感覚で思い出した愛された記憶

私は、幼少期の記憶が少ない。アラフォーとなれば、自然なことと言えば自然なことかもしれないけれど、アラフォーになるずーっと前からそうなのである。その記憶のなさといえば、家族一同がびっくりするほどで、私のから語られる幼少期の出来事のほどんどは、家族や親せきとの間で繰り返し交わされる思い出話によって構成されたものである。そんな記憶力に乏しい私が最近感じることは、記憶は肌(感覚)が覚えているということ。なぜ、それを感じたかというと、最近、年齢を重ねたせいもあると思うけれど、10年以上ぶりの再会を果たすことが増えると度にそう感じることも増えていったように感じる。
今日は、その再会の中から20年以上ぶりの再会について書きたいと思う。
今からは、誰も想像つかないかもしれないけど、幼少期の私は人みしりの激しい子どもだったように思う。
そんな私の昔を知っている広島に住んでいるおばさんに去年の夏、再会した。最後に会ったがいつかも定かではないけれど、もしかしたら、四半世紀経っているかもしれない。このおばさんは、親戚ではなく、父の親友の奥さんである。幼少期から、家族ぐるみのつきあいしていて、福岡と広島でお互いの家をよく行き来したものである。だから、初めて新幹線に乗った旅をしたのも広島だし、広島で年を越したことだってある。おばさんは、父の親友であるおじさんと私の弟と同じ年の息子さんとその息子さんの3歳くらい下に娘さんがいる。本当によく行き来した関係も、おばさんの子どもや私たち兄弟の成長とともに、それぞれの部活や受験、反抗期などとともに会うこともすっかりなくなってしまっていた。それにも加え、宮本家では両親の不仲による別居問題も勃発しており、電話で話しすることもなくなっていた。そんな状況の中、私は父とのたわいのない会話の中で、おばさんが喫茶店を開店したことを耳にした。子育てがひと段落してから、予てからおばさんの中で温めていた夢がかなったことを聞いて、会ってはいないけれど誇らしくかっこいいと感じていた。いつかいってみたいなという思いを私の心のなかでも温めていた。
そんな思いをかなえるチャンスに恵まれる。カウンセリングサービスの講座が広島で開催されることになったのだ。私は、その講座のゲストカウンセラーとして参加させていただき、広島に行くことになった。これはチャンスと思い、予定を早めて広島に入ることにした。会わなくなってあまりに時間が経っていたので、いたずら心も手伝ってサプライズでおばさんの喫茶店を訪ねることにした。大人になってから初めて訪問する広島は、1時間強というびっくりするほどの近さに、今まで訪問しなかったことを後悔するほどだった。そして、おばさんのやっている喫茶店に向かう。携帯電話の地図アプリとにらめっこしながら、右往左往しつつ無事に到着し、どきどきしながら扉を開く。何も言葉を発していないのに、おばさんはこういった。
おばさん:「めぐみちゃん??」
おばさんがお店に入ってからすぐに私を認識したことにもびっくり!!そんなに変わってないかなぁと思いつつ、おばさんのなつかしい広島弁に心が和んだ。
そして、おばさんの注いでくれたおいしいコーヒー共に、今までの会わなかった時間を埋めるように喫茶店を開店するまでの経緯やおばさんに孫ができたこと、私がカウンセラーになったことなどなどお互いの近況や家族の近況を話した。そして、おばさんはお話をしならも、私が講座が終わるまでおなかが空くだろうと、おむすびを握ってくれた。おばさんが握ってくれたおむすびはすごくおいしかった。時間が経つのはあっというまで、時計針は講座の準備に入る時間を指そうとしていた。
私:「もう、そろそろいくね。お代はいくらですか?」
と尋ねると、
おばさん:「めぐみちゃんから、とるわけないやろー」
と当然のように言う。
いやいや、甘えちゃいかんとおもいつつ…
私:「ちゃんと働いているし、払えるよ。」
と言ってみると、
おばさん:「いいから、そのお金はほかに使いなさい。」
間髪入れずに返ってきた。
私:「じゃあ、お言葉に甘えて、ごちそうさまでした。
ありがとう。」
そんなやり取りを経て、再会を約束し店をでた。
きっと、おばさんにとっては、自分の子ども同様にいつまで経っても私は子どもなんだと思う。すごく長居したわけではないのに、私の中に残ったのは言葉がみつからないほどの見守られているような安心感と温もりだった。そして、この見守られているような安心感と温もりは、幼少期に受けたおばさんから愛された記憶なんだと思う。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

人間関係の築き方・コミュニケーションのスキルアップ・個性を生かすことを得意とする。 お客さまのテーマを多角的な視点でとらえて分析することにより、新たな視点や心の気楽さを持つことが出来ると定評がある。ゆるぎない安心感の基盤を基に行うカウンセリングは、心のうちを語りやすいと評価が高い。