辛いといつも涙が出るのは何故?~泣き虫の心理学~

例えば、誰かに否定的な発言を向けられる、自分の本意を汲み取ってもらえないとなれば、私達の心はとても辛い感情を感じることがありますよね。

私達の心が何かしらの感情を感じると起こる反応の1つが「涙を流す」こと。辛い感情を感じて涙が流れるのは、心がバランスを取りあなたを守ろうとしている反応ですから涙に何ら問題があるわけではないんですね。

ただ、誰かの否定的な発言で涙が流れてしまうのは、それ以前から既にあなたの心の中に自分が否定し感じたくないと頑張っている感情があるからで、自分が否定している部分を他人の否定的な発言で刺激されることで更に強く辛い感情を感じるのです。

そして、その感情を心で受け入れて感じるより先に「涙という反応」で感情を開放しているからいつも涙が出るのです。
もしあなたが涙する機会を少なくしたいと考えるのであれば、その涙の元、あなたの心の中に強く残る未消化の感情と向き合い、感じて癒すことがポイントになります。

◎リクエストを頂きました◎
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メルマガで取り扱ってほしいテーマがあります。泣き虫はどうしたら治せるのか、ということです。

私は本当にすぐ、涙が出てきてしまうんです。うれし涙や感動しているときなどはまぁよいのですが、困るのは、ちょっときついことを言われた時です。

他の人から自分の悪いところを指摘された時、すぐ涙が出てきてしまうんです。

特に自分なりにがんばったつもりのことをできてない、と言われた時や、自分が気にしていることを指摘された時、すぐ涙が出てきてしまいます。うまく言えないのですが、全否定されたような気分になるんです。

どうしたらよいのでしょうか?

(一部編集させていただいております)

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涙の意味を考えてみる。

いただいたリクエストにあるように、例えば、誰かに否定的な発言をされる、自分の本意を汲み取ってもらえないとなれば、私達はとても辛い感情を感じることがありますよね。

例えば「無価値感」「罪悪感」などの自分にとても否定的な感覚。「屈辱感」などの恥という感覚。

私たちはこのような辛い感覚を感じたくないと思うものですし、辛い感情を感じ続けること、自分の中で辛い感覚を我慢しているとすればとても苦しいものですよね。

私たちの心も同じで、何かしらの感情を感じ続けると起こる反応がいくつかあります。その1つが「涙を流す」という反応。

私たちの心が何かしらの感情を感じ、感情が自分の心からあふれ出た反応として涙が流れ、涙が流れることで抱えきれない感情が心の内から外に向かって感情が開放されていく、と考えられるのですね。

つまり、あなたが辛い感情を感じて涙が流れるのは、心がバランスを取りあなたを守ろうとしている反応でもあるわけです。だから涙が出ること自体に何ら問題があるわけではないんですね。

■涙を流す私を私はどう思っているの?

ところで、私達が「涙を見せること」をどう思っているか?について考えてみると。

一般的な社会通念でも人前で泣くことをあまり肯定的に捉えていないのが実情かもしれませんね。人前で泣くことは迷惑だと感じることもあるかもしれませんし、泣いてしまう自分が弱い人間であるかのように捉えてしまいがちになるのかもしれません。

そう考えると「泣いてしまう自分」がダメといった感覚が生まれやすくなりがち。そしてできれば「泣かない自分になりたい」と思いますよね。

これ、心理的に見ると「自分で自分を否定している」ことになります。「自己否定」ですね。これと同じようなことがあなたの心の中、感情レベルで起こっているんですね。

実は誰かに否定的な発言を受ける前から、既にあなたの心の中に自分で否定し感じたくないと頑張っている感情があり、そこを他人の否定的な発言で刺激されるから更に強く感情を感じるわけです。

また、自分が否定している部分を他人に否定されるので全てに否定されているかのように感じてしまうのですね。

そしてあなたが涙するほど強く心で感じている感情は「普段あなたが受け入れることを拒んでいる感情」そのもの。その感情は人によって様々ですが、その代表例は「自己嫌悪」や「恥ずかしさ」「罪悪感」「望まれない気持ち」などが考えられます。

つまり、その感情を心で受け入れて感じるより先に「涙という反応」で感情を開放しているからいつも涙が出るわけです。しかもあなたの心の中には同じ感情が処理されずにずっと残っているので、また誰かに否定的な発言をされると刺激されて同じように涙が出ると考えられるんですね。

これは意識してコントロールできるものではない心の反応だと考えてみてください。

今は辛いときに涙を流すことで感情を消化し、心のバランスを整えているのですが、涙を強引なまでに押さえ込もうとしたり、必死に我慢するとあなたの感じている感情の行き場所がなくなってしまいます。すると溢れ出す辛い感情で心が満たされてしまい、心理的にアンバランスな更に苦しい状態になっていくのですね。

■自分の気持ちと向き合ってみよう。

ということで、もしあなたが涙する機会を少なくしたいと考えるのであれば、その涙の元、あなたの心の中に強く残る未消化の感情と向き合い、感じて癒すことがポイントになりますね。

多くの場合、その未消化の感情は今この時点で感じたことではない場合がとても多いもの。昔からあなたが苦手にしている気持ちや、過去に強く受けた心の傷などが影響していることがとても多いのです。

これは一例ですが、幼い頃からの記憶や体験など、あなたのその辛さや痛みのルーツを探り、その時抱えた感情を癒すことでこの問題は徐々に解決に向かうと考えられます。

そのために、例えば社会経験や人間関係などの中で様々な体験をすることで消化されていく感情もあります。なので、実際に社会でいろいろな体験やチャレンジをすることはとても大切かもしれませんね。

ただ心に痛みや苦しさが強く残っていて強い抵抗感を感じる場合、心に余裕がない場合はそれも難しいときがあるでしょう。そのような時はカウンセリングなどの出来るだけ安全な形で感情を癒すというプロセスを踏まれたほうがよいのかもしれません。

最後になりましたが、実はもしあなたが涙を流しやすい人であるということは、心理的に見ると「心の感度がいい」「とても素直に相手の発言を受け取っている」ということでもあります。心の中に繊細さや純粋さ、素直さを持ち合わせている証明であるとも考えられるんです。

だから自分のことを否定的に捉えたり責める必要はないんですね。何事も素直に受け止めることは決して悪いことではありませんから。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。