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Lecture.646 ストレスに強くなる方法〜親玉ストレッサーに対処する〜
講師:大谷常緑
精神的なストレス耐性を向上させる方法について考えてみます。
ストレス症状は、ストレッサー(ストレスの原因)により生じます。
ストレッサーには様々ものがありますが、自分が感じやすいストレッサーから端を発して様々なストレッサーが複合的に絡み合っている場合が多く見受けられます。
ストレス耐性向上には、先ず自分が感じやすいストレッサーを探し出し、それに合った対処方法をとる必要があります。
本文では、典型的なストレッサーとその対処方法を大まかに説明しています。
Keywords
ストレス ストレッサー 不安 緊張 受け容れる

◎リクエストを頂きました◎
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いつも楽しみに心理学講座を拝見しております。
リクエストをお願いしたいのですが、ストレス耐性を強くする為にはどうすればいいのでしょうか?
ライフイベントのちょっとした事(引っ越しとか仕事を始める等で忙しくなった時)でストレスがかかっているのか分かりませんが、身体に症状として表れます。
結局、自分ではどうにもならないのですが、そのストレス耐性のない自分に対してイライラしたり腹が立ったりで、またストレスが溜まっている気がします。
良い方法がありましたら、教えていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。

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ストレスの原因は、暑さや空腹などの身体的なものや、育児や仕事、人間関係など精神的なものまで様々あり、またこれらが複合的に作用している場合も多く見受けられます。
今回は、特に精神的なストレス耐性を向上させる方法について考えてみたいと思います。

1.精神的ストレスの原因
  ストレスの原因は「ストレッサー」と呼ばれます。
ストレッサーには様々なものがあります。その典型的なものを以下に挙げてみます。

(1)不安や怖れ
  病気やけが、死など自身の生命身体に関わる問題や、緊張や焦りといった“失敗”に関する問題。
(2)喪失による悲しみ
  死別や離婚、ペットロスといった“失うこと”に関する問題
(3)不自由さに関する問題
  義務や犠牲、やらされている感じといった“がまん”に関する問題
(4)怒りに関する問題
  誰かに対する怒りや、社会や神様に対する怒りといった問題
(5)社会帰属や尊厳の欲求に関する問題
  人との関わりや、人から認められたい、人間として認められたいという欲求が充足されないという問題。
(6)自分についての理想と現実との葛藤
  こうありたい自分とそうでない現実の自分を責め苦しむという問題。

以上は私たちが抱えやすいストレスに関する精神的な問題の例ですが、人によりこれ以外の原因がある場合もあります。
また、ストレッサーは複合して影響し合う場合がとても多く見受けられます。
例えば、親と死別して喪失による悲しみと、「もっと親孝行をしておけばよかった」と
(6)の1つである自責の念に駆られるが複合する場合です。

2.自分のストレッサーと向き合う
  ストレス耐性を上げるためには、自分はどんなストレスを1番感じやすいかというパターンの見極めを行う必要があります。なぜならば、最も感じやすいストレッサーが他のストレッサーを呼び込み複合化させ、より大きなストレス症状になっている場合が多いからです。
  もし、自分が最も感じやすいストレッサーによるストレスを緩和できたとすると、複合化するストレッサーを引き寄せる度合いも減り、ストレス症状が緩和される事が期待されます。
  自分がどんなストレッサーでストレスを感じやすいかを見つけるためには、自分の心と向き合い、過去や現在でどんな事にストレスを感じたか、それはどんなストレッサーか、その出来事で最初に感じたストレッサーは何かを調べていきます。
私たちの心には必ず感じるパターンがありますから、こうして調べていくと、どのストレッサーがストレス症状の引き金を引いているのかがわかるはずです。

3.心の問題と向き合うときに必要な事柄
  ここで、心の問題に対処するときには、2つの事柄に注意をしてください。
・何を感じても「良い」「悪い」の判断をしないこと。「そう感じるのだからしかたがない」と、感じることをそのまま受け容れる。
・諦めないこと。
前者は、「良い」「悪い」の判断を行った瞬間に、そこで深層心理への入り口が閉ざされて進まなくなってしまいます。後者は、私たちが心の問題と向き合うとき守りの一環として必ず「そんなことしても変わらない」「無駄なことして」といったような気持ちが出てきます。この心の罠に陥らずに目的を達成するために必要です。

4.ストレッサー別対処方法
自分が最も感じやすいストレッサーがわかったら、ストレッサー別に対処します。
長年の心の癖ですから、簡単に出来ることではないかもしれません。また、自分が変わってしまうような怖れも出てくるかも知れません。
しかし、それを乗り越えてこそストレス耐性が向上するのです。
(1)不安や怖れへの対処
  身体生命に関わる場合は、その状況を受け容れる事です。精神科医のエリザベス・キューブラー・ロスは死に際した人の心理分析を多く手がけましたが、「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」というプロセスを歩むとしています。ここで、「取引」とは「良い子になりますから」という神様との取引を試みるのですが、失敗に終わり抑うつへと進むという状態です。そして最後は受容するのですね。死のみならず、病気にしても同じです。抵抗すればするほど苦しみます。答えは「受け容れること」そしてその過程では様々な心のプロセスがあることを認めるしかない、と腹をくくることです。
  緊張や焦りは、不安に根ざしています。緊張は、「上手にしなくてはならない」という気持ちがプレッシャーになっていますので、「私たちは人間なのだから失敗することもある」とか「失敗は成功へのプロセス」という考え方に馴染んでいくことです。また、耐えられる程度の不安に少しずつ馴れていくという方法もあります。
焦りは、「もっと早く」という自分虐めです。自分を大切にすると、焦る必要がないことがわかります。
(2)喪失による悲しみ
  喪失対象が、あなたに感謝しているイメージを抱く様にすること、自分を責めないことが大切です。そして少しの時間が必要であることを理解することです。
(3)不自由さに関する問題
  不自由さに関しては、「選択の余地がない」という状態をあなたの気持ちが作り出しています。どんな状況でも必ず選択肢はあるのですが、それを見ないふりしているか諦めているのです。様々な決めつけを排除すると、自分の手中に選択の自由があることが理解でき、今の状況を選択しているのは自分自身だということがわかってきます。
そうすると、自由が戻ってきてストレスが軽減されます。
(4)怒りによる問題
  怒りは、自分の過去のできごとに基づく罪悪感を、自分以外の誰かや何かに投影している状態です。自分自身の罪悪感を許し、自分自身を受け容れて愛することにより怒りを感じる機会が減少します。
(5) 社会帰属や尊厳の欲求に関する問題
  人との関わりに関しては、自分から近づいていくことです。焦らず、少しずつでいいので、近づいてみましょう。
  尊厳の欲求に対しては、先ずは、自分で自分を認めてあげることです。そうすると、自分の尊厳が自分の手中にある、他者にコントロールされるものではないことが理解できます。
(6) 自分についての理想と現実との葛藤
  人は誰しも、そうする理由があるのです。「だって人間なんだもの」と自分を許すと、ストレスが軽減されます。

以上、ストレス耐性を上げる方法について大まかにお話ししてきました。
それぞれのストレッサーに対して、様々なプロセスを経て、お話しした方法に辿り着かれることと思います。そしてそれは、人により未完了の感情と向き合う必要があったり、あるいは過去の心の傷と向き合う事が必要なのかも知れません。
ストレスを感じやすい方は、ぜひ、カウンセラーとお話ししてみてください。
個別の状況で的確にストレスを取り除くお話をさせていただけることと思います。

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