「自分にはなにか足りない気がする」からの解放

「自分にはなにか足りない気がする」と気になったら?

自分にはなにか足りないと思うとき、実は不足感や無価値感、罪悪感などの感情を感じたくないと感じていることが多いものです。これ以上自分に価値がないように感じることを避けるために「なにか足りない気がする」と考えるのです。今回はこの不足感などの感情の作用とその影響から抜け出す考え方をまとめています。

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○私にはいつも何か足りない気がするんです

ご相談の中に「私にはいつも何か足りない気がするんです」というお話があります。

例えば、「なかなか結婚できない(彼ができない)のは、私になにか足りないからではないか」といった具合です。

他にも「パートナーに厳しいことを言われるのは」「私が離婚や失恋を繰り返すのは」「親との関係が良くない(いつもお説教される)のは」「仕事で失敗してしまうのは」「学校の先生から厳しくされるのは」といった事例もありますね。

いわば、何かしらうまくいかないことがあると、つい「自分は何かが足りない」と感じているようなのです。

もちろんそう感じること自体、辛いことですから、できれば手放して自分の気持ちを立て直しておきたいところですよね。

 

○自分には「なにか足りない」と思いながらも、「足りない」とは感じたくない

「自分にはなにか足りない」と思うとき、ここでは「不足感」を感じて悩まれているわけですけれど、実際のところは、「そもそも不足感を感じたくがないのでなにか足りないと思っている」という場合があります。

これは心理学で「防衛」と呼ばれるものです。

「防衛」とは、自分自身が受け入れがたい状況に直面したり、潜在的に危険や危機感を感じる状況におかれた時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な作用のことです。

いわば自分自身が感じたくない感情、受け容れたくない感情を感じないように逃れようとする作用とも言えます。

例えば、「なかなか結婚できない(彼ができない)のは、私になにか足りないからではないか」と思うケースで考えてみましょう。

まず、ここで最も受け入れがたい状況は、不足感を感じること以上に、「なかなか結婚ができない」という状況でしょう。その状況やそこで感じる感情を受け容れたくはない、と思っている可能性は非常に高いわけです。

もちろん結婚できないことが罪であるはずがないのですが、しかし、お友達や周囲の人が結婚していく姿を見ると、ちょっと残念な気持ちになることがあるかもしれませんよね。

では、「なかなか結婚ができない」と悩む人が、その事実を前にして何を感じる可能性があるのでしょうか。

おそらくそれは「無価値感」に近いものでしょう。

無価値感とは、自分には価値がない、と感じる感情のこと。どこか結婚したいと願っているのにそれが叶わないと思うとき、つい自分を責めるように「私には価値がないんじゃないか、なにか足りない部分があるのではないか」と感じてしまうのかもしれません。

ただ、その感情は受け容れたくない感情でもあるわけです。

このとき、「私が結婚できないのは〇〇のせいだ」と他罰的になり、受け容れたくない感情を切り離そうとする人もいます。

が、このようなお悩みを抱えている方はあまり人はお責めにならないので、「自分がなにか足りないんだ」と自分を責めているわけです。

この「自分や誰かを責める」ことの心理的な意味は、感じたくない「無価値感(罪悪感)・不足感」を感じないようにしているものだと考えられるのです。

つまり、「自分にはなにか足りない」と思いながらも、深層心理では「足りない」とは感じたくないから「なにか足りないのでは?」と自分を疑ったり、責めるような気持ちになっているのだ、と考えることができるのですね。

 

○見つめるべきは自分自身とその価値観・感情

このようなお悩みを解放の方向に向かわせるためには、自分の価値観や、自分自身の観念、感情のあり方そのものを見つめ直すといいでしょう。

例えば、「なかなか結婚ができない」と悩まれること自体、決して否定されるべきことではありませんが、しかし「結婚ができない」ということに関する価値観、物の見方は自分自身が決めていることでもありますよね。

だから、どのような思い込みで自分を責めているのかを考えてみるといいんです。

もちろん、結婚できないという現実を受け入れろとか、開き直れと申し上げたいわけではありません。

「そもそも結婚できない」ということで、そこまでの不足感や無価値感などの感情を感じるとしたら、それはなぜか?と考えてみてほしいというご提案なのです。

こんなときはこう考えてみるといいんです。

もし、自分が十分な存在だったなら。もし、自分に価値があったなら。

自分はどうなれる、何ができる、と思っているのでしょう。

そもそも私たちが「自分には何かが足りない」と感じる理由は、自分が他の人に比べて見劣りしない存在でありたいから、だけではないのです。

私たちが最も「不足感」で悩むのは、誰かの役に立ったり、幸せを届けることができない、という場面なんです。

自分は誰かの役に立っていないことで「価値を感じない」と思っている可能性がある。

それほどまでに「自分の気持ちの深いレベルでは、やはり人の役に立ちたいと願い、幸せを届けたいと感じている」からこそ、そうではない自分を許せず、責めるように「自分には何かが足りない」と思い続けていることが多いのです。

そう考えると、「自分には何かが足りない」と感じていることは、自分自身が愛情を持っている証明になりはしないでしょうか。

ただ、なかなかこういった思いは「感じたくない感情から逃れたい」という気持ちに隠れてしまうので、自分自身でも気づきにくいものです。

だからこそ「自分に足りないものはなにか」を考える前に、「誰を幸せにしたい、喜ばせたいと思っているのか」を考えてみましょう。

すると、自分自身にできないことはあっても、何かが足りないから劣っているといった観念を手放すことだってできますよ。

それこそが自己肯定の作用なのです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。