〜ふたりの意味〜

僕が若い頃、周りの叔母さまたちがよくこんなことを話してました。
 「結婚したら「恋心」なんて無くなってしまうものよ」
 「相手に「恋」なんてしていたら、一緒に暮らしてなんかいけないわよ」(笑)
 「結局は愛なんかじゃなくてお金よね」(笑)
皆んな悲観的な口調で話されていたわけではなかったけれど、
当時の僕は、ずいぶん動揺したのを覚えています。
 「えっ結婚したら、「好き」が無くなってしまうんだ。
                        ・・・どうしよう」(笑)


今、僕はちょうどその頃の伯母たちの年齢になって、
夫婦の難しさ、一緒に生活していくことの厳しさを経験して、
なんとなく、その時の言葉が身体で解るようになりました。
恋や好きと言う気持ちだけで、夫婦をやって行けるものではない事は、
これを読んでいただいている方々も、きっと頷いておられると思います。
あの頃のように・・・、
仕事の時間も削って、二人の時間を過したり。
何をするときも、相手の気持ちを優先したり。
四六時中、相手のことを考えていたり。
一晩中、見つめ合っていたり(笑)
そんなことしていては、毎日の生活も成り立たなくなってしまいますよね。
だけど時々その頃のことを思い出しては、ちょっぴり「寂しく」もなります。
では、あの時感じていた「好き」はどこへ行ってしまったんだろう??
叔母さまたちの言葉どおり、時間とともに消えてしまったのだろうか?
安心してください。そんなことは無いです。
こころの奥の見えないところに、しまい込まれているだけです。
恥ずかしさという感情の下に、隠れている場合もありますし、
色んな経験を通して、もう傷つかないよう箱の中に収めているかも知れない。
あきらめや怒りという重たい石で、封じ込められてるかも知れません。
また慣れという感覚に、埋もれているのかも知れません。
昔から恋に行き詰まったら、「一人旅に出ろ」って言いますよね。
いろんな感情や考えに惑わされて、誰を愛しているのか解らなくなった時、
たった一人で色んな街や知らない世界の中で、そんな感情や考えが取りのぞかれて、
自分の中のシンプルな気持ちに、もう一度気付く事が出来るからなのでしょう。
自分の心の中に、いつも誰がいるのかを再認識するための旅ですよね。
夫婦にも時々、そんな作業が必要なのかも知れません。
僕たちの心の中に溜まっている感情を取り除いて、
この至ってシンプルな気持ちを、思い出すことが必要です。
普段ずっと一緒にいる夫婦が、
夫がしばらく出張で帰ってこない日があったり、
妻が子供を連れて里帰りしていたり、
こんな時も、普段感じてない感情を感じたりするものです。
わざわざそんな機会を作らなくても、
今目を閉じて、自分のこれからの人生を想像しても良いですね。
自分のこれから送る人生の最高の瞬間を想像してみてください。
仕事で大成功を収めて、喜びに満ちあふれているところ・・・
子供がオリンピックに出て、金メダルを取ったとしたら・・・
プールのある大きな大きなお家に引っ越したとしたら・・・
その時、きっと一人ではないはずです。
やっぱりパートナーと一緒に喜んでいたいと思っているでしょう。
僕は、釣りが好きだったり、料理が好きだったりしますが、
それって僕が釣ってきた魚を、一生懸命作った料理を、
誰かが「おいしい!!」って、言ってくれるから嬉しいのだと思います。
僕たちは必ず誰かと一緒に、喜びを分かち合いたい動物なのです。
最高の喜びを分かち合いたい人が、
今のパートナーでなかったり、誰も出てこなかったとしたら、
もう少し溜まった感情を掃除した方が良いかもしれません。
うちの嫁はまったく俺のことを理解していない(怒)
だんなは、全然私の話も聴かないし私に興味がないんだわ(怒)
なんて感情が詰まっていたら、こう考えて見てくださいね。
なんで、怒っていたりあきらめていたりするんだろう?って。
僕たちは欲しいと思う気持ちがあるから、
それが無いと怒ったり、あきらめたりします。
では、その感情の下の方には、
うちの嫁に、だんなに、
「一番理解して欲しい」「一番聞いて欲しい」「一番興味を持って欲しい」
って感じている訳ですよね。
そんな心の中のシンプルな気持ちに気がつくだけでも、
普段の生活が変わってきます。
また、愛し合って結ばれたとしても、
その関係が最悪の状態になる場合もあります。
別居、離婚、浮気・・・憎しみあったり、苦しめあったり、
だけど、そんな関係に陥っても、
実はパートナーは、僕たちが学ばないといけないもの一番良く見せてくれています。
昔、何かの本で読んだ事があります。
ある僧侶が人間関係で苦労ばかりで疲れきって神様に尋ねます。
「どうして私の人生に、この様な悪魔のような人間ばかり差し向けるのですか?」
神様はきっぱり一言返します。
「私は君たちの人生に、天使しか送り込んでいない」
なかなか普段、そう思えないことですが、
僕たちが一番癒すべきところ、それを見せてくれるのもパートナーと呼ぶでしょう?
もしそれぞれの目的が達成され、人生が大成功で終わりあの世で再会したとしたら、
僕たちは抱き合って「ありがとう」って言うのでしょう。
好きという感情からはじまり、
自分のもっとも癒すべきところを見せてくれる。
そして、最高の喜びを分かち合える。
それがパートナー。
それが二人の意味なのでしょう。
※吉原 直人は2007/6月でカウンセリングサービスを退会しました。

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