蠍座の女達

初めてのコラム担当で、何を書こうかなぁとアレコレ思いを巡らせていると、ふと子供の頃の記憶に辿り着きました。

あれは私が小学校低学年の頃。
うちは母子家庭で、母がフルタイムで働いてくれていたので、私は学校帰りに学童保育に通っていました。
母が仕事終わりに学童に迎えに来てくれて、私はいつも夕方、母と2人で歩いて家に帰っていました。

その日、私は学校で友達に「愛美ちゃんは何座?」と聞かれ、人間には誰でも1人1個、星座というものがあるんだ!と知った1日でした。

私は早速母に「私は何座?」と聞きました。
母は「うーん・・・。愛美は10月生まれやから、てんびん座かさそり座じゃないかな~」と答えてくれました。
「天秤」という物を知らなかった私は「ペンギン座?やったー!」と喜んだ記憶があります。

慌てて母は「天秤」という道具があることを教えてくれ、私の誕生日が天秤座か蠍座か調べておくね、と私に約束してくれました。

しかし、その後の母の調べにより私は、面白そうな道具の「天秤」座ではなく、見た事ないけど毒があり人を刺すらしい謎の怖い虫である「サソリ」座であることが判明しました。

一瞬夢見た「ペンギン」座とは似ても似つかぬ「サソリ」座。
虫・・・。
「えぇーーー!そんなぁ・・・」と子供の私はそれはそれはガッカリしたことを覚えています。
しかもあと数日早く産まれていれば天秤座だったのです。

しかもしかも、当時私が熱を上げていたアニメの中で一番好きだった女性キャラクターは、よりによって「天秤座」だったのです!(笑)
大好きなアニメのあのキャラクターと同じ天秤座が良かった・・・と心底ガッカリし、謎の怖い虫である自分の星座を嫌いました。

しかしそれから数年後。中学1年生の時に、私は自分の星座をちょっと好きになれます。
それは教育実習に来た若い女の先生との出会いのおかげでした。
その先生はしばらく私のクラスにいて、お弁当の時間も色んな班を回って生徒達と積極的にコミュニケーションをしてくれました。

あまり記憶になかったのですが、その先生と一緒にお弁当を食べたときに星座の話になり「私、蠍座なんです。嫌だな~」という話を私は先生にしたようです。
先生の教育実習期間が終わってお別れの時。先生はなんとクラスの生徒全員宛に1人1人、封筒に入れた手紙を手渡してくれました。

私宛に書かれた手紙をドキドキしながら開けてみると「愛美さんは私と同じ蠍座でしたね。愛美さんは自分の星座が嫌いだと話してくれましたが、蠍座は意志が強く、何事も粘り強くやり遂げることのできる星だと言います。
私はそんな星座に産まれたことを誇らしく思います」と美しい文字で書かれていました。

決して目立つ生徒ではなかった私との、そんな何気ない会話を覚えていてくれた先生。
中学生の私はとても嬉しい気持ちになり、その手紙は大人になった今もずっと大切に残してあります。

短い期間だけの教育実習の先生。
それでも思い出すと今もホッコリ温かい気持ちにさせてくれる素敵な女性でした。
長い人生の中の短い時間。ほんの少しの関わりでも、こんな風に誰かの胸に温かい記憶、大切にされた記憶を残すことができるんだ、ということを先生は教えてくれました。

あの先生が生徒1人1人を大切に想い、接してくれていたこと。
そのことが中学生の私にもはっきりわかりました。

私も、あんな目で誰かのことを見ていてあげたいな。
あんな風に積極的に誰かと関わりたいな。
あんな風に誰かと話したことを大切に覚えていたいな。
あんな風に誰かの「嫌い」を「好き」に変えてあげられたらいいな。

私は9月末でカウンセラーとしての教育実習期間を終えました。
10月からプロカウンセラーとして歩み出している今、
私もあの先生にように、クライアントさん1人1人との出会いを大切にしていこうと思っています。

先生。私は、あなたと同じ星座であることを誇らしく思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

梅野愛美

温かくフレンドリーで近づきやすい雰囲気を持つ。カウンセラーという垣根が低く「昔からの友達みたい」「元気になれる」と定評がある。両親の離婚と再婚、家族を失った経験を持ち、生きづらさを克服してきたことから、どんなお話もまるっと受容し、安心や希望を感じていただく事を大切にしている。