与えたものは、いつかきっと返ってくる

パートナーシップにおけるコミュニケーションでいちばん大事なこと

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

夏も終わり、朝晩は少し肌寒さを感じます。

心理的に見ると、寒さというのは人々に孤独を感じさせるようです。

そのせいか、夏が終わって秋に入る9月という季節は、まるで“失恋”や“恋の終わり”を連想する季語になっているような気もします。

さて、子どものころ、私たちは、なにか不安や寂しさを感じると、必ず両親にまとわりついていったものでした。

そして、なにかイヤなことなどあったときは、いそいで家に帰って、抱きしめてもらいたいと思ったものです。

しかし、大人として自立するようになると、私たちはついつい、いろいろなことすべてを一人で背負おうとしがちです。

ですから、誰かに抱きしめてもらうことで安心感や親密感を感じ、それによって心のバランスを取り戻すなどということも、ずいぶん長いことしていないという人も多いのではないでしょうか。

といっても、大人のみなさんが、会社でイヤなことがあったからといって、実家に帰り、おとうさんやおかあさんに抱きしめてもらうというわけにもいかないですよね。

そんなとき、親の代わりになるもの‥‥、それがパートナーシップなのです。

パートナーシップにおけるコミュニケーションでいちばん大事なことは、出来事の正しさや事実関係よりも、パートナーになにか起きたときに、「いったい、どんな気分だったのか?」を理解してあげることに尽きます。

たとえば、きょう、彼女が会社の上司にひどく怒られるという出来事があり、それを彼であるあなたにこぼしたとします。

こんなとき、われわれ男性は、悪気はないのですが、そのときの彼女の感情を理解し、それを受けとめてあげることよりも、上司の立場に立って、二度と彼女が怒られないようにとアドバイスしてしまったりすることが多いようです。

「ああ、それじゃだめだよ。そういうときに上司はね‥‥」とか「だから、こういうふうにすればいいんだよ。いい、わかったかい?」などと、ついつい彼女にコーチをし、彼女のやり方を変えようとしてしまうのです。

でも、このやり方では、彼女の逆鱗にふれる可能性がとても大きいのです。

そうではなく、そんなときこそ、「彼女がそのときになにを感じていたか」という感情にフォーカスし、それをコミュニケーションしてあげてほしいのです。

「そうかー。それは悔しかっただろうね。つらかったろ」とか「よく、ガマンしたねー。えらかったよ」とか‥‥。彼女はこんなサポートを期待しているのです。

もちろん、これは女性だけではなく、男性にも使えます。私の個人的なリサーチでは、じつは感情を上手にサポートできないのは、女性のほうに多いようにも思います。

たとえば、あなたはあなたの彼に、「男でしょ、しっかりがんばりなよ!」とか、「男のくせに、グチグチ言わない!」などと叱咤激励したことはないでしょうか?

どうも、女性のほうが、落ち込んでいるパートナーをサポートする忍耐力に欠ける場合も多いようです。

男女関係では必ず、どちらかが自立(面倒をみる側)で、もう一方が依存(甘える側)という位置に分かれます。

そして、この自立と依存の位置は、分野や場面ごとに入れ替わることもよくあります。

たとえば、夫だけが働いていて、妻は専業主婦という場合、収入面ではご主人が自立で、奥さまが依存という立場になります。

しかし、家庭内の切り盛りや子育てに関して、ほとんど夫がなにもしていないとしたら、この面では奥さまが自立で、ご主人が依存ということになるわけです。

さらに、この自立と依存は同じ分野でも入れ替わることがあります。

たとえば、ご主人がリストラされて、専業主婦だった奥さまが働くようになって、経済的に自立していくような場合です。

そして、ご主人が自立のときに「だれに食わせてもらってると思っているんだ」などと思いやりのないことを言っていたとしたら、自立と依存が逆転したとき、こんどは奥さまがご主人に同じセリフを言いたくなったりするものです。

同じようなことは、リストラにかぎらず、男性の定年退職後にもよく起こります。

また、親子関係も、当初は親が自立で子どもが依存という関係にあるわけですが、その関係が逆転するときがやってきたりします。

そして、親が自立の位置にいたとき、依存してくる子どもにどれだけ思いやりをもって接していたかということが、将来、親が年老いて介護が必要になったときなどに、子どもから親への思いやりの大きさとしてあらわれるということもよくあります。

同じように、男女関係でも、自立と依存の関係が逆転するときが、長い人生の中で一度はあるものです。

そして、この逆転が起こった時期に、パートナーシップは危機を迎えやすいのです。

依存の人は、自立の人に感情面で受け入れてもらいたいとつねに思っています。

ところが、自立の人は往々にして、それをめんどくさいと感じてしまいがちです。

しかし、あなたが自立の位置にいるとき、相手の感情を満たしてあげるということに忍耐強く取り組んでいくと、そのとき、あなたが依存のパートナーに与えたものは、いずれあなたのもとに必ず舞い戻ってきます。

あなたとパートナーの立場や関係性が逆転するなど、いまはあまり考えたくはないかもしれませんね。

でも、あなたがパートナーに与えることができたなら、それは必ずあなたのもとに返ってくることになるのです。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。