他人の願いを聞くと「叶えねば!」とプレッシャーを感じるあなたへ

働いていると「誰かの期待に応えたい」という思いでがんばることもあると思います。

ところが、この思いが「期待に応えなくては!」となってしまうと、苦しくなってしまうこともあるんですよね。

今日は「期待に応えなくては!」と感じすぎて苦しくなってしまったAさんの話を例にとって書いてみたいと思います。

◆「リクエストを全部叶えなくては!」と感じていたAさん◆

子どもの頃から、親の期待に応えようとがんばって来たAさん。
職場でも真面目でよく気が付く人と評価されています。

Aさんの職場では「お茶係」という当番があって、部署のメンバー出し合ったお金でコーヒーやお茶、ちょっとしたおやつなどを買っていました。
部署のメンバーが1か月交代でこの係をしていたのですが、Aさんはこの係が回ってくるたびに「お茶係=みんなのリクエストを完璧に叶えなければ」と感じて憂鬱な気分になっていました。

例えば
「ちょっと濃いめのコーヒーっておいしいですよね。」
とか
「フルーツの香りがする紅茶好きなんですよね〜。」
とか
「一口サイズのチョコって食べやすいね」
と言った何気ない会話を耳にするたび、
「みんなの欲しいものを買ってこなくては!!」と思い、買いそろえていたんだそうです。

けれども、職場の人は自分の発言を聞くたびにAさんがそんな気持ちになっているとは思いませんから、
「こんなのあったらいいなぁ〜」
「あ、こんなの食べたい」
と思いついたことを気軽に口に出します。

みんな、ただ口に出すだけで、「買ってきて欲しい」とまでは思っていないのですが、Aさんは、その思いを叶えねば!と感じていました。

◆願いを叶えねばと思うほど、叶えられないと相手に腹が立つ◆

誰かが「こういうのいいな」というのを聞いたとたん、「それを与えてあげなければ!」とオートマチックに感じてしまうAさん。
願いを知ったら、叶えなければならないと感じていたのです。

でも、全ての願いを叶えられることはありませんから、「できない」ことがあると「なんでそんなこと願うのよ!わたしにはムリ!」と感じて、相手に腹が立ってきます。

「みんな、好き放題言うんです。わたし疲れ切ってしまって」とAさんは困り果てていました。
Aさんを苦しめているのは、みんなの期待に全部応えないといけないという思いでした。

同じ部署の人たちは、Aさんにそうして欲しいとは言っていませんし、そこまで望んではいないのですが、Aさんは、「期待に応えなくては!」と思ってしまい、応えられない自分を責めていたのです。

◆「期待に応えねば!」のルーツ◆

このAさんの「期待に応えねば!」という思いのルーツはAさんの子供時代にありました。

Aさんが子どもの頃、両親はよくケンカをしていました。

Aさんは
「いい子にしてたら、お父さんもお母さんもケンカしないでいてくれる」と思って、両親のことを熱心に観察する子どもになっていきました。

お母さんが疲れているようなら、進んでお手伝いをする。
お父さんの機嫌がよくなさそうなら、面白いことをしてお父さんを笑わせてあげる。
というように、お母さんやお父さんが「喜ぶ」であろうことを先回りして行動したのです。

喜ばせないと、またお父さん達がケンカする、という怖れを感じていたので、お父さんやお母さんに、気に入られるように、気に入られるように、と「いい子」になっていきました。
けれど、「子どもがいい子にしていること」と、「夫婦がケンカすること」は、全く次元の違う問題ですから、Aさんがどんなにいい子にしても両親のケンカがなくなるわけではありません。

そして、両親がケンカする度に、「わたしがいけないんだ」という思いが強くなり、ますます、両親の顔色や思いを読み取る子どもになっていきました。

そういった子ども時代の経験を土台にして、「誰かの期待には応えないといけない」というルールを守るようになったAさんは、友人や家族、職場の同僚や上司の「あれ好きだなぁ」「ああいうのいいなぁ」という言葉を聞くと、オートマチックになんとかその思いを叶えようとするようになったのです。

◆子ども時代の思い込みを手放す◆

私たちは、子ども時代、なにか悪いことが起こると「わたしが悪い子だから?」とまるで全て自分が原因であるかのように考えてしまいます。

客観的に物事を捉える力が未発達なためです。

こういった子ども時代の思い込みが問題の原因となることは少なくありません。
だから、掛け違えたボタンを外すように、思い込みを手放してみると、世界観が変わるんですね。

Aさんの場合
・期待に応えられなくても、いい。
(期待通りに振る舞わなくても、怖いことは起こらない)
・「○○したいなぁ、○○欲しいなぁ」というのは、 相手の思いだが、 Aさんになんとかして欲しいという意味ではない。

上記のような
「新しいものの見方」を取り入れることで、それまで感じていた「期待にはちゃんと応えなければ」という思い込みを手放すことにチャレンジすることで気持ちがラクになっていきました。

◆他人も自分も大切にする◆

誰かの思いを大切にしすぎると、他人に振り回される感じがして、自分を見失ってしまうことがあります。

誰かの思いを大切にすることが悪い訳ではありませんよね。

でも、それがあなたを苦しめているのだとしたら、誰かを大切にすることと自分を大切にすることのバランスが崩れているのです。

崩れたバランスは、再調整すればいいだけです。

誰かを大切に思うあなたの優しさが、あなたとあなたの大切な人の幸せにつながるよう、不要な思い込みを手放していきませんか?

この記事を書いたカウンセラー

About Author

那賀 まき

夫婦関係や子育て、対人関係、仕事、障害児の家族の問題など幅広いジャンルを扱う。特に「ずっと一人で頑張ってきた人が『より楽によりよい人生を選択できるようになるサポート』が好評である。 お客様から「無理のない提案で確実に変化できた」「会うと元気になる」等の感想が多く寄せられている。