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Lecture.627

人を大切にしたい〜嫌悪感を解消して親密感の中へ〜

講師:三島桃子

子どもの頃から人付き合いが苦手で、大人になってからも人間関係でいろいろとしんどい思いをしている。自分には友だちと呼べる人がほとんどいない、あるいは一人もいない。でも、もっと人と近付きたい、人を大切にし、人から大切にされたい、人との間に温かな親密感を感じたい。

そんな時、どうしたらいいのでしょうか。

人付き合いが苦手だと感じるようになったことには背景があります。家庭環境や家族との関係に何らかの事情があり、人との適切な距離感の土台がしっかりしないまま、幼稚園や学校などの団体生活に入っていかなければならなかった、というような場合が多いですね。またそういった場合、同時に自己嫌悪感を持つようになることが多いのですが、この自己嫌悪が、大人になった時に人を遠ざけてしまう要因になってきます。自己嫌悪の下に隠されている心の傷をケアしていくことが、親密感を感じられるようになる鍵と言えるでしょう。

Keywords
親密感 対人関係 嫌悪感 自己嫌悪 過去の傷

◎リクエストを頂きました◎
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私は長い間、”人を大切にする”ということに関して悩んでいます。

私には友達がいません。今までこの人は大切にしたいと思った人もいません。明日誰かが死んでしまっても特に何とも思えないかもしれません。どういう風に説明したら良いのか悩みますが、人にモヤのようなものがかかっているような感じです。それでも人前では明るく振る舞ってしまうので、周りにはいつも楽しそうで、友達が多いような印象を与えてしまっているような気がします。中身はその逆なので罪悪感も非常に感じています。

小さい頃は根暗で非常に冷めた子で、小学生の頃でも遠足などで広い公園へ行きクラス対抗鬼ごっこをしても、私は一人、木の影に隠れてゲームを楽しんでいるクラスメートを観察したりしていました。それではいけないと明るく振る舞うようになったのですが今度はそのギャップに苦しめられるようになりました。

そんな自分が嫌なのですが、なかなか解決できません。複雑な家庭環境、父親の死、少し風変わりな性格が影響しているのかもしれません。

人をもっと大切にしたいです。距離が縮まると強く感じてしまう嫌悪感は一体なんなのでしょうか?

(一部編集させていただいております。)
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リクエストをいただきありがとうございます。

人を大切にする、大切に思える、という感覚は、心理学用語でいう「親密感」にあたるかと思います。

私たち人間は、周りの人との間に親密感を求める生き物です。赤ちゃん時代はお母さんとの間に強い親密感を感じることで安心して成長することができます。その後、お父さんやきょうだいといった家族との距離感を学び、やがて家族以外の人たちとの距離感を知り、人間関係の全体的な感覚をつかんでいきます。

人は一人ひとり個性があり、生まれつき人なつっこいタイプの子どももいれば、恥ずかしがり屋であったり、敏感で怖がりな子どももいます。それでも生まれ育った家庭が落ち着いた状態であれば、親の助けも借りながら、少しずついろいろな人間関係に慣れていくことができます。

しかし、様々な事情があり両親やきょうだいとの間で自然な親密感があまり感じられないままになることがあります。そうすると、土台となる親密感を知らないまま、外の世界に出て行かなければならなくなるわけです。

そういった状態だと、人間は本能的に不安を感じます。特にもともと敏感なタイプの子どもは不安がとても大きくなります。リクエストの方はご自分のことを「少し風変わりな性格」と書いていらっしゃいますが、もともと少し敏感なタイプなのかもしれません。そこに家庭環境などが重なって、不安が非常に強くなり、人との感覚的な距離がまさに“もやがかかるほど”遠くなってしまっているのではないかと思います。

けれども他の人の様子を見て、自分もあんなふうにしなければ、と思い、「人とつきあうというのはこういうものだ」という形をまねてがんばってきたのではないでしょうか。周りの人から見れば「ごく普通に人付き合いしている人」のように見えているかと思います。でもご本人にとって「形だけ」の感覚があるとしたら、心は満たされないですよね。

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人を大切にしたい、というのは、親密感を求めることであり、自分も相手も心が満たされるような状態でありたい、ということでもあると思います。そう思っていながらも人との距離が縮まると嫌悪感を感じるので近づけない、というのがリクエストの方の状況のようです。この嫌悪感がなくなっていくと、人と距離を縮めることが自然にできますし、距離が縮まれば親密感を感じ、お互いを大切にする感覚を味わえるようになると思います。

さて、この「嫌悪感」とは一体何なのでしょうか。

相手が誰であっても距離が近付くと嫌悪感を感じるとしたら、そこには二つの気持ちがあると考えられます。ひとつは、「近付かれたら私のろくでもない正体がばれて、嫌われる」という気持ち、もうひとつは、「こんなろくでもない私に近付かないで、近付いたらきっと悪い影響を与えてしまう」という気持ちです。この二つの気持ちが相まって、人を遠ざけたくなるということがあるんですね。

要するに、「自分を悪い存在だと思い嫌悪する気持ち」があるわけです。根っこのところでは「自分に対する嫌悪感」なのです。

私たちは、自分が人と違うと感じるだけで「自分は何か間違っているよくない存在なのではないか」と不安になります。例えば、「こんな複雑な家庭で育った私は他の人とは違っていて、よくない存在なのではないか」「引っ込み思案な自分はダメな存在なのでは」などと無意識に思ってしまいます。子どもの頃大病を患った場合なども、「自分は他の人と違う」と感じて、自己嫌悪を持ってしまうケースがあります。親を助けたかったけれどうまく助けられなかったと感じると、「こんな無力な自分は情けない人間だ」と思い、自己嫌悪してしまうことも多いですね。

その他、本当にささいなことで私たちは自己嫌悪してしまうものなのです。

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こういった自己嫌悪は、客観的に見れば実際のところ誤解ですよね。ところが理屈でわかっても、心はなかなか納得できないものです。なぜなら、誤解の背後に「傷」があるからです。何かの出来事の中で傷ついて、「ああ、こんな自分はダメなんだ」と誤解してしまうので、その時の痛い傷が残っていると誤解もなかなか解けません。

ですから、自己嫌悪の元になっている誤解(いくつかの誤解が重なっているかもしれません)がどこからきているか気付き、誤解の背後にある心の傷を理解し、その傷を癒していく必要があります。傷が癒えると誤解が自然に解消し、自己嫌悪もあまり感じなくなっていきます。

しかしながら、過去の傷に向き合うことが苦しくて負担になり過ぎる場合は、まずは今の自分をねぎらってあげるといいでしょう。つらい思いを抱えながら生きてきたとしたら、本当にがんばってきたのです。そんな自分に、「つらかったけどよくがんばってきたね」と何度も何度も言ってあげ、「そうだな、確かに私、がんばってきたな」と思えるようになると、過去の傷に向き合う余裕が出てきますよ。

(完)

 

関連する講座へのリンク集

135.心の距離感〜寂しさ、親密感を感じる仕組み〜
213.人との距離感を見つめなおしてみよう〜癒着の心理学2〜
535.心の壁・人との距離を感じるとき 〜疎外感と分離感と投影のお話〜

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