許しについて(2)~彼と結婚してよいのか?と悩む私と「許し」~

私たちは必ずしも目の前の問題だけで葛藤しているとは限らない。

今回は「彼と結婚していいのか?と不安になり、彼との関係がちょっと荒れ気味、ギクシャクしてしまって悩んでいる」という事例から、許しと感情の解放について解説しています。心は目の前の物事を内面的な心理シンボルで捉え、感じていることがあります。だから「目の前の問題」についていくら深く考えても気持ちがすっきりしないこと、決断できないこともあるんですね。そんなときは、ちゃんと私の感情や投影に気づき、解放することが、許しにつながる。そんなお話です。

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前回の講座で「許し」はあなたの投影の世界観を変えるものですよ、と解説させていただきました。※もちろん許しの効能はそれだけにとどまらないのですが、今回はシンプルにお伝えしています。

さて、私達のココロを更に深く見つめていくとき。

ココロはいわゆる「シンボル」を通じて物事を感じとっていることがあります。

例えば

母親は、母親、という存在だけでなく、親密感・安心感などのシンボル・意味などになりえます。

父親は、父親、という存在だけでなく、社会、お金、男性的に自分を守ってくれる存在のシンボル・意味などになることがあります。

普段はなかなか意識できないことかもしれませんが、例えば、母親との葛藤を持っている方が、結婚や母親になることに対する抵抗感を持つようなことがあるんですね。それが「今の私」の問題を作っていることもあり得ること。

今回はご相談事例によくあるケースから許しについてのテキストを進めます。

Aさん(仮名・20代女性)のお悩み。
「今の彼と結婚してよいのか?」というマリッジブルー的なご相談があったとします。

彼は同い年で仕事もしっかり頑張っている男性。お付き合いして3年ほど経過し、お互いに結婚を意識するようになった、というケース。

ただ、彼とのお付き合いも最近ちょっと荒れ気味で、彼の嫌なところがイチイチ気になる様子。彼のクセ、だらしないところを指摘しては責め、「ほんとうに彼で良いのか?」と考えてしまっている、というご相談をいただいたとします。

結婚を考えるようになってから、彼でいいのだろうか?と感じる私。こういったご相談をいただきますと「そんな私が悪いのかもしれませんが・・・」と自分が悪いといった気持ちを持ってご相談くださる方も多いんです。

ただ、ここで「自分が悪いのでは(それがひっくり返った「私は悪くない!」も同じです)」と思ってしまうと、間違いなく今のパートナーもあなたにとっては悪者になってしまいますし、私も同じような存在だという認識が生まれてしまいがち。こうなると「何が悪いのか?」の原因探しばかりになり問題解決に前向きになれなくなるかもしれませんね。

「そう思うお気持ちは私なりにわかります、が、いい悪いじゃなく、何故そう感じるか?が大切かもしれませんよ。まず今の感じている気持ちを認めて、そうなんだなと許してみましょう。」

自分を責めているだけでは「何が悪いか」ばかりが気になって、どうするといいか?が見えなくなってしまいますからね。これも一つの自分への許可ですね。

さて、今回のようなお悩み。平たく考えてみると「私の結婚相手は彼でいいのか?彼の嫌なところを私は受け容れられるのか?」と悩んでいる風に見えますね。

しかしカウンセリングでは、そうも考えますが、そう考えないことがあります。

もしこれが彼女の投影だったとしたら・・・。

つまり、彼の嫌なところが見えている、これが投影なんではないか?だとすれば、彼女が感じているのは「自己嫌悪」である可能性があるということ。

結婚に不安が強いのは彼女の方で、彼は乗り気なのではないか?だから、その不安を回避するために彼の嫌なところを感じるようになった可能性を見つめるんです。

どうやら彼女は自分が結婚するにあたって、いろんな不安を一人で抱え、押し殺していたのかもしれません。

しかし彼女はどうしてそこまで不安になるのでしょうか。

一般的な意味合いでの「結婚する」ことは、妻になる、そしてその先に母になる可能性をがあるものですね。そこで、彼女と彼女のお母さんとの関係性に着目すると・・・。

例えば、彼女のお母さんはいい人なんですが若干ネガティヴで心配性な人。少し過干渉な部分もあって、彼女はそのお母さんにとっていい子を演じてきた、としましょう。

「だからお母さんのことは・・・正直嫌いかもしれません。私のことを思い通りにしたかったんだろうし、お父さんとの関係もケンカが多くて良くなかったし。」

彼女はお母さんに対しての嫌悪感や攻撃性を持っていたとします。

これが意味することは、自分が妻や母になると誰かに責められるのでは?と感じやすくなる、ということ。しかし、自分がそんな投影の中にいるとはなかなか気づきません。が、彼と一緒にいると結婚が近づいてくるわけで、不安も強まるんです。

だから、彼女は彼の嫌なところを見つめてその二人の時間の流れを止めようとしていたのかもしれません。

が、彼のことは好き。でないとカウンセリングにはお越しになりませんね。これが彼女の理由の分からない、しかし置き所のない不安の理由だった、というお話です。

こういったカウンセリングの流れとしては、母に対する許し、を向けていくことがまず一つの着地点になっていきます。

が、なかなか親子関係の葛藤は「許せばいい、許したい」と分かっていてもすぐ解決できないこともあるんですね。それぐらい根が深いとも言えますし、それぐらい愛と憎しみのような感覚が伴いやすい部分でもあります。

だから彼女の中の「ずっと母にとっていい子をしてきた私の解放」を考えることも多いんです。今までの自分を許す、ということですね。

まずは彼女が抱えてきた「母」に対する思いをカウンセリング・セラピーの中で吐き出していただく感じです。

すると、時に「母に対して激怒している私」が登場することもあるんですよ。他にも言いたいことがあるけど言えない私、母の生き方を批判的に見ている私・・・もよく登場します。

これ、そのままにはしておかない方が良いことも多いんです。

怒れば気分がスッキリしていいという単純な話ではなく、母に対する激怒を抱えている分だけ自分の中でその投影が働くからです。自分が結婚した後に、誰か(夫を含め)から責められる攻撃性を感じるから、という意味で。

ここをなかったコトにしていい子を続け、表面上母を許そうと頑張ってもなかなか不安が消えないことも実際は多いんですね。が、実際に母親を責めてしまうとひどい罪悪感を抱えてしまうことになるので、このあたりはカウンセリング・セラピーが効果的に働く部分です。

そういった怒りなどの感情の解放をセラピーで進めた上で、お母さんに対する感謝、つまり母を理解し許す事を進めていただくんです。無理に最初から許そうとしない、といった感じですね。

そのうえで、お母さんに対して伝えたいこと。してもらって嬉しかったこと。そもそもどうして私はお母さんのいい子を担ってきたのか、その動機にまで気づいていただくこともありますね。

私の中で、母に対する感情を解放し。実際の母をも解放し。過去の自分をも解放する。

こういったプロセスによって、自分の中の母に対するネガティヴな投影を手放すことができ、その結果、彼女の結婚に対する価値観(投影)が、より怖れを感じない、よりよいものに変化していくのですね。

>>>『許しについて(3)~いつも損な役ばかりに回る私と「許し」~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。