仕事を辞めて、自尊心を失いました。

 

相談者名
ヒロシ
僕は今25歳で、一人暮らしをしています。今年、ファミレスに就職をしました。しかし、1週間ほどで辞めてしまいました。接客業をやりたいということはあったのですが、イメージとの実際働いてみてのギャップがありました。店舗では、「倒れたら休んでいい」と言われ、「一番奥にいる自分が、近くにいる店長副店長よりも、料理を運ばなければならない」ことや
「上の人より早く帰ってはいけないと言われ、閉店までいなければならないこと」、「サービス残業で、しなければならない仕事すらないこと」、
「休憩で、ご飯食べたら出て来いと言われ、仕事をすれば『何してるの?』と言われる」「会議という雑談が、3時間あること」、・・・ということがありました。店長には、「長く続かない」「夢がなかったら早目に辞めたほうがいい」「君は努力しても、評価されれない人」と言われました。会社を辞めてからは、スッキリしたものの、自分の好きなことがわからなくなり、自分には何もできないのではないかと自尊心がなくなってしまいました。
アルバイトをやろうと思っても、情報誌を探して目星をつけるのですが、電話をかけるときに戸惑ってしまいます。なるべく人と関わらない、短期の工場の仕事を探しています。1週間で辞めたので面接に受からないのではという不安と、仕事上の人と関わりが面倒になったからです。実家は金銭的には厳しいのですが、仕送りをもらっている状態です。僕は、高校2年生頃から対人恐怖症となり、大学時代にカウンセリングに行くことによって、回復しました。そのときは自尊心があって、自信もありました。

会社を辞めてからは、毎日何をすればいいかわかなくなり、将来に不安を感じました。このまま職につけず、ホームレスになるのではないかと。
お金のために仕事をするといっても、どの仕事をすればいいかわかりません。また、わがままではありますが、嫌いな仕事をずっとするということは嫌だと感じています。会社を辞めたときも、自分の人生を考え、このまま我慢して行っていたら体が壊れると感じたからです。やりたいことや好きなことはいくつかあります。でも、それを仕事にすると、また人間関係か何かでつまづいてしまうのではないかと思ってしまいます。

よろしくお願い致します。

カウンセラー
伊藤歌奈子
はじめまして、ヒロシさん。カウンセラーの伊藤歌奈子です。
どうぞよろしくお願いします。このたびは、ご相談をありがとうございます。
ご相談文を読ませていただいて、これまでとっても頑張ってこられて、今はもうかなりしんどい状態なんだろうな、と感じました。

ファミリーレストランでのお仕事、大変でしたね。
残念ながら、ファミリーレストラン等の外食産業や、パチンコ・ゲームセンターと言ったアミューズメント産業、スーパーなどの小売業では、ヒロシさんが経験されたような雰囲気の職場もまだまだあるようで、カウンセリングでも職場の上司からの理不尽な発言や対応などのお話をよく伺います。
理不尽な上司、と言うのはどんな職場にいても遭遇してしまう可能性はあるのですが、なぜか、業種によってその理不尽さに共通点があるような気がします。

とはいえ、そんな理不尽な上司や職場で我慢し続けることが美徳だとは、私は思っていません。
休職や退職も、自分を守るための大切な手段です。

この就職氷河期、未曾有の不況、と言われる時代に、退社を決められたのも大変な決意が必要だったのではないでしょうか?
ヒロシさんは、数々の理不尽な言葉を浴びながら、つらい思いを抱えながら激務を続ける必要も無かったのだと思います。会社を辞めて自尊心がなくなってしまった、とありましたが、そのまま、その環境で仕事を続けいれば自尊心はなくならなかったのでしょうか?きっと、そんなことは無いですよね。他人から侮辱されるような毎日で、ヒロシさんの自尊心は磨り減って行ったかもしれません。
退社は自分の身を守るために必要な手段だったと思います。

けれど、今のヒロシさんは、自分には何もできないのではないか、と、自分の自尊心が無くなってしまったと感じておられるのですね。
それは、つらい状況ですよね。
自尊心がなくなってしまうと、心は「自分にふさわしいのは不幸だ」と、幸せにならない方向に目を向けてしまいます。
ヒロシさんは高校生の頃から対人恐怖症があったのに、就職の際に接客業をやってみたい、と思われたのは素晴らしいことだと思います。実はヒロシさんはヒトというものにとても興味をお持ちなのではないでしょうか?興味があるからこそ、怖くなってしまったのかもしれません。でも、それでも接客業をやってみたい、なんて、まだまだ興味がある証拠かもしれませんね。
人は、実は、好きなことに向かってゆくことが一番怖いのだといわれています。
好きなことや好きな人に、真剣に向かいあう時、緊張したり、「失敗したらどうしよう」と、怖くなってしまうことってありますよね。あまりにも怖いときには、本人は意識していなくても、わざと失敗しようとしてしまうことさえあります。ヒロシさんにとっての接客業、或いは人と関わってゆくこと、と言うのは、本当に好きなことなのえはないでしょうか。

また、学生時代に持っていた自尊心が今はなくなってしまった、とのことですが、これは、学生時代と社会人になってからのギャップから来たものではないでしょうか。
学生時代と社会に出たとき、あまりにもその違いに驚いてしまうことは、今の社会では当たり前のことです。
まじめで一生懸命な人ほど、「早く一人前にならなければ」と、自分を追い詰めてしまいます。
ヒロシさんも、急いで完璧になろうとしたり、上司や先輩に追いついて認められたいと思ったからこそ、数々の理不尽な言葉に、違和感を感じながらも応えようと努力されたんですよね。本当に、頑張られたんだと思います。
でも、新人が先輩のようにいきなり熟練した仕事ができるはずがありません。
どうぞ、自分をあまり責めないで下さいね。
どんな職場でも、最初は仕事を覚えることから。
その後に、次のステップに進んでゆくのが仕事をしていく王道です。
最初から人間関係がうまくいく職場に出会うのも難しいものです。
そして、最初から完璧な仕事ができる新人もいません。
仕事を覚え、熟練してゆくことで、最初は新人に対して懐疑的な先輩たちも、あなたを信頼してゆくのです。
ヒロシさんは、自分に対して「仕事もできて人間関係もうまくゆく」というような高いハードルを課しているのではありませんか。
どんなにやりたい仕事であっても、無理をしたり、自分に対する課題が難しければ、長くは続きません。身体をこわすこともあるでしょう。
今のヒロシさんは、自分で自分を責め、なにもできないのではないかと過小評価されていますが、それほど、デキル自分でありたい、と思う、向上心が自分を責める土台になっていることに気付いてくださいね。
デキル自分でありたい、と思う向上心があるからこそ、できない自分では納得がいかないのです。
向上心を内に秘めた男性って、素敵だと思いませんか?
繰り返しになりますが、そのような方ほど、自分に課すハードルが高くなってしまうのです。
けれど、大切なのは、高いハードルを跳べない自分を責めるのではなく、今は、そのハードルには到達しない自分を受け入れ、高いハードルという目標を達成するための一歩を進むことです。

今は、以前の出来事から、働くことがとても難しいことだと感じ、また失敗するのではないか、という怖れと、働かなければいけない、という葛藤に支配されているのだと思います。
このような時は「しなくちゃいけない、でも、できない」という理由ばかりが思い浮かび、なかなか動けなくなってしまいます。
けれど、やりたいことがある、と言うのはまだまだ意欲がある証拠です。
どうか、勇気を出して最初の一歩を踏み出して見てください。
一人では前に進めないと感じたときは、私たちを頼ってください。
一緒に、ヒロシさんがハードルを跳ぶための作戦を練りましょう。

ヒロシさんが最初の一歩を踏み出されますよう、応援しています。

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