捨てられる不安~親密な関係を避けてしまう心理~

「いつか私は捨てられるかもしれない」そんな不安があると、誰かと親密になるのが怖くなります。

親密になって捨てられると、立ち直れないぐらいのダメージを受けてしまいますから、ダメージを少なくするために、親密にならないようにしようとするからです。

彼や彼女など、親密な関係の人ができたときは、「いつか捨てられるかも」という不安から逃れるために、自分から嫌われるようなことをしてしまったり、その恐れに耐えられなくなって、自ら別れを切り出してしまうこともあります。

昔付き合っていた人との別れで、捨てられたと感じた場合や、両親や友達との関係などで、同じように「捨てられた」と感じてしまった場合などに、現在の人間関係に捨てられるという想いを投影してしまうことがあります。

自分には愛される価値がないと思う無価値観や、自分は悪い人間だから愛されないと感じる罪悪感などが、原因になることもあります。

「昔の経験から、「捨てられるかもしれない」という恐れを持ってしまい、その不安をパートナーにぶつけてしまって、関係性が悪くなるということがあります。

不安の原因は昔の出来事であったとしても、現在の人間関係でその不安が出てしまうので、親密な関係性が作れなくなったり、作っても壊してしまうことなどもあります。

親密な関係を作っていくために、捨てられる恐れは解決しておきたい問題のひとつです。

◎リクエストを頂きました◎
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(一部を編集させていただいています。)
人間関係についてのリクエストです。
恋人同士でも、友人関係でも私はいつも、捨てられることを異常なまでに恐れてしまい、親密な関係になることを避けてしまいます。
今、彼が出来ましたが、捨てられるとかふられるなどの不安がとてもとても大きく、その不安を必要以上に相手にぶつけてしまいます。
本当につらいので、もう、関係を終わりにしたいと思ってしまいますが、多分そんなことをしても、解決にはならないような気がします。

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親しい友人がいない、恋人ができても常に「捨てられるのでは?」という恐れが出てきて、関係が長く続かないなどの問題があると、とてもつらいものですよね。
親密な関係を作れない根底には、「捨てられるのでは?」という恐れがあるのですが、その恐れの裏側には「どうせ捨てられるなら、自分で終わらせる」という想いや、「どうせ捨てられるのなら、最初からいらない」という想いもあるのです。

もしも、「捨てられる」ことが前提なのだとしたら、とても親密になってから捨てられるとショックも大きいですから、親密にならないようにしようとします。
その方が、傷が浅くてすみそうだと思うからです。

ではどうして、「捨てられる」ことが前提になってしまうのでしょうか?

まず一つ目として考えられるのは、「昔の経験」です。
以前に、「捨てられる」経験をした場合、その経験を現在の関係に投影してしまうことがあります。
前に付き合っていた彼にふられてしまい、その時に「捨てられた」と感じて、ものすごく傷ついた経験があったとしたら、新しい彼ができると、以前の経験を投影してしまい、「捨てられる」恐れになってしまいます。
また、付き合っていた人でなくても、友達に一方的に距離を取られてしまったとか、ご両親との関係で「捨てられた」と感じる出来事があった場合も同じです。

二つ目は、「私は捨てられるに違いない」という想いです。
これは、私など愛されるに値しない。だから捨てられるに違いないという無価値観からくる想いです。
自分には、いいところなど何もなく、人に愛されるわけがないと思っていると、「捨てられる」恐れが出てきてしまうのです。
また、よくにた感じですが、罪悪感からくる場合もあります。
「私は悪い人間である。だから愛されるに値しない」というものです。

どちらの場合であっても、捨てられるというのは、誰もが望んでいない状況です。
できれば経験したくないことです。
そうすると、「捨てられる」ことが恐れとなります。

恐れを持つということは、いつ破裂するかわからない風船を抱えている状況と似ています。
風船が破裂するときが、恐れが現実になるときだと思っていただけるとわかりやすいのですが、「いつ破裂するのだろう」とドキドキしながら風船を抱えているのは、耐えがたい恐怖です。
そうすると、破裂する時期をコントロールしたいと人は考えます。つまり、自分で風船を破裂させるのです。
どうせいつか破裂するのなら、自分で破裂させた方が、破裂する時期をコントロールできる分、恐怖がやわらぐからです。

リクエスト文にあるように、「捨てられる不安が大きく、その不安を必要以上に相手にぶつけてしまう」場合や、関係を終わりにしたいと思ってしまい、自分から別れを切り出す行為は、まさしく風船を自分で破裂させてしまう行為にあたります。
自ら風船を破裂させるわけですから、「いつ破裂するのだろう」という恐怖からは、解放されるのですが、本当に望んでいるのは、風船を破裂させて捨てられることでも、大好きな人と別れることでもなく、相手と親密になることなのですから、望んでいることと違う現実が手に入ってしまいます。

頭では、不安を相手にぶつけるのはよくないと思っていても、つい相手に嫌われてしまうようなことをしてしまう場合や、本当は別れたくないのに、不安から逃れるために別れを自分から切り出してしまう場合は、根本的な解決が必要です。

根本的な解決のためには、昔の経験を投影しているのであれば、まずそのことに気付くこと。
そして、気付いたら、今目の前にいる人は、昔あなたを捨てた人とは別人であると、ハッキリと意識してみてください。
それから、正直に相手に対して、自分の気持ちを伝えてみてください。
「昔、○○な経験があって、あなたに捨てられるんじゃないかと不安なの」
あなたのせいで不安なのではなく、昔の経験で不安であるとちゃんと伝えることで、相手も自分のせいではないのだと思うことができます。
そして、相手が「捨てたりしない」と言ってくれるのであれば、昔の経験ではなく、今の相手を信頼してみようとしてください。

人は人によって傷つきますが、その傷は、人によって癒されていくのです。

もちろん信頼しようとしたときに、「捨てられるのでは」という恐れは出てきます。
その時にちょっと考えてほしいのです。「昔の傷と、今目の前にいる人、どちらを大切したいのか?」

それでも、どうしても昔の傷が、今目の前にいる人よりも優先されてしまう場合は、昔の傷を癒すことが必要です。

そして、無価値観からくる「捨てられる恐怖」の場合は、自分の魅力を発見し、受け入れていき、「愛されるにふさわしい自分」を感じていくことが大切です。

この場合も、無価値観ができた原因があるはずですから、なぜ無価値だと感じたのかを掘り下げていく作業も必要になってきます。

捨てられるのが怖い。その恐怖から逃れるために、親密な関係をつくれない、または関係を壊してしまうことを、繰り返しているのであれば、昔の経験を見つめなおしてみたり、自分の価値を見つめなおすことが必要なのです。

誰かとの関係を自ら壊してしまうのではなく、何がその原因になっているかを、探しいくことで、親密な関係を築いていける自分に変化していくこともできます。

また、もしかしたら原因を探していくことで、破裂しそうな風船を抱えていると思っていたけれど、本当は風船などなかったということに気付くことができるかもしれません。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。