二人の“やり方”を創る2~男と女の違い~

男と女の違いが如実に出てくるのが「ケンカ」と「相談」のコミュニケーションの場面。

その傾向と対策をお伝えします。

結婚するととてもよく遭遇するテーマが3つあるような感じがしています。
1.お互いの価値観の違い
2.男と女の違い
3.セックスの問題

今回は「2.男と女の違い」についてのお話です。

これは以前、僕や妻のエッセイ(*)でも紹介しましたが、パートナーシップの上では、とかく出てくる現象ですね。
価値観の違いと似ているところもありますが、男性ならではの考え方、女性ならではの考え方になってきますので、同性の友達に相談してもなかなか答えが見つからない、理解できないことがあるのかもしれません。

カウンセリングでよくお聞きする“男と女の違い”が典型的に出てくるのはケンカや相談などのコミュニケーションに関する話題です。
セックスもコミュニケーションの一つですが、とても多いのでまた次回にご紹介したいと思います。

●夫婦喧嘩=異種格闘技戦?

ケンカの中でよく見られるのが、奥さんは感情派、ご主人は理論派なために、ボクシングとプロレスの異種格闘技戦のような様相を呈してくるケースです。
実際の異種格闘技戦の場合には、その試合用のルールを作りますよね。
だって、一方のルールに合わせたら、他方が絶対的に不利ですから。

でも、夫婦間では、こうした“共通ルール”はほとんど選定されずに、どちらか一方のルールで戦わざるを得ない状況になってきます。
理論派のご主人のルールに従うことが多いと、いつもご主人は勝者で、奥様は「なんだかんだ言って、いつも丸め込まれるんだから」と不完全燃焼で不満を溜めやすく、また、感情派の奥さんのルールに従えば、ご主人は「こいつには何を言ってもあかんわ」と戦意喪失になりやすいものです。

そうすると、ケンカもない見せ掛けの平和が訪れるのですが、水面下(無意識)では着々と“敗者復活戦”が企画されていくようになります。
これが浮気だったり、離婚問題だったり、といった騒動に発展していくことが多いようです。

また、そこでは相手のルールに合わせようとするタイプもあります。
(特に感情派の女性が論理派になろうとすることが圧倒的に多いみたいですね)
本当はボクサーなんだけど、プロレスラーになろう!と思うような感じで、でも、トレーニングの仕方も違いますから、そこでもやっぱり勝てないんですよね。
相手は百戦錬磨ですから、ちょこっとプロレス技を覚えたとしても、全然敵わないわけです。

それが繰り返されると、やがては「私にはやっぱりあかんねや」と落ち込んでしまい、強い無力感、無価値感に襲われるようになります。
そして、元々持っていた豊かな感情や感性をも否定してしまうことが少なくありません。

これでは自分で自分の長所を消しているようなものですから、とてももったいないですよね。
僕がカウンセリングの中で「あなたらしさが何よりも大切です。それを本当に表現していくことがテーマですね」なんて話を良くさせていただくのも、自分を抑えて相手に合わせても犠牲や我慢ばかりで解決にならないからなんです。

ケンカというのは、心理的に見れば、お互いの間にそびえる壁をぶち破るためのダイナマイトのようなものなんですが、相手に無理に合わせるのではなく、むしろ、思い切り感情をぶつけ合うくらいの方が結果的に遺恨を残さずいいのです。

とはいえ、一方的になりすぎると自分が仕掛けたダイナマイトに二人とも吹っ飛ばされてしまうこともあるようで、やはり火薬の量(二人の間の不満とか怒りとか)は多すぎないのがポイントですよね。

とはいえ、やっぱり共通のルールが必要ですから、お互いの違いや男女間の違いを予め、日常から理解しあうことが大切です。

●物事の捉え方の違い

男性を傷つけるもっとも効果的な言葉の一つに「この役立たず!」というのがあるんですね。
これは僕も言われて酷く落ち込んだ経験があるんです(笑)
男性は「物事を解決する」とか「結果」にこだわりますので、女性(奥さん)から、相談を受けたとしたら「問題をきちんと分析し、完璧な答えを用意し、解決に導かなければいけない」という風に捉えます。

ところが女性からすれば、解決云々、答え云々は横において、まずは気持ちをすっきりさせるために「話を聞いて欲しい」という気持ちで“相談”を持ちかけるので、ここでずれが生じてしまいます。

あるお客さまから伺ったんですけど、ご主人に“話を聞いて欲しくて”相談していたら、ご主人が会話を遮って“解決策”を提案しようとしたんですね。
そこで、「違うの!話を聞いて欲しいだけなの!」と奥さんが突っぱねると、ご主人は、「それなら、俺じゃなくてもいいだろ?友達にでも電話しろ!」とケンカになってしまったそうです。

ご主人側からすれば、仕事の中で培ってきたように「成果を挙げてナンボ」と思っていますから、成果の期待できない、あるいはその見込みがないことについては無関心になりがちです。
ですから、ご主人の言葉を意訳すれば「話を聞くだけだったら誰にでもできるんじゃないか?それじゃあ、俺は役に立たないじゃないか」という感じなのかもしれません。

更にご主人は「お前は自分の気持ちもきちんと整理できないのか!」と愚痴る始末で、奥さんからすれば「もう、この人、何考えてるのかわからへん」となってしまったようなんですね。
この辺は、ご主人が自分のルールを奥さんに強要しているような感じですから、奥さんとしては「どうして、あなたの土俵で戦わなきゃいけないのよ!」と反発心が芽生えたり、「あなたのルールなんて理解できないわよ」となってしまうんです。

●違いを乗り越える考え方

そこで僕は奥さんにこんな話をしたんです。
「ご主人は、話を聞いてくれるだけで、どれくらい役立つのかを知らないのかもしれませんね。女性の間では常識でも、彼にとっては非常識だったりするんでしょう。そういう意味でも、まずは、ご主人に『話を聞いてもらえるだけですごく助かるの。あなたが大切な人だから、私はあなたに話を聞いて欲しいの』と言ってみてください。一度だけでは、なかなか受け入れられないものですから、優しい言い方で、彼のハートに聞こえるように伝えてみてください」と。

前回の「価値観の違い」と同じで、自分の常識(女性の常識)が、相手の非常識(男性にとっての非常識)になっている場合が少なく無い・・・と思えば、しなくてもいいケンカがまた一つ減るのかもしれません。

ですから、あなたがパートナーに対して感じている不満や、理解できない言動があったとき、価値観や男女の違いがそこに出ているのでは?と考えてみると、柔軟に対応することができるようになっていきます。
こういう時には、そうした面をサポートしてくれる異性の友人やカウンセラーの存在がありがたいですね。

 

参考)
(*)エッセイ集より
『男と女の違い』(根本裕幸)
『男と女の違い~Part2~』(根本理加)

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