大逆転

こんにちは、平です。

昔から意外と多い恋愛パターンの一つに、自立的な男性がぜんぜんなにもできないカワイイ女性に魅力を感じ、「もう、しょうがないなぁ」と面倒を見るというものがあります。

そして、いまは、生活力のほとんどない超草食系男子を「もう、しょうがないわねぇ」と面倒を見ているキャリアウーマンというのも少なくないようです。

心理学的には、便宜上、面倒を見る側を“自立”、見られる側を“依存”と区分けします。

自立の人が依存タイプのパートナーの面倒を見る恋愛は、まるで自立側の親が依存側の子どもを育てているようなものなのですが、さらに誤解を恐れずに言うとしたら、あなたとペットの関係と同じともいえそうです。

なぜ、手もヒマもかかるペットを飼うかというと、多くの場合、それは、「飼い主側にペットが必要である」という事情がありますよね。

いきなり、野良猫や野良犬が来て、「寒いので、あなたの家に飼ってください」と言ったわけではありませんよね。

つまり、「愛を与えるなにか」が必要なわけです。

自立の人は、依存側のだれかやなにかを愛するとき、自分の心に愛があることを感じ、そして、その愛によって満たされていくわけです。それによって、やりがいや生きがいを感じる人もいるわけです。

一方、このような自立の立場を望む人たちにとって、苦手といえるのが、依存の立場になることです。

自立の人の多くは、だれかに面倒を見てもらったり、愛を施される側にまわったりすると、「すごく迷惑をかけているようで、申し訳ない」などと感じてしまうのです。

言い換えれば、「愛を受け取る」ということがとても苦手で、なかなかできないようなのです。依存的なだれかやなにかを愛するのはほんとうに上手なのに、この人たちの受け取る能力ときたら、それはもうひどいものなのです。

なぜなら、「自分は愛される価値がない」とか「こんな私を愛するなんて、さぞや迷惑だろう」などと、自己評価がものすごく低かったりするからです。

だから、自分よりずっと依存的で手のかかる人をいっぱい愛することによってのみ、「これぐらい愛したんだから、少しぐらい私も愛されてもいいよね」とやっと思えるようになるわけです。

自立的な人が愛を受け取れるようになるためには、どうも、超依存的な人が必要といえるのです。

そして、自立的な人はどうしても、「愛が欲しくば、おれの言うことを聞け」ということを依存的な人に言いがちです。

が、いずれ、自立と依存の関係は逆転するときが来るのです。

たとえば、親が子どもに「だれのおかげでメシが食えてるんだ。親の言うことを聞け!」と高圧的に接してばかりいると、いずれ、自分が高齢になったとき、「面倒を見てやってるんだから、おれたちの言うことを聞け」と、昔、自分がしていたのと同じ形で子どもに仕返しされる関係になってしまうこともあります。

もちろん、逆もつねに真ですから、自立側が依存側を優しく援助した度合いだけ、将来的には依存側が献身的に愛を与える関係をつくることも可能です。

男女関係でも、この自立と依存の関係が自立するときは必ずやってきますが、そのとき、二人の間にいちばんのピンチがきます。

たとえば、あれだけかわいかった彼女が、結婚して子どもを産んだあと、「ものすごく強くなって、いまでは頭ごなしにおれに命令するんだよ」などということがよくありますが、これも自立と依存の関係の一つの逆転現象なのです。

自立側にいたときにしたことは、いずれ、必ず帰ってきます。いうなれば、「吐いたツバが返ってくる」ということです。

もしも、あなたがいま自立側にいるなら、どうぞ、パートナーをやさしく大切に扱ってあげてくださいね。それはきっと、将来のあなたに返ってくるものなのですから。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。