怖くて、気持ち悪くて、不快な人

相談者名
初めまして。よろしくお願いします。

習い事で、一人 苦手な人がいるのですが、少人数のために絶対に関わらなくてはならないのでストレスを感じています。

このサイトのコラムなどで、嫌いな人は「自分が禁止してることを堂々とやって見せる人」と書かれていました。それも当たってると思いますが、むしろ、こんな人にはなりたくないという恐怖が強いような気がします。

その人は女性ですが、体が大きくて筋肉質で、見た目は男性と間違うような外見です。機嫌が悪くなると突然 声を荒げるし、力が強いので怖いです。
私は親の体罰がひどかったので、いまだに そういう人には萎縮してしまいます。
気持ち悪く感じるのは、オジサンのような風ぼうなのに、仲良い人には過剰にベタベタくっついてくるからです。今は よそよそしく距離を置いてるので私には寄ってきませんが、もし表面的にでも愛想良くしたらベタベタされそうで気持ち悪くて、やっぱり親しくできそうにありません。

不快なのは、その人は50代ですが、挨拶もろくにできず、無愛想な人なのです。私も根は無愛想ですが、礼儀には注意して、周りとうまく付き合えるように気を使っています。でも、彼女を見てると、自分も一歩間違えば、ずっと独身であんなふうに変わり者になってしまいそうで怖いです。反抗期の子供のような態度なので、軽蔑する気持ちもあります。

同じ習い事の他の人たちは、彼女と上手に距離を取って、関わらないようにしながらも、敵にもならない関係を築けています。

私は顔に出てしまうので、向こうも好感を持ってないことに気づいています。
どうすれば、彼女に対する怖い、気持ち悪い、不快な気持ちが解消できるでしょうか?

カウンセラー
池尾昌紀
Aさん
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

誰かのことを、「怖い、気持ち悪い、不快、嫌い」などの否定的な思いを感じる時というのは、会う度に、その思いがこみ上げてくるので、その人に会う事そのものが嫌になってしまいますよね。
Aさんが思いを書いてくださったように、会うのを避けることができたらいいのでしょうが、どうしても接点を持たなければならない人では会わないという選択もできず、それはとても大きなストレスになってしまいます。

単に、その人が嫌いだから会いたくない、ということではなくて、どうしてこんなに大きなストレスになってしまうのかを心理学的に見てみましょう。

まず、一つ目の視点です。
誰かに対して怖れや嫌悪感を持つ時というのは、「その人のことが嫌い」に思えるものです。その人に問題がある、その人に原因がある、と思う訳です。これは当然ですよね。

でも、心の中では、「その人」そのものを認識して、感情が動いているのではありません。

「その人」を見て、そこから連想される思い、時には過去に出会った人や出来事があって、それに対して自分の心が嫌だ、と感じるわけです。

例えば、仕事に行くのが嫌だ、と思っている人がいるとしましょう。
その人は、その仕事の内容や職場が嫌だと感じていますが、心の中では、職場に行くと感じる感情が嫌なので、仕事や職場が嫌だと思ってしまうわけです。

この視点で整理すると、「私はこの人そのものを嫌っているわけではない」ということがわかります。
そう思えるだけで、人の心はとても楽になれます。

どんな人でも、誰かを嫌いになりたいと思っている人はいません。
人を嫌いになるというのは、とても気分が悪いものです。
そんな風に誰かを嫌いになる自分が嫌になったりもします。

「私はその人を嫌いなわけではない」という視点は、
そうした人を嫌いになるという罪悪感を軽くしてくれます。

まずは、そうした視点で見て上げてください。

次に、二つ目の視点です。
それでは「その人」を見て感じる感情の正体は何なのでしょうか。

その人から連想される思い、人、物事、出来事があるとしたら、それは何だろうと考えてみます。

例えば、身近な人、お母さん、おばあちゃん、姉、妹、親戚など、近くに同じようなタイプの人はいなかったでしょうか。
もし、いたとしたら、「今、嫌いに感じるその人」を通して、過去の自分の近くにいた人を思い出しているのかもしれません。
お母さんが男っぽいタイプで、それが子ども心に嫌だった、とか、姉が同じタイプで、昔よくいじめられていた、とか。
そうすると、過去の嫌だった思いがよみがえってきて、「今、嫌いに感じるその人」のことを、心の奥底では「お母さん」とか「お姉さん」に思えてきて、「お母さん」や「お姉さん」に感じる感情を感じて、それが嫌だ、ということになります。

ですから、その人をなんとかするよりも、例えで出した「お母さん」なり「お姉さん」なりに対する私の感情を整理したり、どうして嫌だったのかを見ていくことが役に立ちます。
多くの場合、その嫌な感情は誤解であったりしますので、カウンセリングでは、それを「手放す」「許す」などのアプローチをして、大元の私の身近な人に感じていた「恨みつらみ」や「怒り」や「本当はこうして欲しかった」といった感情を解放していきます。

そして、最後に。
Aさんに是非、お伝えしたいのは、Aさんがとても心の優しい方だということです。

ご相談くださった人のことを、こんなに怖くて嫌悪しているのに、それに深く悩み、こうしてご相談くださっているご自身の心の優しさを感じて欲しいということなんです。
自分が辛いから相談したのだ、と言われるかもしれませんが、本当の気持ちは、その人のこと嫌いになりたくないという「優しさ」から来ていると僕は思います。

もし、優しさがないとしたら、こんな風にわざわざ相談を寄せてくださるほど悩んだりしません。

どうか、ご自身の心の中にある「大きな優しさ」を感じて、認めてあげてください。
そんな素敵な自分を認めてあげることが、これからAさんが生きていくのに、きっと役立ちます。

あなたは誰からも愛される素晴らしい「優しさ」を持った方なのです。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。