浮気したパートナーを許してしまっていいの?

リクエストにお答えして、浮気の問題と許しのプロセスについてご紹介します。

浮気されたときに生まれる、裏切られたような怒りや悲しみ、寂しさなどの様々な感情。その感情を感じつつも、やり直すために、夫を許すにはどうしたらいいのでしょうか?
その「許しのプロセス」について、どういう状態が「許し」で、どういう状態がまだその途上なのかをチェックしながら分かりやすく紹介させていただきます。そして、最終的な許しの目的は「信頼」であることを解き明かします。

◎リクエストを頂きました。
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浮気した主人と、なんとかやり直して毎日送っていますが、最近、許す事は、
相手にとって(裏切った人)良い事なのか?と疑問に思えてきます。
私自身はいろいろな思いをして、苦しかった分たくさんの物を得たと思って
います。成長した自分も感じられます。しかし彼にとってはと思うと・・・・?
私の場合だけでなく、たとえば借金などして裏切った人などにとっても、
どんな効果、また良い事なのでしょうか?よくまた同じ事を繰り返すと聞きますが。
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● 許すことの目的

誰かから傷つけられたり、裏切られたり、あるいはうまく事が運ばなかったりしたときに、人間は怒りを感じます。では、怒りとは一体どんなものなのでしょうか?
怒りは、「感情の蓋」と言われます。蓋をしてしまいたいような本当の気持ちが怒りの下側に隠れているのですね。では、蓋をしてしまいたい感情とは一体どんな感情なのでしょうか?
「悲しい」「寂しい」「わかって欲しい」という感情です。怒っている時の本当の気持ちは、こんな気持ちなのですね。これは、言い換えると「愛して欲しい」という感情です。従って、怒っているときには「愛して欲しい」と感じさせる元になる「愛されていない自分」を感じていることになりますね。

この「愛されていない自分」という嫌な感情を感じたくないから、「お前が悪い」「誰かが悪い」「何かが悪い」と人や状況に怒りをぶつけ、そして「あんな奴、許せない!」とか「こんな会社ってサイテー、許せない!」という感情になってしまいます。更に、怒っている自分に自己嫌悪を感じて、場合によっては余計に酷い気分になってしまったりもします。

では、「許す」ということは一体どんなことなのでしょうか?

「許す」ということは、自分が持っていた怒りを手放すこと(解放すること)ですね。
「愛されない自分」を感じて自己攻撃から始まった感情が怒りですから、最終的には自己攻撃である「愛されない自分」を解放して、「愛される自分」を受け取ることになります。
怒りを手放すと、「愛される自分」というポジティブな感情が手に入り、怒りにくっついていた様々なネガティブな感情(例えば、「騙された」と感じる場合には「騙される私」という感情)も一緒に無くなってしまいます。また、誰かを許せる「偉大な私」というポジティブな感情なども感じられて、

とても楽な気持ちになっていきます。

このように、「許す」ということは、決して誰かの為ではなく、自分が楽になるために行うことなのですね。

● 許しのプロセス

今回、リクエストをいただいた中に「成長した自分を感じます。しかし彼にとってはと思うと・・・・?」というくだりがありました。
許しの過程ではこのように、「私はいいけど相手にとってはどうなのだろうか?」という気持ちが起こる場合があります。
許しの目的は自分の為なのですから、ここはとりあえず相手のことは放っておいてもいいはずなのですが、そういう感情が出てくるのですね。
この感情は、実はまだ許しのプロセスの中にいる証拠なのです。

人間の意識は、顕在意識と無意識からできています。顕在意識は「頭でわかっている意識」ですから、認識することが出来ます。
しかし、無意識は顕在化していないので、頭でいくら考えてもわかりません。
そして、無意識は、意識の中の96%を占めていると言われています。
頭で考えたことがなかなか実行できなかった経験をお持ちかと思いますが、この96%の無意識が、実は大きな力を持っているのですね。

頭で「許す」と決めても、大きな力を持つ無意識の中で抵抗が続きます。
腑に落ちていない状態です。
「私だけ許して損している」という犠牲的な感情が出てくる場合や、「私がこうしたのだから、あなたもやりなさいよ」という、相手をコントロールしたい感情が出てくる場合もあります。
またある場合には「許した私は偉い」と相手との競争で自分の価値を確認したいという感情が出てくる場合もあります。
これらの感情は、その根底に自信の無さや相手に対する不信感がある場合によく現れます。実は、まだ自分も相手も十分には許していないのですね。

でも、このような感情が出てくるということは、許しのプロセスが確実に進んでいる証拠なのです。
根底にあるこれらの問題は、その感情と「なぜ私はこう感じるのだろう?」を切り口として向き合う事で、解消されていきます。

●信頼をおいた方に状況は動く

例えば、「主人はまた浮気するぞ」と思っていたとしましょう。
浮気することに信頼をおいている状態です。
そうすると、その態度などから、ご主人は信頼されていない自分を感じてしまいます。
自信が無くなってしまいますね。
自分の愛を受け入れてくれない感覚を感じてしまいます。

そうすると、ご主人は自分の愛を受け取ってくれる人を探し始めます。
男性の多くは、自分の愛を受け入れてくれる人、自分の価値を認めてくれる人を探しているのですね。
あるいは、「そんなに俺の事が信用できないのだったら、浮気してやる」という人もいます。
自分も他人も状況も、このようなプロセスで信頼をおいた方向に動く事が多いのです。

一度、何か問題を起こすと、多くの人が「悪い自分」を感じて、それが心の傷として残り、自分を責めています。
そして、何とかその問題を繰り返さないようにしたいと思っています。
でも、自分を責めている度合いだけ、そうできる自信がありません。
将来、また同じ事を繰り返してしまうのではないか、と不安に思っています。
だからこそ、その人がその問題を二度と起こさないと誰かが信じてあげることで、その人の不安が解消され、自信が根付いていくことになります。

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。