夫婦におけるセックスレスの男心(2)~育児中に孤独になる夫の心理~

「妻にセックスを求められなくなってしまう男心」のひとつは「育児中に放ったらかしにされた」と「拗ねてしまう」ケース。

二人だけの生活に子どもが加わることで、幸せは大きくなりますが、一方で、お互いがその責任感から余裕がなくなってしまいます。

妻は子育てに必死で、夫に意識を向ける余裕がなくなるのは当然のこと。しかし、そのことを夫に伝えるコミュニケーションしていかないと、夫は「放っておかれた」と拗ねてしまうのです。

「妻にセックスを求められなくなってしまう男心」の代表的なものは、以下の3つのケース

(1)育児中に放ったらかしにされたと「拗ねる」ケース
(2)母になった妻を「女性」と見られなくなるケース
(3)セックスを妻から拒絶された痛みから「拗ねる」ケース

今回は、(1)についてお話ししていきます。

 

(1)育児中に放ったらかしにされたと「拗ねる」ケース

今日も仕事が忙しく、残業して深夜に帰ってきた。
道路から見える我が家の窓は真っ暗。
鍵を開けて、部屋に入ると、台所には、作り置きの夕食。

電子レンジに入れて、おかずを温める。
テレビをつけ、深夜のニュース番組を観ながら、夕食を食べる。
一人でお風呂に入り、自分の部屋で寝る前に、妻と子が寝ている和室をのぞく。

育児で疲れ切って寝ている妻。
「ただいま」「お疲れさま」
そんな言葉をかけてもらえるはずもない。

ひとりで寝室に戻ってベッドに入る。
明け方、赤ちゃんの泣き声や、ミルクを作るために台所で作業する妻の物音が遠くのほうで聞こえる。
今日も、なんだか眠りが浅い。

翌朝、目覚ましとともに、起きる。身体が重い。
最近、睡眠不足で、仕事の効率も悪く、疲れやすい。
重い身体を起こして、出勤の準備をはじめる。

この夫のストーリー。
女性の方は、どう感じるでしょうか。
夫も大変なんだな、と思うでしょうか。

そうでしょうか。
腹が立ちませんか?

私は、腹が立つと思います。
この夫のストーリーには、妻の育児の大変さが、全く入っていません。

どれほど、乳児を育てる母が大変か。これほど感覚が違うと思っておいたほうがいいんですね。
腹が立って当然だと思いませんか?

でも、同じように、あなたも夫の「寂しさ」に気づいていなかったとしたら。
大切なのは、相手を責める気持ちに素直になること、そして、お互いが相手の気持ちを「わかりたくても、わからなかった」ということに気づくことです。

この夫のストーリーは、育児中の妻をもつ夫の心理をわかりやすく説明するために、私が創作したものです。
極端な例ですし、実際にはケースバイケースです。

でも、状況が違っていても、多かれ少なかれ、夫は「寂しい」「放ったらかしにされた」と感じている場合が多いんですね。

全くわかってない男性も多いのですが、頭ではわかっている男性も多い。
すると、頭では妻が育児で大変とは理解しています。

ところが、感覚がついてこないのです。

俺だって、こんなに仕事でがんばってる。
なのに「おかえり」も言ってもらえないのか。
食事も作ってくれてないのか。

頭ではどうしようもない、この感覚は、ある意味、男性特有とも言えます。

男性は「自分は仕事をがんばる。その替わりに、妻は身の回りの世話をしてくれる」というイメージを大きさは個人差があれど、みんな持っています。

「妻を理解したい」という気持ちと「放ったらかしにされるなんてひどい」という気持ちの葛藤。
この葛藤を起こしている自分を「情けない」「男として失格」という気持ちを引き起こしたりもします。

「寂しさ」は「怒り」を作り出します。
「妻への怒り」だけでなく、「自分への怒り」を感じ、しかし「妻も大変だ」と頭では考えるために、それを口に出せなくなり、自分の心の中に蓄積していくのです。

この蓄積が、妻との間の心の距離を作り出します。

子どもが産まれる前:「夫」-「妻」
子どもが産まれた後:「夫」-(いろんな怒り←寂しさ)-「妻」

間にある(いろんな怒りと寂しさ)が邪魔をして、妻を受け入れることができなくなって、セックスも遠ざかってしまう。

では、妻の心理はどうなっているのでしょう。

子どもが産まれる前:「夫」-「妻」
子どもが産まれた後:「夫」-(育児の大変さ)-「妻」

同じく、夫との間には(育児の大変さ)があるので、夫を受け入れる余裕はありませんから、セックスも遠ざかってしまいます。

ところが、夫と妻の間を隔てる感情はまるで違うもの。

妻の間にある(育児の大変さ)は、育児が一段落すると、減っていきますよね。
でも、夫の(いろんな怒りや寂しさ)は、蓄積されることはあっても、減ることはありません。

この「育児が一段落して、妻に余裕ができたとき」に気が付くのですね。
「長らくセックスをしていない」ことに。

そして、夫に近づいていくと、夫は「何を今更!」と拒絶してくる。
理由は、お互いの間を隔てているものの種類が違う、ことにあるのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

池尾 昌紀

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。