安く、しかもどんどん高性能になっています。

そうなると、「わざわざ頑張ってお金を稼いでまで欲しいモノ」というのは、趣味などのこだわりのある分野以外には、ほとんどなくなっているようです。
「ゆとり世代」より新しい「悟り世代」とか言われるのも、ある意味仕方の無い事かも知れません。
 

そんな、みんながある程度満たされてしまっている社会においてのビジネスは、なかなか大変なようです。
なにせ、「素晴らしく高性能なモノが、いくらでも安く買える時代」なわけですから、どんなに良いモノを作っても、「良い」というだけでは売れない時代です。

これはモノだけでなく、「情報」にも言える部分があります。
今の若い世代の人は特にそうですが、何かわからない事や気になることがあれば、いくらでもスマホで調べる事ができますね。
安くて美味しいお店や、流行りの商品、無料で読めるマンガや小説、お料理の作り方や筋トレのやり方、ネットニュースやビジネス情報、このブログなども無料の情報の一つです。

こんな風に、モノも情報も溢れかえっている世の中ですから、単に「良い商品」「便利な情報」というだけでは、もはや価値が無い時代なのです。

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そんな飽和状態にある現在の社会の中でも、価値を持つものの一つに「個性」というのがあります。
たとえば、「上手いのに売れないアーティスト」もいれば、「そんなに上手くないんだけど、個性があって売れているアーティスト」なんていうのはその典型ですね。
「ただ上手いだけの人」が珍しくなくなってくると、「上手くなくていいから、珍しいもの、面白いものが欲しい」という心理が人間には働くようなのです。

これは何もアーティストに限った事ではなく、もっと身近な例は沢山あります。
たとえば、ネットニュースで「今この作品が流行っていますよ!」というのを見ても何とも思わなかった人が、身近な友達が「私もあれ見た!面白かったよ!」というのを聞いたら「じゃあ私も見てみようかな」と思う事はよくあるのではないでしょうか。

これは、「商品や情報そのものの質や価値」よりも、「誰がそれを発信したか、誰から聞いたか」という、個性の方が重要になっている現象だと言えます。
好きなアイドルのCDは、歌が上手くなくてもファンは絶対欲しいでしょうし、仲良しのお友達の書いた記事は、内容がそれほど良くなくても「いいね」を押してあげようと思う気持ちにもなるでしょう。

この現象は、ビジネスにも当然言える事ですから、「あなたが勧めるなら買ってもいい」「あなたが書いた記事なら読んでみたい」「あなたが行くなら、私も行く」と思われるような、あなたという「個性」を発信していく事は、様々な場面で有効かと思います。
 

しかし、ここに大きな壁があります。我々日本人は、個性を出していく事が大変ニガテです。(笑)
昔から教育によって、周囲に合わせる事や、目立たない事が美徳とされていたので、個性を出す事についつい躊躇してしまいがちです。

ですが裏を返せば、みんなが個性を出していないなら、ほんのちょっとした事でも十分個性になりうる状態でもあるという事です。
それは何も、突出した個性でなくても、「何かができない事」であっても個性になります。
「誤変換だらけ、ひらがなだらけのブログ」とか、面白いかも知れませんね。怒られそうなので、私はやりませんが。

今の日本は、どんなに良い商品、どんなに良い情報も、それほど必要とされていません。
しかし裏を返せば、バカバカしい商品、下らない情報でも、個性的であれば売れる、流行る可能性もあります。
ぜひ、あなたという個性を、出せる範囲で少しずつ発信してみて欲しいと思います。

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