家族の役割の心理(1)〜役割の心理と自分への肯定〜

役割の心理と自分への肯定

家族に問題が起きた時に、子どものは何らかの役割を持つことで家族の役に立とうとすることがあります。このことを家族の役割と言います。役割とは何か?役割で何かをするとどうなるのか?をご紹介します。そして家族の役割を考えることであなたがあなたのことを肯定するきっかけになればと思います。

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●家族の役割

多くの子供にとって家族のことが大切に思う時期があります。

その大切な家族が機能不全に陥っている、
家族の誰かが苦しんでいるように見える、
困っているように見えるなどなど、
何らかの問題が起きた時に、子どもは何らかの役割を持つことで状況を良くすることを試みることがあります。

この役割のことを心理学では家族の役割という言葉を使います。

この家族の役割は5つあると言われます。

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<5つの役割の名前と特徴>

・ヒーロー(ヒロイン)の役割

家族のヒーロー、光、希望になることで家族の役にたとうとする。

・問題児 (スケープゴート、悪者とも言う)の役割

自分が問題となることで家族の問題を掻き消そうとする助け方をする。

・殉教者の役割

家族の為に人生をすてる。犠牲をして家族の役にたとうとする。

・マスコット(チャマー、ピエロ、エンターティナーとも言う)の役割

道化たり、おどけたり、ムードをあげることをしたり家族の役にたとうとする。

・家なき子(迷子、見えない存在、孤児とも言う)の役割

自分にエネルギーを使わせないことで家族の役にたとうとする。

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●役割の心理の特徴

家族の役割という言葉に、“役割”という言葉がついていますね。

5つの家族の役割の説明を詳しくする前に、まずは役割の心理の説明からしていきたいと思います。

心理学で言う役割の心理は、正しいことを間違った理由でやるものという意味で使われます。

ここで書いている間違った理由とは、心(愛とか本当にしたいという気持ち)から何かしようとするのではなく、それらとは違うネガティブな理由からやろうとするものです。

それらとは違う理由とは、例えば、自分は悪い人間だからそれをしなくてはいけないとか、自分は不十分だからそれをしなくてはいけないないなどなどのようなものです。

例えば、
交番勤務のおまわりさんをしている人がいたとします。

そのおまわりさんに道ゆく人が道を尋ねるとします。

その時に、『困った人の手助けしたい』と心から、道案内をすることもできます。

しかし、心から道案内をするのではなく、
『警察官の役目だから道案内をしなければならない!ちゃんとしないとSNSで叩かれてしまう』
ということを動機(理由)に道案内をすることもできます。

このようなことを正しいことを間違った理由でしているというような言い方をします。

役割の心理でしている時の特徴は、喜びとか、充実感とか、達成感とか、満足感などの精神的なご褒美が入ってきにくい傾向があります。

例えば、先程の例の
『困った人の手助けしたい』と愛から道案内をした時に、案内をしてあげた人から「ありがとう助かりました」と言われたとします。

そのような時は「今日も良いことできたなぁ」と充実感を感じるかもしれません。
精神的なご褒美がはいってくると言えます。

しかし、『警察官の役目だから道案内をしなければ!ちゃんとしないとSNSで叩かれてしまう』
ということを動機(理由)にして道案内をしたところ、案内をしてあげた人から「ありがとう助かりました」と言われたときに「業務だからそれは当たり前のことをしたまで」ぐらいにしか思えなかったりするかもしれません。

役割の心理の特徴としては、このように精神的なご褒美が入ってきにくい傾向があります。

その為、使った労力に見合ったもの(喜びとか、充実感とか、達成感とか、満足感など)が入ってきにくいため、長く役割の心理から何かをしていると心が疲弊しやすくなるという傾向もあります。

 

●家族の役割は長くやっていると疲れる?

自分のせいで家族がうまくいってない、自分がいけないから家族がこうなっているなどの罪悪感があると、家族に問題が起きたときに、自分のせいだとか、自分がいけないからこうなっているんだなどの罪悪感を感じがちなタイプの方は、ヒーローの役割、問題児の役割、殉教者の役割などを担う傾向があるようです。

家族に問題が起きたときに、自分が不十分だとか自分は足らないなどの無価値感を感じがちなタイプの方は、マスコットの役割、家なき子の役割などを担う傾向があるようです。

役割の心理では正しいことを間違った理由でしてしまうときに、ご褒美が入ってきにくく疲弊してしやすくなる傾向があるということを前述しました。

家族を助けたいという純粋に心からしている部分もありながらも、心のどこかで自分のせいで家族がうまくいってない、自分がいけないから家族がこうなっているなどの罪悪感がありヒーローの役割や、問題児の役割や、殉教者の役割をやっている、もしくは自分が不十分だとか自分は足らないなどの無価値感がありマスコットの役割や、家なき子の役割をやっていると、家族を助けようと良いことをしているのに、喜び、充実感や達成感や満足感などを感じにくくなり、そのため長くこの役割をしていると疲れてしまうことがあります。

 

●家族の役割を担って家族の役にたとうとした自分を肯定しよう

もしあなたがこれらの家族の役割をしていたことがあり、家族の状況をより良くしようと役割を担ってきたという良いことをしてきたにもかかわらず喜びや、充実感や、達成感や、満足感などを充分に感じていなかったとしたら、役割としての特徴が出ているのかもしれません。

そんな時は、
「私は良いことをしてきたんだよ」
「家族を少しでも救ったんだよ」
「私のおかげで心が救われた人がいる」
「家族のことを想った私の愛は美しい」
などなど、ご自身を肯定する言葉を、自分自身に言ってあげてもらいたいなぁと思うのです。

そうやって自分で自分を肯定し続けていくことが、喜びや、充実感や、達成感や、満足感などを感じる、きっかけになるかもしれませんから。

(続)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

原 裕輝

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪・福岡の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。