離れていても、愛は届く

私は以前ウサギと暮らしていました。

灰色のふわふわの毛で、耳が垂れている雑種の雄のウサギです。

名前は「きなこ」といいます。

私ときなことの出会いは、大学4年生の9月でした。

市内の古いペットショップで、彼を見た瞬間に「この子と暮らしたい!」と思って家に連れて帰りました。
生後数ヶ月の赤ちゃんウサギで、本当に可愛かったのです。

私が通っていた大学は動物を扱う大学だったこともあり、動物好きの子は沢山いたんですね。
だから、一人暮らしで犬や猫などの動物を飼っている子もたくさんいました。

そのため動物を飼っている子は、実家に帰省する際に友達に自分のペットを預けることも多く、私もよく友達のペットを預かっていました。

当時私は学生向けのアパートに一人暮らしをしたいたのですが、すごく広い部屋に住んでいたので、動物を預かりやすかったのです。
(1DK17.5畳の部屋なのに、家賃が3万8,000円でした。激安。笑)

私が預かった動物の中でも、一番印象に残っていたのはウサギでした。
その子も灰色のウサギでした。

「銀之丞(ぎんのじょう)」という渋い名前の雄のウサギを預かった時、静かだけど個性もあり、なによりかわいい!!とウサギの魅力にどっぷりハマってしまったのです。

その経験から、私はウサギを飼いたいと強く思うようになりました。

その時に出会ったのが、きなこでした。

きなこは私が卒論でいっぱいいっぱいの時も、病気一つせず元気に生きてくれました。

研究室で徹夜してお家にお留守番をさせてしまうこともあったのに、それでもきなこは私を嫌うことなく、私に頭を撫でられるとすごく幸せそうな顔をしてくれました。

いつもきなこは無条件に私を愛してくれました。

大学を卒業した後は、きなこと一緒に実家に帰りました。
両親にはウサギを飼っていることを伝えていなかったので、驚かれ怒られましたが、結果的に動物好きの母はきなこを溺愛するようになりました。

母は毎日きなこのために朝晩新鮮な野菜の盛り合わせを作り、おやつにリンゴを切ってあげていました。
そして一緒にお昼寝をしていました。

そのおかげできなこは長生きしたのだと思います。

私は仕事で1日ずっと一緒にいることはできなかったので、母には本当に感謝しています。

きなこは10歳10ヶ月で天国に旅立ちました。
人間でいうと、90才ぐらいです。
とっても長い間私のそばにいてくれました。

最後は私の腕の中で息を引き取りました。

きなこにしたあげたかったこと、してあげられなかったこと。
数えればたくさんあるし、私は良い飼い主だったかはわかりません。

でもきなこは、最後の瞬間も私の腕の中を選んでくれました。
私は最後まで愛されていたんだと思います。

亡くなってから今年で5年が経ちました。

きなこに会いたい。またふわふわの毛を撫でたい。
きなこが大好きな気持ちは今も何も変わりません。

そんな私に、ここ数年不思議なことが起こっています。

それは、私のまわりに「きなこ」という名前の動物に出会う機会が増えてきたことです。

「きなこ」という名前は決してメジャーな名前ではないはずなのに、なぜかよく出会うのです。

最近では、近所の飼い猫さんが「きなこ」という名前でした。

近所のきなこさんは、うちの垂れ耳のきなこと同じぐらいフワフワで人懐っこいので、道で会うたびお腹を見せて撫でさせてくれます。

ある日「きなちゃん、かわいいねぇ」と言いながら、猫のきなこさんを撫でている時に気がつきました。

もしかしたら、天国のきなこが私の願いを叶えてくれたのかもしれないって。

垂れ耳のきなこは、残念ながらもう肉体がないので撫でてあげることはできません。
だから遠隔で、猫のきなこさんを私に派遣してくれたのかもしれない。

そう思ったら、天国からきなこの愛が届いたような気分になり、涙が止まらなくなりました。

生き物は亡くなってしまうと肉体がなくなり、残念ながら直接触れることはできなくなります。
でも、愛だけは変わることなく存在します。

もしかしたら、天国にいるあなたの大事な人やペットも、あなたに何度も愛を届けているのかもしれません。

ぜひそんな目であなたの周りを見渡してみてくださいね。
きっとあなたに愛が届いているはずですから。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

にしむら みく

コミュニケーションの問題の改善、クライアントが本来持っている才能を引き出すことを得意とする。心理分析や解説など、説明のわかりやすさには定評がある。明るく親しみやすい雰囲気と、論理的な思考をあわせ持つため、幅広い世代(10代〜70代)に支持され、LGBTの方からの相談も多い。