年下上司・年上部下とのつき合い方

年齢が上がるとともに職場での役職もあがる年功序列。
最近では年功序列を廃止したり、全く廃止したわけではないけれど、成果によって役職が決まる成果主義に移行しつつあるところも多いようです。

ところが、いざ昨日まで先輩と慕っていた人が自分の部下になり、新人の頃から目をかけてかわいがっていた後輩が自分の上司になってみると、なんだかやりづらい、と思うことがあるかもしれません。

◆年齢が高ければ能力も高いはずという観念

会社の中で「えらい人」と言った場合、その人が本当に偉いかどうかは置いておいて、たいていは「役職が上の人」を指しますよね。
社長は部長よりえらい、とか。

一方、我々日本人には「年長者を敬う」という考えがあります。
年上を敬うことは学校や部活動でも教わってきており、私たち日本人にとっては当たり前のことでもあります。
もちろん 相手が年上だからと言って、実際に尊敬するかは置いておいて、です。

年功序列の制度は、職場における「役職が上がるとえらい」という考え方と、「年長者を敬う」という日本人の常識がうまく合わさったものでした。

ところが年功序列をやめますよ、という話になると、「役職が上がるとえらい」というのは変わりませんが、「年長者を敬う」という考え方は、その会社や組織の中ではいったん脇に置いておきましょう、と理解されることが多いかもしれません。

しかし「年長者を敬う」のは日本人にとっては常識とも言えますから、会社の中だけでも脇に置いておきましょうと言われても、「はい、わかりました。」とすぐに納得できるものではありません。

頭では「この会社は成果主義だ」と理解したとしても、
年上の部下に対しては、「いい歳のくせに平社員のままか」と心の中で蔑んでみたり、
年下の上司に対しては、「経験が少ないくせに」などと言いたくなったりするかもしれません。

会社のルールが変わっても、私たちの心の中には、年齢が高ければ能力も高いはずという観念が引き続き存在しているのです。

◆文句を言いたい理由

例えば、年上の部下に対して「いい歳のくせに平社員のままか」という思いを持ったとします。

これはいったい何に文句を言いたいのでしょう。
いい歳をしていることでしょうか。
平社員であることでしょうか。

もうお分かりだと思いますが、「いい歳」でかつ「平社員」であることですよね。
では、なぜそこに文句を言いたいのかというと、
「いい歳」であれば「それなりの役職に就くべき」かもしれず、そうであれば納得もするし敬うこともできるけれど、そうでないから敬うことができない、
すなわち、
「年上だから敬いたいのに、あなたが平社員だから敬えないじゃないか!」という文句であると理解することもできます。

それは、あなたが相手に対して尊敬したいという思いであり、そうできないジレンマと言えるかもしれません。

同様に年下の上司に対して、「経験が少ないくせに」 と思ったとしたら、
「年下」で「経験が少ない」ならば年長の自分が面倒をみてあげたいのに、あなたが上司だから手を出せないじゃないか!
という文句かもしれません。

それは、あなたが若年者をサポートしたいという思いであり、そうできないジレンマのように私には思えるのです。

上の例で言えば、年上部下も年下上司のどちらも、あなたが相手に対して「敬いたい」「面倒をみたい」という「愛を注ぎたい気持ちがある」のにそうできないことに文句を言っているのではないでしょうか。

どうやらあなたは、愛を与えたい人に私には思えるのです。

◆あなたの愛を実現させてあげること

愛したいのに愛せない。それが年功序列のなくなった組織であなたが感じる問題であったとしたら、あなたに愛させてあげることで、あなたの問題は解決するとも考えられます。

でもどうやったら、デキない年上部下や、かわいくない年下上司を愛せるのでしょうか。

それは、それぞれの人が年齢が高ければ能力も高いはずという観念の上に抱えている思いに注目してみるといいのかもしれません。

デキない年上部下は、ただ単に仕事ができずに平社員でいることを受け入れているでしょうか?
もしかしたら、「自分はこんなに年齢が行っているのに平社員なんて恥ずかしい」とか、悩んでいるのではないかと想像できます。

だとしたら、そんな屈辱の中であっても、新しい制度(年功序列がなくなった環境)に順応しようと頑張っていることに、敬意を表することができるかもしれません。

かわいくない年下上司は、「自分は経験年数も足りないから、信頼されないかも」と不安に思っていることもあり得ます。

だとしたら、そんな中でも頑張っていることに、敬意を表することができるかもしれません。

年上部下は年上であるからこそ敬い、年下上司は年下であるからこそ敬う。

年長者を敬うことを美徳としている私たちだからこそ、年齢と職責に伴う思いを共有し、心を寄せ合うことができるのではないでしょうか。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

帆南 尚美

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。 「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。