二人の“やり方”を創る1~結婚はゴール?スタート?~

結婚のことをよく「ゴール」といいますが、僕達の心の中には結婚自体が目標となってしまってるところがあるのかもしれません。

結婚のことをよく「ゴール」といい、結婚式などで「ゴールインされました!」などと良く言われるためか、僕達の心の中には結婚自体が目標となってしまってるところがあるのかもしれません。
でも、実際のところは、結婚してからが本当の始まりなんですよね。
もちろん、多くの方はそれを理解されているようですし、逆に結婚してから、そのことを実感することが少なくないようで、面談カウンセリングでも結婚数年目くらいまでの問題を扱うことも多いです。

特に結婚すると必ず通る問題があるようで、大きく次の三つに分けられるような気がしています。
1.お互いの価値観の違い
2.男と女の違い
3.セックスの問題

もちろん、この3つに全てが集約されるわけではありません。
分類好きな僕の趣味のようなものですから、これに拘らなくとも結構です。
それから、この3つの問題が必ず出てくるってわけでも無いと思います。
知らず知らずのうちに乗り越えられている場合もありますし、結婚前に処理してきたものもあろうかと思います。

今回はまずは「1」についてお話させていただきます。

●価値観の違い~お互いの常識が衝突するとき~

以前、根本家ではこんなやり取りがありました。
僕が外出先から戻ってくると外は雨。傘を持っていなかったので、家にいた妻に「雨降ってるから迎えに来て」と頼んだんですね。
その通り僕の傘を持って妻が向こうからやってきたんですけど、何か不思議な顔をしていました。
妻曰く「迎えに来て、なんて変わってるよね」と。
僕は「え?なんで?」と思ってしまいました。
僕の実家では、雨が降って傘が無いときには駅から電話をすると家族(たいていは母親)が迎えに来てくれました。
だから、僕にとってはそれは“常識”だったんですね。
でも、妻の実家では雨が降るとめいめい駅でビニール傘を購入して帰るのが慣わしになっていたんですよね。
だから、妻は「うちの旦那は変なこと言うねえ」と思ってしまったんですね。

そんな話をして、改めてお互いの育ってきた環境の違いを感じたんですね。
僕の実家は車社会でしたし、最寄の駅までも徒歩で3分程度だったので迎えに行くのは、それほど大変じゃなかったんです。
でも、妻の実家は駅から徒歩15分かかるところでしたから、迎えに行くのは大変だった、というところから来ているものかもしれません。

だから、そこで二人で話をして「今は駅から近いところに住んでいるんだし、特に不自由が無ければ迎えに行くことにしよう」という風になりました。
「ついでにその辺でお茶もできるしね」というメリットもありますし。

これはほんの小さな出来事かもしれません。
でも、夫婦ともなれば、この小さな違いが日常のあらゆるところで出てくるものですよね。

味噌汁の味の違いでケンカする、洗濯物の畳み方でケンカする、など、付き合っている中ではなかなか見つけにくい違い(それは往々にして生活に密着している部分だったりしますね)が多く出てきてしまいます。
そして、その後、うまいこと解決できたらいいのですが、どちらかにわだかまりがあると、それが不満として心の中に蓄積されていってしまいます。

趣味や考え方など、比較的表から見やすい部分については、結婚前に何とかなることもありますし、違いがはっきりしている分、分かりやすいですよね。
でも、そうした細かい点には、知らず知らずのうちに常識化しているものが多く、ちょっとしたところでケンカになってしまうものですね。

こういう時にはお互いに話し合うなどして、二人のやり方を創っていくことが求められています。

ご主人の実家に同居するときなどは、相手方のやり方を踏襲する必要がある場合も多いですし、奥様がそれを押し付けられるケースも少なくないのですが、逆にそういった違いがあることが前提で、予め夫婦がきちんと話をしておくことが大切でしょう。
特に男性はこの点を疎かにしてしまいがちですから、よくよく注意してみて下さい。

●譲れない一線

傘を持って迎えに行くかどうかというのは、まだお互いに受け入れやすいテーマだと思うのですが、考え方や趣味などの違いは分かりやすい反面、二人のやり方を創っていくのも難しく覚えてしまいます。

他の問題の場合もそうなのですが、自立した大人同士が付き合う場合、どちらも強いこだわりややり方を持っているので、なかなか譲れないところが大きく、一方が他方に強制してしまうことも少なくありません。
そこで向き合ってきちんと話し合えたり、ケンカできるうちはいい方で、やがては押し切られることに慣れてしまうと「もう何を言ってもダメだから」と諦めモードになってきます。

そうすると一方にしてみれば「我が家はきちんと話し合って決めている」と言い、他方は「結局は押し切られるんだから、反対しない方がマシ」と言う状態になってしまいます。
これが二人の間の壁であり、距離であり、溝ですね。

そうすると、この押し切られた方はこう思うんですよね。
「このまま一生こんな関係なのかな?それは嫌だ!」と。
そうすると、心の中には次の選択肢が生まれてきます。
「浮気するか、離婚するか」

こういう状態のときにお話を伺うと、もうすっかり諦めている分、何とかなるとは思えなくなってしまってます。
「いまさら、あの人は変わらないですよ。だとしたら、私が妥協して我慢するか、別れるか、適当に浮気して不満を紛らわすか、ってところになってしまうじゃないですか」

この時点で、もうだいぶ、お怒りのようですね(^^)

●二人の間の溝を埋める

この二人の間に子供が生まれると夫婦の関係も変わっていきます。
お子さんを二人の間に挟んで距離を埋めるんですね。
ですから、自然と子供を介した夫婦関係が出来てしまいます。
二人の話題はもっぱら子供のこと。
二人で出かけることも、二人の時間を持つこともなくなります。

楽しく話をしたりする時間も出来たり、子供のことを考えたり、世話をする時間が出来るので、それまで感じていた不満はあまり感じにくくなります。

また、子供がまだいない夫婦の場合はこの溝を仕事や役割、趣味で埋め合わせます。

溝が出来ると寂しいですから、習い事を始めたり、仕事に没頭したり。
表向き大義名分はあるんですよね。
「結婚生活も落ち着いてきて、時間が出来たから」
もちろん、それが嘘とはいいませんが、何か夫婦が向き合えない状態を表しているのかもしれません。

●どうしたらいいのか?

二人の間に溝があるかどうかをチェックする方法は案外簡単だったりします。
自分の心にこう聞いてみましょう。
「パートナーに対して不満を感じるのはどんなところ?」
もし、不満が無いとしたら、それはそれで問題かもしれません。
もう諦めてしまっているか、盲目的な関係になってしまっている可能性があります。

続いてこう自分に質問してみましょう。
「そんな不満をどれくらいパートナーに伝えられてる?」
その割合が少なければ少ないほど、溝は大きいと思ってみて間違いないようです。

そこではちょっと勇気が必要ですが、パートナーと向き合ってみることが第一です。
とはいえ、「私が向き合おうと思って話を振ったとしても、全然相手はその気じゃなく、すぐに逃げちゃうんですよ」なんてことも往々に起きてしまいます。

厳しい見方になりますが、それが今の二人の形なんですよね。
お互いに望んでたわけじゃないかもしれないけれど、向き合えない状態になってしまったということ。
これは、二人が今まで作り上げてきた一つの“結果”なんです。
だから、「向き合おうったって、旦那がその気じゃないんだから無理じゃないの!」ではなく、「悲しいけれど、それが私達の今の状態なのね・・・」と現状を受け入れてみることが先決です。
そこでは旦那が悪い、奥さんが悪い、ではなく、そういう状態を作り上げた両方に責任があるわけです。

カウンセリングでお会いするカップルも、多くはそこからが出発点です。
向き合えないのにも理由があります。
怒っていたり、甘えていたり、愛情に胡坐をかいていたり、不満が溜まりすぎていたり、罪悪感を隠していたり。

もしパートナーがあなたと向き合ってくれないと思ったら、「今はまだパートナーにその準備ができていないんだ・・・」と思って、それを受け入れてみようとすることが大切です。
とはいえ、そう思ったら惨めで悔しくて、悲しくて、寂しくなってしまうものだと思います。
口で言うのは簡単ですけどね。

でも、実はその感情こそが、二人が向き合うための最初のハードルになるわけです。
あなたがその感情を乗り越えたとしたら、パートナーシップは一歩前進します。
その方法の一つとして、僕が面談でも良く使っている方法をご紹介しましょう。

●イメージを使ったセラピー●

ちょっと想像してみて下さいね。
あなたが座っている前の席にパートナーが座っていると思ってください。
どんな表情をしているでしょうか?
そして、そんなパートナーの表情を見て、どんな気持ちになっているでしょう?
その気持ちが、今のあなたのパートナーに対する素直な気持ちの一つですね。
それをただ、感じてみて下さい。

そして、パートナーに向かって、その気持ちを伝えていきましょう。
ほかに伝えたいことがあれば、思い切って言葉にしてみるのも効果的です。
相手の目を見ながら、できるだけゆっくり、言葉をかみ締めながら、あなたの気持ちをパートナーに伝えてみてください。
そして、一言伝えるたびに心を気遣うように深呼吸しながら、また次の言葉を探してみましょう。

実際に口を通じて言葉として伝えてみるとさらに効果的です。

そして、伝えたい言葉や気持ちがなくなるまで、これを繰り返し行ってみましょう。

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