執着が強すぎる人たち

執着が強すぎると・・・

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

「なんとしても、どうしても、彼を私のほうにふり向かせたいんです! なにをすればいいですか?!」

恋愛の相談をいただく方の中には、それはそれはものすごい勢いでこんなふうにおっしゃる人もいます。

その日、おいでになった30代後半の女性がそうでした。

彼女は結婚しているのですが、夫婦関係は冷え切っているといいます。

経済的には恵まれているものの、人生に充実感がないという彼女、このとき執着していたのは、最近、出会ったという新しいボーイフレンドなのでした。

彼女のご主人は、かつて勤めていた会社の元上司。7つ年上で、とても頼れる男性であるようです。

一方の彼女は、心理学でいうところの“依存”のパターンでものごとを見るタイプ。「自分はこんなにダメなのだから、だれかが面倒を見てくれて当然だ」と考えているわけです。

子どものころであれば、私たち人間はだれもがそう思っていてもおかしくはありません。

しかし、多くの場合、成長とともに“自立”が進み、「人を頼るよりも自分でしたほうが、効率的だし、気も使わなくてすむ」と考えるようになるものです。

ところが、彼女は大人になっても、結婚しても、甘えたいという気持ちがから抜け出せないわけです。

お話によると、彼女の育った家庭は恵まれており、幼いころからいろいろなものを与えてもらってきたようでした。

そして、ご主人にはだいぶ依存的になっており、その度合いがひどいので、ご主人に幻滅されているという状況があるようです。

彼女は表面的には新しいボーイフレンドに執着しているように見えますが、じつはご主人に代わって自分の面倒を見てくれる“次のだれか”に執着しているわけです。

あまりに自分の欲求や都合を優先した恋愛なので、彼自身がなにを求めているかとか、どうしてあげると彼によろこばれるといったことはあまり考えません。

そのため、ボーイフレンドもご主人同様、彼女にウンザリしはじめている可能性があります。

さらに、彼のウンザリ感が強まる度合いだけ、彼女の執着も強まっていく‥‥こんな構図ができることは想像に難くありません。

そして、じつは彼女がいちばん執着しているものは、彼ではありません。

「自分はこんなになにもできない」、「この自分の面倒を見てくれる人がいないと、生き延びられない」という信念にこそ、彼女はしがみついて離れられずにいるのです。

そんな彼女にとって必要なことは、依存から自立の状態へと彼女自身が成長することです。

そして、少しでも彼やご主人の役に立ったり、喜びを分かちあったりすることができれば、状況は激変することでしょう。

そのために有効なのが、ご両親と大人どうしの関係性をつくるということです。

彼女のように、ご主人に幻滅され、新しいボーイフレンドを見つけた‥‥というケースでは、ご両親とケンカ状態が続いていたり、ご両親に幻滅していたりということが多いのです。

そこで、そんなときはご両親との関係性を見直してみるのが、ご本人の成長のためにいちばんの早道になるということを私たちカウンセラーは知っています。

しかし、それをおすすめすると、ほとんどの方が激しく抵抗されます。

子どもの視点で親子関係を見ると、「親とは自分の面倒を見るためだけに生まれてきた存在」だと感じます。

そして、奴隷のように扱い、役に立たなくなると、捨てます。

このパターンは男女関係にも引き継がれますので、彼女の場合、同じパターンをご主人に対しても、新しいボーイフレンドに対しても、出しているといってよいでしょう。

もし、彼女が両親を筆頭に、いろいろな人からの愛を受け止め、そして、愛を与え返すという相互関係ができるようになったなら、彼女の人生が激変することが期待できます。

それを実現するためのカギは、どれだけイヤだったとしても、もう一度、両親との関係に向き合うことにあるのです。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。