母とバトル

私は長年、母親を許すことができませんでした。
ここ数年は私自身の癒しも進み、一度は母を許すことができたのですが、またそれでも問題が起きると許せない気持ちが湧いてきてしまいます。

以前の私なら、「やっぱり許せない!」と自分の被害者意識の中に閉じこもってしまっていたと思います。

しかし、今はちょっと違います。
「もぉ!絶対に許してやる!」って思っています。

もともと私は負けず嫌いの性格なのですが、これまで母に口では勝つことができませんでした。
それは私が言われたくない嫌なことを母はズバズバと言うからなのです。

上手く説明できないのですが、「あんたは焼きもちやきだから!」とか「あんたはいつも京子(妹)のことになると向きになるね!」と、なんというか、つまり『嫌なこと=図星』なのですね(笑)

今年に入ってすぐ、電話で母とこれまでにない激しいバトルをしました。
いつもなら母から一方的に嫌なことを言われるとすぐに黙ってしまう私ですが、今回はなぜか黙ってはいられませんでした。
私が子どもの頃からずっと思っていたこと、感じていたことを母に包み隠さずに話しました。

・家に居場所がなくて小学校低学年のときに死にたいと思っていたこと。
・夜になると、両親ときょうだいの部屋には入れてもらえず、悲しかったこと。
・心に安全地帯がなくて、高校生くらいからちょっとのことでも不安を感じるようになったこと。

たくさんたくさん母に話しました。
でも、母はそんな私の気持ちは全く気付いていなかった様子で、時おり「嘘~」なんて言うので、ますます私の怒りのボルテージが上がっていきました。

でも、私は母を罵倒することはしませんでした。
多分、母にひどいことを言ったら自分が罪悪感まみれになってしまうと思ったからだと思います。

母親を許せない人は世の中に多くいると思います。
子どもは本来、親が大好きなのです。
でも、その親を愛することができない自分。
親を恨んだり、憎しみを抱いている自分のことが大好きって人はあまりいないように思うのです。

母を傷つけることは、自分を傷つけることと同じことなのですよね。

バトルの後すぐに、「絶対に許してやる!」って思えたわけではありません。
今回は母も反省したのか、その後、母から手紙が来ました。
その手紙には「母親として失格ですね、ごめんね。」と書いてありました。
私は「遅いよ…」とその手紙をすぐに見えない場所に隠してしまいました。

その後、私がしたことは、怒りをしっかり自分の中で感じて、いっぱい涙を流しました。
感情は感じきるとガソリンと同じようになくなるといいます。
怒りも出てきたら、なかったことにしないで感じきるとやがてその感情も薄れていきます。
一度では難しいときは、何度も何度も繰り返し感じていくと、はじめは辛く悲しい気持ちも同時に出てきますが、だんだん何も感じなくなっていくのです。

怒りが心にあると、心の「楽しい」「嬉しい」というスペースを怒りが占領してしまい、良い感情も感じにくくなるようなのです。
それって、なんだかもったいないなって思います。
だったら、自分のために許した方がいいのかもしれないなって思うのです。

私は母のようにはならないと心に誓って、子育てをしてきました。
でも、振り返ると母と似たようなことを息子に言ったり、したりしたこともありました。

不思議と、「絶対にこうはなるまい」と思うと「そうなる」のですね。
私が忙しい時、疲れている時、わがままを言う息子にキツく当たったこともありました。

両親は自営業を営んでいたので、休みもほとんどなく、仕事が終わるのは夜中でした。
母はよく座ったまま眠っていました。
私の忙しさとは比ではありません。

母がイライラして怒ったり、子どものことを注意深く見ることができなかったのは、仕方がないことだったかもしれません。
それは子どもの私には大人の事情はわかりませんので、「私は愛されなかった」と思い込んでいた部分もあったと思うのです。

母とこの先もバトルになることはあると思います。
その度に、怒って、許す、そんな懲りない親子のバトルはどちらかがこの世を去るまで続くような気がします。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

成宮 千織

恋愛、夫婦関係、親子関係などの対人関係全般を幅広く扱う。 モットーは「母のように優しく、どんなネガティブな感情も否定しないで受け止める」であり、その包容力やきめ細やかなサポートに定評がある。 「とてもリラックスできる」「自分でいられる」など、安心感に包まれる時間を提供するカウンセラーである。