心の壁を作ってしまう彼について。

相談者名
kaho
彼の事でご相談させて下さい。彼は小学校の頃から受験を重ねエリートコースを経て大手企業で今は重役を任されてます。付き合って半年ちょっとです。彼に「慈しみとかそういうのないんだよね」と言われた事があります。ずっとその発言は気になっていたのですが、心と心の距離が近くなりそうになると、物凄い勢いで逃げて行きます。音信不通になるんです。1か月2ヶ月放って置くと、何事もなかったように連絡が来て…の繰り返し。そこでまた色々突っ込むとまた連絡が取れなくなってしまうので、こちらも何事もなかった様に接していたのですが、私が少しずつメールで「この約束楽しみにしてたんだけどな?残念だな?」とか「私はこう思ってるんだけど~さんはどうなのかな?」と責めずに心情的な事を伝える様にしてみた所、SNSをブロックされてしまいました。特に更新とかもしないのに。。私の勝手な理解ですと、そういう形で壁を作る事で心の壁を強化できたつもりなのかな。と。
彼はそれでも私の事は好きでいてくれてるのは分かるんです。でも「好き」という感情は持てるけど「愛」まで深くなりそうになるとどうしてう良いのかわからなくなるようにみえます。彼は家族とも仲良しだし、DVとかがあった様には見えないのですが、育った環境が影響しているのでしょうか?例えばご両親はとにかく「勉強さえ出来ればよい」で愛情不足?とか?
私も傷つく事が多くて、何を話しかけても話してくれないし、伝わってるかどうかも分かりません。でも放って置く事も嫌いになることも出来ず。何が原因でそうなってしまったのか。私はどう接してあげたらよいのでしょうか?
カウンセラー
中山けんたろう
kahoさん、はじめまして。
ご相談を担当させていただきます、中山けんたろうです。
よろしくお願いいたします。

さて、エリートコースを歩んで来られた彼氏との付き合い方にほとほとお困りのご様子。
心中お察しいたします。

お付き合いをされて半年ちょっとですから、もっと二人の時間を持って、お互いのことを知り合ったり、時間や空間、それに感情を共にされたい頃だと思います。
ところが、心と心の距離が近くなりそうになると音信不通になってしまう。
「一体何を考えているんだろう?」と疑問に思われるのも無理はありませんね。

何が原因でそうなってしまったのか、本当のところは彼自身もわかっておられないと思います。
好意を持つ相手に対してお書きいただいたような接し方をすれば、相手に好きになってもらえるどころか、まず間違いなく振られてしまいますから。

彼が無意識の部分でどのように思っているかと言うと、
「自分に好意を持ってくれるのは、どうせ自分がエリート校出身で、大手企業で重役をしてて、それなりの収入がある身分だからだろ?」
というところだと思っていただいて間違いないと思います。

言い換えると、「エリート校出身でもなく、大手企業の重役でもなく、それなりの収入もなければ、誰も自分を愛してくれないんだろ?」
ということになります。

彼は、「素の自分」、つまり、「一人の人間である「自分自身」という存在は、どうせ愛してもらえないんだ」と思っているわけです。
「心と心の距離が近くなりそうになると、物凄い勢いで逃げて行く」というところからわかります。
心と心の距離が近づいて、素の自分が相手に触れられそうになるかもしれないと思った瞬間、「素の自分を見せたら自分は愛されない。終わりだ。」と思ってしまうから物凄い勢いで逃げて行くわけなんですね。

一般的には、育った環境が影響しています。
彼は小学校の頃から受験を重ねてきたわけですね。
いわゆる「お受験」で小学校にも受験をして入学したのでしょうか。

いずれにしても、幼稚園から小学校の頃というのは、お父さんとお母さんのことが大好き大好きで、両親に愛されることが唯一の望みと言ってよいくらいの時期と言われています。
その時期に、勉強をして入試を突破することを両親から期待されたわけです。

「勉強さえ出来ればよい」という両親に育てられた場合、その子どもは、次のいずれかのパターンを進むことになります。

・親からの愛情を獲得するために一所懸命勉強を頑張る。
・親からの愛情を諦め、親に反発してグレる。
・自分のやりたいことを見つけて我が道を行く。

彼の場合は、一所懸命に勉強を頑張り、両親の期待に見事に応えながら生きて来られたわけです。
そのようにして長年生きて来られた方の場合、自分の「勉強ができる」という部分やそれに付随する部分を両親や他人が愛してくれるのであって、「素の自分自身は愛されないんだ」と思い込んでしまう場合があります。
おそらく彼はそのパターンと思ってよいでしょう。

つまり、彼の心の中にはこのような思いが根を張っているわけです。

=>素の自分は愛してもらえない。
=>素の自分は愛されるに相応しくない。
=>もし素の自分を相手に見せたとして、素の自分が愛されなかったらどうしよう。

これらが、彼の心の中に強烈な恐怖心、言い換えると「怖れ」の感情を引き起こすことになります。

kahoさんは、彼から「慈しみとかそういうのないんだよね」と言われたことが引っかかっておられたわけですね。
人間の心には投影の法則というのがあって、自分自身に対して思っていることを他人にもあてはめてしまう働きがあります。

彼がkahoさんにそのような言葉をおっしゃったということは、彼も自分自身に対して「自分には慈しみとかそういうのはないんだ」と思い込んでいらっしゃることを示しています。
彼の言葉の裏には、「自分には慈しみとかそういうのはないよ。だから、近づいてきても傷つくだけだよ。適度に距離を置こうね。」というメッセージが隠されている訳なのです。

kahoさんとしては、まだつきあって半年ちょっとな訳ですから、放っておくことに抵抗を感じられるのも無理はありません。
まして、嫌いになることもできませんよね。
好きになったり愛するプロセスを経て、嫌いになるわけですから。

「愛する」の反対は「嫌う」ではありません。実は「無関心」なのです。
でも、お二人の場合は、まだそこまでの段階に達していらっしゃらないようです。

最後になりましたが、そのような彼に対して、どう接してあげたらよいのかについてですが、彼は相当手強そうですね。
「心情的なことを伝えるようにしてみたらSNSをブロックされた」ぐらいに、彼は自分の心に触れられたくないわけです。

kahoさんとしても、傷つく事が多くて何を話しかけても話してくれない・・・。
このまま付き合い続けることが、kahoさんにとって本当に「幸せ」につながることなのか、じっくりご自分自身に問いかけられてみられてはいかがでしょうか。

彼の心は、いわば「ガラスのハート」です。(実際は彼の思い込みなのですが。)
他人が少しでも触れようとすれば、バラバラと崩れてしまいます。(と、彼が思い込んでいるだけなのですけどね。)
彼自身ですら、自分の心の扱い方がわからないわけです。(あえて触れないようにしているのです。)

彼に対しては、例えば、「学歴、地位、肩書きにはあまり興味がない。」ということをそれとなく伝えられてみてはどうでしょうか。
「それとなく」です。
最初はそうと分からないくらいに、「それとなく」です。
「あなたの素の部分を知りたい」というkahoさんの心に感づかれたら、物凄い勢いで逃げて行きますから。

でも、最終的に彼の心の壁を崩すことができるのは、「愛」の力と、彼と心でつながろうとする「親密感」です。
それに加えて、彼が自分自身で心の壁を作ることを止めてみようとする「決心」が要ります。
kahoさんとしては、愛と親密感を彼に与えることはできると思いますが、あとは、彼が自分の心の壁をなんとかしようと決心できるかどうかにかかっています。

彼の心を無理矢理に変えることはまずできないと思っておいておかれてよいと思います。
そうなってくると、kahoさんが彼に対して「愛」と「親密感」を持ちながら、でも、彼がそれらを受け取れないことに理解をしながら、彼が決心できるまでいつまで待てるかにかかっていると言えます。

とてもつらい状況だとは思いますが、今回のご相談がkahoさんにとって何かしらのヒントになれば幸いです。
ありがとうございました。

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