子どもの成長とよみがえる記憶

子どもの成長を見守るのは、無上の喜びがあります。
私自身は自分の子どもを持つことはありませんでしたが、姉の子ども達とは、良い距離感で交流を続けています。
年数にして、約40年。
おお、ビックリするくらいの長い年月です。

その間には、いろんなことがありました。
特に、2人いる姪の次女の方は、生まれて間もなく感染症にかかり、命に係わる大病をしました。
何か月も入院し、一時はもし治っても脳に障害が残るかもしれない、と言われてずいぶん心配したものでした。

“ただ、元気に育ってくれればそれで良い!”
誰もがそう願いました。

往々にして、子どもの成長とともに、あれもこれもと周りの大人はつい欲が出てしまうものです。
けれど、この姪に関しては、そんな命拾いをした経緯もあって、余計な期待はしなかったように思います。
純粋に健康だけを願っていましたから。

それが功を奏したのかもしれません。
どんな成績を取って来ても、怒られたことのない姪は、中学生になる頃には、小さなことにこだわらない、伸び伸びとした性格に育ってくれました。

とは言え、大病した身であることには違いありません。
将来結婚した際に、必ずしも子どもが授かるとはとは限らない可能性もあったのです。

年頃になって好きな人が出来、結婚を具体的に考えたときには、そのことも事前に話したようです。
子どもはいてもいいし、いなくてもいい。
それで結婚したのが、今のムコ殿なんですね。
そこからのスタートだったので、気が楽だったのかもしれません。

しばらくは夫婦二人で楽しくやっていましたが、なんとなんといつの間にか、3人の子の母になりました。
神さま、ありがとう!

そんな姪とは、今も会えばおしゃべりに花が咲きます。
話題の中心は、一世代超えて姪の子どもたちのこと。

ある日、姪と話していると幼稚園年長さんの長男Aくんのことになりました。
この子はすご〜く引っ込み思案で、甘えん坊の恥かしがり。
3歳くらいまでは、ちょっと母親の姿が見えなくなっただけで「かぁちゃん!かぁちゃん!」と大泣きするような子でした。

幼稚園に行くにも最初は毎朝大変でしたが、どうにかこうにか集団生活に慣れていったようです。
それでも、甘えん坊は相変わらずでしたが。

ある日、姪が保護者の集まる用事があって幼稚園へ行ったことがありました。
園内では、子ども達の保育が行われている時間帯です。

用事を済ませた姪は「今頃、あの子はクラスのみんなと一緒に過ごしてるんやな。」と思いながら園を後にしました。
そして、Aくんが幼稚園から帰ってきたので、その話をしたそうです。

姪:「今日ね、幼稚園に用事があって行ってたんだよ。」
Aくん:「うん、かぁちゃんが来てるの、知ってたよ。だって、窓から見てたもん。」
姪:「なんや、知ってたんか。そしたら『かぁちゃん!』って言って手を振ってくれたらくれたら良かったのに。」

すると半泣きの顔になりながら、Aくんはこう言ったそうです。
「ボクな、ホンマはそうしたかってん。でもな、そんなことしたら、かぁちゃんと一緒に家に帰りたくなるやん。」

それを聞いた姪は、「そうか、偉かったなぁ。」と言ってAくんを思い切りハグしたそうです。
子どもの成長って、こんな何気ない会話の中に感じるものですね。

私は、その光景が目に浮かんで、思わずウルウルしてしまいました。
と、同時にいきなり何十年も前の自分の記憶がよみがえりました。

そう、私にも同じような経験があったんです。
確かその時も、園児の保育中に保護者が集まって、何かの作業が行われていたようでした。
用事が終われば、母親たちは先に帰ります。

母が私に声をかけて「じゃあ、帰るからね!」とかなんとか言ったんでしょうね。
そのとたん、私はどうしたかというと「一緒に帰る!」と言って大泣きして、母にしがみつきました。
結局、その日は一緒に帰って来てしまった・・・というのを思い出したんです。

先生も母も、さぞかし手を焼いただろうなと思います。
60年くらい前のことですよ。
自分でも、そんな記憶がよみがえってビックリしました。

な〜んだ。
私はAくんのことを、「甘えん坊のあかんたれ」だと思っていましたが、私はそれ以上のあかんたれだったんだ。
ああ、聞き分けのなかった幼児の自分が恥ずかしい。
トホホ。

でも、そんな時の子どもの心情というのも、非常によくわかるような気がしました。

Aくん、きみはホンマに偉かった!
そして、そんなふうにAくんを育てた姪も大したもんです。
あの、無事育つかどうか心配していた子は、いつの間にかとってもいいお母ちゃんになっていました。

いつかAくんが大人になった時、何かの拍子にかぁちゃんとの、そんな昔の記憶がよみがえるかもしれません。
愛された記憶は、こうして引き継がれていくんでしょうね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

1957年生まれのシニア世代。 自身の豊富な人生経験を生かした、自分らしく生きていくためのサポートが好評を得る。 得意ジャンルは、対人関係・自己啓発・恋愛。 “何かを始めるのに遅すぎることはない”の言葉通り、いくつになっても新しい人生を切り開いていけることを、身をもって実践している。