心の準備が大事

私は球団のファンクラブに入るくらいの野球好き。
別の球団所属なのですが、10年ほど前からご贔屓の野球選手がいます。
超人気選手でも特に有名な選手でもありませんが、明るい性格が魅力的なのです。
BS放送でも試合中継が少なく、時々スポーツニュースで見る程度でした。
他球団に移籍してからは出場回数も減り、その活躍を関西でみることはさらに難しくなりました。
高校の同窓会でのことです。
同級生がある球団の関連会社でお仕事をしています。
同窓会で久しぶりに会った友人と野球の話をしていました。
急に思い出したのですが、私のご贔屓の野球選手が移籍したのは、まさしく彼の勤めている会社の関連球団だったのです。
私「ねぇ、○○選手ってあなたのところの球団に移籍したんじゃなかったっけ?」
友人「そうだよ。へぇ。詳しいね。」
私の目はハートマークになりました。
熱烈でなかったとしても10年もご贔屓だった選手に会ったことがある人を目の前にして、反射的にこう言っていました。
私「彼のファンなの。ユニフォームにサインもらってきてよ。」
でも、私は全く実現するとは思っていませんでした。

1年後。
この友人と連絡を取る機会があったので、
私「サイン入りユニフォームのこと忘れてないよね?」
と、付け加えました。
もちろん忘れてるであろうことは承知していました。
本気ではなくて、ちょっとした冗談のつもりで催促したのです。
友人「あ!!ごめん。忘れてた。必ずサインもらってくるから!」と返事をくれました。
実現するはずがないと思っている私はこれも社交辞令として受け取っていたのです。
私「よろしくねー。」と返事をしました。

さらに半年後。
私がすっかり忘れていたところに、
友人「週末に仕事で球場に行くことになったから、サインもらってくるよ。」
とSNSでメッセージがきたのです。
「え?本当に?サイン入りユニフォームが手に入るの?」ここでようやく現実味を帯びたのです。
「マジでーーー?ウソでしょーーー!」
私はあまりの嬉しさに小躍りしました。
「聞いてーーー!」って大声で誰かに言いたい気分でした。
「嬉しい!嬉しい!嬉しい!嬉しい!」と、今まで感じたことがないくらい嬉しくて、舞い上がっていました。
『有頂天』ってこういう状態のことなんだなって思いました。
友人「念のために住所教えて。送るから。」
私「ありがとう!」と、SNSで住所を送信しました。

ここからが問題だったのです。
それから1時間ほど経つと…。
「SNSって最近乗っ取りが多いよね。あれって本当に○○くんだったんだろうか?どーしよー?確認せずに住所送信しちゃった。やばくない?オレオレ詐欺って、こういうこと?品物を送りつけてお金取る手口もあるってニュースで言ってたし。やばいんじゃないの??あぁ!もうっ!なんで住所なんか送っちゃったんだろう。」と、私は急にどんどん落ち込みはじめたのです。
そして、ドキドキして妙にゾワゾワしてきてパニック状態で泣きそうでした。
「どうしよう。住所送っちゃったし。やばい。どーしよーー!!!(泣)」
それから数時間後。
「ちょっと待て。冷静になれ。落ち着け。落ち着いて考えよう。」と、自分で自分に必死で言い聞かせていました。
そして、心を落ち着かせて冷静になって考えてみると、
「でも、同窓会のときのことも書いてあった。彼しか知らないことが書いてあったよね。本人からのメッセージなはず。じゃぁ、詐欺ではないはずだよね。」との結論に達して、とりあえず頭では納得したのです。
が、すぐに100%安心できたわけじゃなくて、ほかの友人にも確認してみました。
やっぱり詐欺だったらイヤだから。
友人は「この言い方は本人に間違いないと思うよ。」と言ってくれました。 

さて、あんなに有頂天に嬉しかったのに、どうして、私は急に落ち込み始めてしまったのでしょうか?
どうして、パニックになって泣きそうになったのでしょうか?
どうして、全てを疑い始めてしまったのでしょうか?
それは、実現するとは思っていなかったからなんです。
本当に手に入るとは思っていなかったのです。
だから、急に本当に手に入ることになって怖くなってしまったのです。
心の準備が全くできていなかったのです。

しかも、「サインもらってきて。」って言っただけで、ほとんど苦労することなく、10年間ファンだった人のサイン入りユニフォームが手に入るなんて。そんなラッキーなことが私に起こるなんて、信じられなかったのです。

『人間の最大の怖れとは「幸せ」になることの怖れである』
これは今まで私がセミナーで何百回と聞いてきたフレーズです。
今回のことは怖れが『信じられない=疑い』という形で現れた、ということになります。
人って、予期せぬ幸運がやってくると本当に怖くなるのですね。
この自分の反応には本当にびっくりしました。
以前の私だったら、SNSメッセージを怪しんで返事をしなかったかも。
住所も教えなかったでしょう。
怖がりだから。
だとしたら、自分から「ちょうだい。」と頼んでおきながら、私はサイン入りユニフォームを手にすることはできなかった、ということになります。
それから、1ヶ月後。
私の手元にサイン入りユニフォームが送られてました。
めでたし、めでたし。

欲しいものが手に入りそうになった時に、ものすごい喜びを感じると同時に、ものすごく怖くなってびっくりしました。なので、望むことを手に入れるためには、心の準備がことのほか大切だと痛感しました、というお話です。
ちょっと考えてみてください。
サイン入りユニフォームでさえ、この反応なのです。
これが理想的なパートナーや、ずっと夢見ていた仕事だったら?
もっと大きな怖れを感じるわけですから、急にパートナーが浮気者に見え始めて信じられなって嫌いになる、なんてことが起こっても不思議ではありませんね。
目の前にやってきた「幸せ」をみすみす逃してしまわないためには、心の準備がとても大事だということなのです。
『あなたが望むものは心の準備ができた時にやってくる』と言われることもあります。
来たる幸せへの心の準備をするためにカウンセリングが役に立つと思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

家族を失った悲しみを乗り越えた経験や、燃え尽き症候群を克服し社会復帰した経験を持ち、<生死の問題><自分自身の生き方><対人関係から恋愛の問題>まで幅広いジャンルをサポートする。 感情や感覚の深い部分に寄り添い、本来の自分を取り戻して笑顔になれるようにサポートすることを信条としている。