あなたの辛さは、あなたの優しさに変わる

時々、お土産をいただくことがあります。

いただいた時は「喜ばせたい」、「美味しいものを食べさせてあげよう」、「めずらしいものだから持って行ってあげよう」などの持ってきていただいた方のお気持ちを想像し、たいへんありがたく思っております。

その中で、少々重みがあるものをいただくことがあります。
例えば、お酒とか、ジュースとか、果物とかです。

少々重みがあるものをいただいた時は、重い思いをするのに持っていってあげようと思ってくださったなんてありがたいなぁ〜とそのポイントにも感謝を感じます。

約10年ほど前から特に、そう思うようになりました。

そのきっかけはワインでした。

約10年ほど前に旅行に行った際に旅先でワインがとてもおいしかった経験をしました。

とてもおいしかったので、友人たちにお土産に買って帰ってあげようと10本ほど買って帰った覚えがあります。

瓶のワインを10本ほど買って持って歩くとどうなると思いますか?

そう、めちゃくちゃ重くなります。

最初は良かったのですが、土産に買ったワインを持って歩いているとだんだん重くなってきて、「手が痛いよー、重いよー、しんどいよー」となってきました。

そしてこう思ったのです。
「二度とワインをお土産には買わない」
と!(笑)

そんな経験があったので、重い思いをして持ってこようと思ってくださったことに感動してしまうのです。

これには多分に投影というものが働いていると思います。

投影とは自分の心を外に写し出すことで、ざっくり説明すると“自分がこう感じるように、人もこう感じるだろう”と自分の心の動きを人に当てはめてみるようなものです。

例えば、『自分が初対面の人には相手から積極的に声をかけてもらえたら嬉しいように、相手も積極的に声をかけられると嬉しいだろう』とか『自分が初対面の人には相手からグイグイこられると苦手に思うように、相手もグイグイ行くと嫌かかもしれないから徐々に話しかけていこう』などのように、自分の心の動きを相手に当てはめて物事を見るのです。

私の少々重いお土産をいただいた時に感じることも、この投影というものが働いていると思います。

私が昔、ワインという重いお土産をチョイスした時に運ぶのが大変だったよう、このお土産を持ってきてくださった方も大変だったのでは!と思ってしまうのです。

実際のところ大変だったかどうかは本人しかわかりません。

重たくて大変だったなぁと思いをしながら持ってきてくださったかもわからないし、力持ちの方で重さなんて気にならないという方だったのかもしれません。

実際のところはわからないのですが、私はそう思ってしまうのです。

10年ほど前に手が痛い思いをしてワインを運ばなければ、もしかしたら、お土産をいただいた時に「重い思いをするのに持っていってあげようと思ってくれてありがたいなぁ」と、思うようにはならなかったのかもしれません。

そう考えるとあの時は、手が痛くて、重くて、しんどくて嫌だったけど、あの経験があって良かったなと思います。

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話は変わって、カウンセリングではクライエントさんが辛かった経験、大変だった経験を話してくださることがあります。

辛かった経験、大変だった経験をされた方は優しい方が多いように思います

それはもしかしたら、ご自身が辛かった経験、大変だった経験があるからこそ、人の辛さや大変さが、より親身にわかるのかもしれません。

私のワインの話と、クライエントさんが経験された、辛い経験、大変だった経験は、同じレベルの話ではなく、別レベルの辛さ、大変さの話になるのですが、投影の心理が働くという心のメカニズムという意味では、同じことが起きることがあるのだと思います。

辛かった経験、大変だった経験をされたことは良かったこととは言えないのですが、その経験は決して無駄にならず、人の気持ちが理解できるという、あなたの優しさに変わるのだと思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

原 裕輝

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪・福岡の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。