別れるときの心の持ち方~どちらの気持ちも受け入れる~

「別れよう」そう思っても、なかなか別れることができない恋愛があります。

それは、「別れたい」という気持ちと「別れたくない」という、相反する気持ちが、心の中で綱引き状態になっているからなのです。
どちらか一方の気持ちを、抑え込もうとすると、抑え込まれては困る気持ちは、押し返してきます。
出てこようとする気持ちを、抑え込むのは、とてもパワーが必要ですので、疲れてしまいます。

でも、「別れたい」「別れたくない」どちらも、自分の気持ちなのです。
人間というのは、相反する気持ちを、心の中に同居させているものなのです。
どちらかを、抑え込むのではなく、両方の気持ちを受け入れることから始め、別れを選択できるようになっていけるといいですね。

◎リクエストを頂きました◎
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いつも 読ませていただいております。
関係を良くする為のアドバイスは 沢山扱っていただいていますが、別れについての心の持ち方、出来ましたら、きっぱり不倫を断ち切る方法をアドバイスいただきたいのですが、お願いします。
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リクエストいただきありがとうございます。
今回、担当させていただきます大門と申します。どうぞよろしくお願いします。

確かに、離婚の危機から脱出する方法や、こじれてしまった関係性を、良くしていく方法などは、この心理学講座でも、たくさんご紹介させていただいていますが、「別れ」については、あまり扱っていませんね。

リクエスト下さった場合のように、不倫などの関係性は、「別れた方がいい」と思ってはいても、なかなか別れられなくて、苦しんでしまうことがよくあります。
もちろん、不倫ではなくとも、「別れよう」と思うたびに、しばらくすると、「やっぱり・・・」という気持ちになって、気持ちが揺らいでしまい、苦しい思いをすることもあります。

そんな時は、決められない自分、前に進めない自分を責めてしまうことにもなりますから、とても苦しいのです。

実は、関係性を良くしていくことも、別れに進んでいくことも、どちらも『選択する力』が、大切であるという点では、共通しているのです。

不倫関係に悩んでいる場合、心のどこかに、「このままではいけない」「別れなくてはいけない」という想いを持っています。
それと同時に、「このまま一緒にいたい」「別れたくない」という気持ちも存在します。

相反する気持ちがあるので、どちらか一方の気持ちを、抑え込もうとしてしまいます。
そうすると、抑え込まれそうになった気持ちは、抑え込まれてなるものかと、より強い力を持とうとし、押し返されます。
心の中で、綱引きをしているような感じになるのです。
ですから、キッパリと断ち切るということができなくなるのです。

相反する気持ちというのは、私達人間は、日常的に持っています。

「ケーキは好き。でも今は食べたくない」

これも、相反する気持ちがありますよね。
ケーキに対して、好きという気持ちと、食べたくないという気持ち。
これを、どちらかに統一しようとすると、葛藤が起こります。

「ケーキを好きだから、食べなくちゃいけない」

「食べたくないのだから、ケーキを嫌いにならなくちゃいけない」

無理があると思いませんか?

ケーキが好きなのも、食べたくないのも、自分の気持ちなのです。
両方を、認めてあげないと、苦しくなってしまいます。

不倫関係を、キッパリと断ち切りたいのであれば、まずは、自分の中にある相反する気持ち両方を、受け入れる必要があります。

別れたくない気持ちと、別れたい気持ち、この両方があるはずです。
どちらも、自分の気持ちなのです。
どちらかを、無理矢理抑え込もうとすると、綱引きがはじまり、行ったり来たりを繰り返してしまいます。
ですから、まず第一段階は、どちらの気持ちも認めることが大切なのです。
決して、無理矢理に抑え込もうとしないことです。

「別れたくない」という気持ちがあるのに、無理矢理抑え込もうとすると、「別れなくてはいけない」になります。
「~しなくてはいけない」と言うのは、私達人間にとって、とても嫌なことになります。
「したい」のではなく「しなくてはいけない」ことになってしまうのです。

では、両方の相反する気持ちを認めたうえで、次の段階に進みましょう。

「自分は、どうなりたいのか?」「自分は、どう生きたいのか?」を、じっくりと考えてみるのです。
目標を設定する訳ですが、「相手が~だからこうする」ではなく、相手に関係なく、自分がどんな人生を生きたいのか、どんな気持ちで日々を過ごしたいのかを、考えるのです。

そして、その目標に向かって進むことを、選択するのです。

私達の持っている意志の力というのは、なかなかあなどれません。
やらなくてはいけないこと、やらされることというのは、モチベーションも上がりませんし、力もわいてきません。
でも、自分の意志で選んだことと言うのは、とても強いパワーを発揮してくれるのです。

この段階で、「私は一生、日陰の身になりたい」「一生、葛藤の中で生きたい」と思う人は、そういないと思います。
おそらく、「心穏やかに、楽しく生きたい」「幸せな気分を味わいたい」というような目標になるでしょう。

そして、目標を設定したら、「進む」と選択します。

次に、「覚悟する」ことも大切です。
自分が選択した道に進むわけですから、その結果も自分で引き受ける覚悟です。
自分の選択の結果ですから、「別れさせられた」訳でも、「別れるしかなかった」訳でもありません。
自分の目標に向かって進む為に、自ら選んだのです。
ですので、その為に悲しい思いが出てきても、その結果は自分が引き受けるしかないのです。
でも何の為に、その悲しい思いをしているかと言うと、自分が設定した目標に進んでいく為ですから、「別れさせられた」「別れるしかなかった」時とは違い、悲しみも、前へ進む原動力にしていくことができるようになります。

「別れ」それもまた、自分の人生の一部として、選択していけるようになると、すっぱりと断ち切る強さが出てきます。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。