「どうせ嫌になる恋愛」からの脱却

自分の観念に執着していると、相手の愛に気づけないのです。

私たちが誰しも持っている「こうあるべき」という思い込み(観念といいます)は、「こうあるべき」に反する相手の言動を「おかしい」と感じ、相手を嫌いになる原因のひとつとなり得ます。
自分の観念をゆるめたり手放したりすると、相手があなたに向けているさまざまな愛に気づくことができますよ。

何度か恋愛したけど、うまくいかなかった。
あんなに好きだった相手のことが、最後は嫌になった。

恋愛なんて相手のことを「どうせ嫌になる」と思うと、次の出会いに消極的になったりしませんか?

今日は、相手を嫌になる恋愛をしてしまう理由と、そんな恋愛から脱却する対処法について、心理の観点からお届けします。

◇恋愛相手を嫌になってしまう理由

恋愛相手を嫌になってしまう心理的な理由として代表的なのは、「こういうときはこう言ってほしい/こうしてほしい」などという、相手への期待があげられます。

たとえば、あるときあなたが風邪を引いて寝込んでしまったとします。それを彼に伝えたら、「そうなんだ。お大事に。」とだけ言われて、その後しばらく彼からの連絡が途絶えたとします。

SNSを見たら、彼が友人たちと楽しそうにカラオケしている写真がアップされていたんです。

あなたはそのとき、どう感じるでしょうか。

ひどい!寝込んでいる私を放っておいて、カラオケしてるなんて!と思うかもしれません。
彼氏ならば、あなたが具合が悪いと言ったら「何か食べたいものない?欲しいものはない?」などと関わってくれたり、心配して様子を見にきてくれたりするものだと思っていたなら、彼のやっていることは、私への裏切り行為だ、などと感じるかもしれませんね。

・「こうあるべき」という観念

私たちは誰でも、「こうあるべき」「こうに違いない」というような思い込みを持っていますが、そのような思い込みは「観念」と呼ばれています。

観念は人によってさまざまなものがあるのですね。
前述のように、具合が悪いときは彼氏(彼女)はそばにいてくれるべき、心配して関わってくれるべき、というのもそのひとつです。

そのほかにも、たとえば
女性は結婚しても仕事を続けるべき。
男性はデート代を払うものだ。
結婚とは人生の墓場だ。
お金さえあれば、人は幸せになれる。

などなど「こうあるべき」「こうに違いない」という思い込みは数え切れないくらい、たくさんあります。

観念は、その人の経験によって作られるものもあれば、家系から引き継いでいるものや文化的なものもあります。

私たちは普段、自分の観念を正しいと思ったり、他の人たちも自分と同じ観念を持っているだろうと感じたりしますから、恋愛相手に自分の観念に添うような言動を期待してしまうのです。

相手が自分の観念と異なる言動をすると、「あの人はおかしい」「常識がない」「優しくない」などと、相手に非があると感じてしまったりするのです。

・観念が異なるだけで、それは愛なのかも

上の例で、あなたが風邪で寝込んでいるときに、友人たちとカラオケを楽しんでいた彼ですが、彼の行動はあなたへの裏切りなのでしょうか。

あなたの観念とは違うかもしれませんが、彼には彼の観念があるといえるのかもしれませんよね。それはもしかしたら、「大切な人が体調が悪いときは、とにかくそっとしておいてあげるべき」かもしれません。

彼自身が具合悪いときに「大丈夫?」「なにか欲しいものない?」などと関わられるのが苦手で、とにかく放っておいてほしい人なのかもしれません。そのためあなたが風邪を引いたと聞いて、とにかく放っておいてあげなければと思ったのかもしれません。

もしそうだとしたら、彼の行動は、実はあなたへの愛だったのかもしれないのですね。

自分の観念に執着していると、相手の愛に気づけないことがあるのです。

・おかしいぞと思っても我慢してしまう

相手が自分の観念と異なる言動をしたときに感じる「おかしい」という思いは、優しい人ほど我慢して飲み込んでしまうかもしれません。

こんなことで怒ってもナンだ、とか、まぁいいか、とか、そのひとつひとつは些細なことだと感じて我慢してしまうかもしれません。
そんな我慢が積もり積もって、「もう無理!」などと怒りが爆発することがあるのです。
怒りを爆発させたくない人なら、この人とは距離を置きたいと感じるかもしれません。

◇相手を嫌になってしまう恋愛から脱却するための対処法

相手を嫌になってしまう恋愛から脱却したいならば、以下の対処法をためしてみることをおすすめします。

・イラっとしたときに、気づく

まずは、小さくイラっとしたときに、「今イラっとした」と気づいてみましょう。
こんなことでイラっとしちゃいけないなど、自分を律する必要はありません。感じてはいけない感情はありませんからね。

・イラッとした背景にある「こうすべき」をさがす

イラっとしたことに気づけたら、そのイラっとした気持ちの裏にあるかもしれない「こうすべき」という思いを探してみましょう。

どんな観念があるからイラっとしたのかな、と自分に聞いてみるといいでしょう。

・その観念について、話してみる

あなたの「こうすべき」という思い(観念)について、パートナーと話してみましょう。

「私の観念はこう」と分かち合おうとする思いと、「あなたの観念はどうなの?」と相手を理解しようとする思いの両方を大切にしてみてくださいね。

◇ 相手を好きでいつづける秘訣は、我慢せずに話して、すり合わせることです

相手を好きでいつづける秘訣は、我慢せずに話して、すり合わせることです。

我慢しないというのは、相手に悪い態度をとったり喧嘩ごしになったりすることではないのですね。
自分の観念を相手に押し付けず、丁寧に伝えることです。

その上ですり合わせるというのは、相手の観念を教えてもらい、それを否定せず、そういう考え方もあったのかなどと視野を広げていくことともいえます。それは相手の愛を見つけていく作業とも言えるのではないでしょうか。

パートナーに自分の観念を伝えにくいと感じるならば、まず友だちやカウンセラーなどに話してみてもいいかもしれません。

自分がどんな思い込みをしているのかを人に話すことは、「こうすべき」という思いを緩めたり手放したりするきっかけにもなりますよ。

恋愛を、どうせ嫌いになるとあきらめるのではなく、お互いの愛を見つけていく希望に満ちたものと感じられますよう、応援していますね。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。 「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。