先日妻がなくなりました。どうしていいかわからなく相談です

相談者名
SY
自分の中で妻と会えないと考えてしまうとさびしさでいっぱいになってしまいます。心の中では妻との約束を守って元気に過ごしていかなければとわかっていてもふとしたときに無気力になってしまい、どうしたらいいのかわからなくとりあえず相談させてもらえたらと考えています。
時間でしか解決できないかもしれませんが、他にいい方法があればアドバイスおねがいします。
カウンセラー
三島桃子
SYさん、初めまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよろし
くお願いいたします。

SYさんは奥様を亡くされたばかりなのですね。

寂しくてたまらないのは当たり前ですし、無気力になってしまう時があるのも当然の
ことだと思います。

奥様は、大切なSYさんが心配で、「私がいなくても元気に過ごしてね」ということ
をおっしゃったのだと思います。でも、その約束を果たすのは、まだまだ先になって
もいいことだと思います。

「グリーフケア」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

「グリーフ」とは、「悲しみ」という意味です。「グリーフケア」とは、大切な人を
亡くし、悲しみに包まれた心を癒していくことについての考え方です。

グリーフケアにはプロセス(過程)があります。単に早く元気になるということを目
指すのではなく、感情というものがたどるプロセスを大切にしながら、心の土台が安
定していくような癒しを大切にして考えます。

まずは、とにかく悲しんでいいのです。亡くなった大切な人を悼むための大事な時間
だと考えてください。

例えば1か月、悲嘆にくれる許可を自分に出してあげてください。1か月で終わらな
ければ2か月でも、もっと長くなってもいいでしょう。大切なことは、「こんなふう
に悲しんではいけない」とか、「早く立ち直らなければ」などと思わないことです。
「今はとことん悲しんでいいのだ」と思えると、感情を深く深く感じることができま
す。

そして、深く深く感情を感じることで、人の心は落ち着いていくようにできていま
す。悲しみがなくなるわけではないのですが、痛みの強い感情が、やがて深みのある
穏やかな感情に変わっていくのです。

***

また、大切な人を亡くした場合、私たちは悲しみの他にもいろいろな感情を感じま
す。

悲しい、寂しい、はもちろん、せつなさ、やりきれなさ、環境の変化への不安、助け
られなかったという罪悪感…

そして、時に見落としがちになるのが、「腹立たしさ」や「怒り」の感情です。

なぜ、よりによって自分の大切な人が命を失わねばならなかったのか?行いが悪い人
間たちがのうのうと元気に生きている一方で、なぜ、誠実に生きてきた私たちを悲し
みが襲うようなことになったのか?神様がいるとしたら、なぜこのような仕打ちを与
えるのか。これが運命だとしたら、あまりにも理不尽ではないか。

このような、「神様」や「運命」のような、漠然としたものに対する怒りを感じてし
まうのは当たり前なのですが、「そんなことは思っても仕方ない」というような感覚
で、自分の感情と向き合わないままになることもあります。そうすると、未消化のま
ま、怒りの感情が心の中に残り、実際の感覚としては「もやもやしてすっきりしな
い」「長いこと悲しんだけれど、まだ前に進む気持ちになれない」などという状態に
なります。

また、亡くなった人に対する「文句」の気持ちを持つこともよくあります。

「なんで先に逝ってしまったの」「もっと一緒にいたかったのに!」などの文句は、
感じて当たり前ですよね。

でも、「本人だってそうしたくてしたわけじゃないのに」と思うと、文句のひとつも
言いたいような気持ちを素直に感じられないこともあるんですね。でも、文句の背後
にあるのは、ひたすらにその人を愛する思い、ですよね。それは、亡くなったご本人
もわかってくださるでしょう。ですから、心の中で文句をつぶやいてもいいのです。
あるいは、叫びとして出てきてもいいでしょう。

「もっと一緒にいたかったのに、先に逝くなんて」と。

奥様が亡くなられたことでSYさんの中に生まれた様々な感情を底の方からしっかり
感じ切ることができると、悲しみはありつつも、心は失っていたエネルギーを取り戻
していくことができます。

ただし、ここでご紹介した「怒り」など、心の中にありながらも、自分自身が無意識
に感じることを止めている感情があると、そこの部分は消化されず、すっきりできま
せん。

また、何か特殊な事情があり、そのことが心にひっかかっている場合もあります。

例えば、医師である人が我が子を病気で失った場合、おそらく通常よりもさらに我が
身を責めたりすると思うんです。「自分は医師なのに、我が子を救えなかった」と。
そのような場合、医師としての気持ちの部分の整理も必要にる場合もあるんですね。

***

このように、グリーフケアにも様々な側面があるのですが、一番大切なことは、「心
の回復にはプロセスがある」ということです。

奥様を亡くしたばかりのSYさんにとっては、まずは素直に悲しみを感じることが大
切です。そしてそれは自然なプロセスですので、悲しむことをご自分に許してあげて
ください。

奥様は、そんなSYさんを優しく見守ってくださると思いますよ。そんなに愛されて
いることを喜び、いつか元気を取り戻すであろうことを信頼し、心配せずに見てくれ
ているはずです。

亡くなった人の魂は、「肉体」という制限を離れる、という考え方があります。制限
のある中では、誰でもいろいろなことを心配します。ああなったらどうしよう、こう
なったらどうしよう、と。制限の中で生きるということは、そういう不自由な感覚が
あるということです。

ですから、生前には、奥様はSYさんの今後を心配されていたことでしょう。

でも、今、制限のない世界に戻った奥様の魂は、何も心配せず、ただ信頼し、愛し、
見守ってくれている。そのように考えてみられてもいいかと思います。

悲しみを感じていくプロセスの中で、一人では苦しすぎる、あるいは出口が見えなく
なって不安が強い、など、気になることがありましたら、カウンセリングが何らかの
助けになる場合もあるかもしれませんので、よかったらお気軽にご利用ください。

また、日常生活の中では、仕事中など、悲しみを一旦横においておかないといけない
時間もあると思います。しばらくの間は、残業を多くしないなどして早めに帰宅した
り、休暇をとったり、ゆっくりと悲しみと向き合う時間を確保する方がいいかと思い
ます。

そうすることで、仕事の時などの気持ちの切り替えがしやすくなるかと思います。

参考になりましたら幸いです。
ご相談をいただき、ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。