うるさい上司との関係を見直す

「ブラック企業」や「パワハラ」なんて言葉が一般的になって、上司と部下との関係にもフラットで良好な関係を求める風潮が生まれて久しい昨今。

それでも実際の職場では、上司の言葉や態度にストレスを感じているという人は少なくありません。よ

りよい職場環境を手に入れるためにも、上司との関係を良好に保つことは私たちにとって大きな関心事のひとつといえます。「あれこれうるさい上司」との関わり方について企業での人材育成にも従事しているカウンセラーがお答えします。

◎リクエストを頂きました◎
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上司から名指しで色々と言われることがあります。
威圧的な言葉も含めて言われることもあり正直ストレスです。「投影」を考えるとそれも私にあるのかなと思いますが、周りが言うには私はその上司から「なんでも言いやすい」タイプらしいのです。この「なんでも言いやすい」の心理状態ってなんでしょうか。教えて下さい。
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そもそも上司とはうるさいものである

「何度言ったらわかる?何でお前はいつもそうなんだ!」
こんな風に職場で名指しに注意される。

想像しただけで嫌な気分になってしまいますが、どんな職場にも威圧的な立場をとる上司はいるものです。

「パワハラ」という言葉が一般的になって露骨にキツイ言葉が飛び出すことは少なくなったのかもしれませんが、根本的な問題が解決しない限り、うるさい上司とそれに辟易とする部下、という構図はなかなか消えません。

では、上司との間に生まれる問題の根底にあるものは何なのでしょう?

それは「自由でいたい」私たちと、「コントロールをしたい」上司の、潜在的な戦いといえるかもしれません。

上司の言動にイライラしたり気力が萎えたり。

なぜ上司があれこれ色々うるさいのか?といえば、極論、そうすることで「部下を思うように動かそう」と考えているからであり、多くの場合彼らは、それが自身に課せられた職務だと考えていたりもします。

いっぽう私たちは、一定の経験を積んだ後はできるだけひとりで仕事をやり切りたいと考えるものです。故に、たとえそれが重要なアドバイスであったとしても上司からあれこれ言われるのは面白くない。ましてそれが威圧的な言動であったなら?もう放っといてくれよ、と言いたくもなりますよね。

人は自分の意思で動くことを望み、誰かにコントロールされることを嫌うものなのです。

「宿題やったの?」って言われると何だかやる気が無くなってしまう。

「今やろうって思ってたのに!」ってプリプリ腹を立てる。マンガのひとコマに出てきそうな場面ですが、実際私たちは誰かに指示されて動くことに少なからず抵抗を感じるものです。

上司から色々言われて感じるストレスというのはどこか、こんな親とのやりとりの中で感じる苛立たしさに似ています。

カウンセリングでは上司との関係を両親との関係になぞらえて考えることも多いのですが、いくつになっても私たちにとって親はうるさい存在であるように、上司もまた「そもそもうるさい」存在なのであって、それを理解した上で良好な関係を作っていくことが何より職場の対人関係では大切になってくるのです。

 

心の距離と「言いやすさ」

良好な対人関係を築いていくにはどうすれば良いのか?

それは私たちにとってとても大きな関心事です。

でも、そもそもどうして私たちは上司からうるさく言われるのでしょう?

そこには、目には見えない心と心の距離感が関わっているのかもしれません。

シンプルに言うと、対人関係においては「色々言いやすい距離感」というのがあって、一般的には心の距離が近い程「ものが言いやすく」、離れるほどに「言いにくくなる」ものです。上司から忌憚のない言葉を投げかけられるというのは、お互いの間に配慮すべき遠慮がないくらい近しい関係性がそこにあるということかもしれません。

「色々言われて大変」な上司との関係を見直すには、まずはそんな心と心の距離感を見直すことが大切。

ここではまず、一歩下がるやり方をおすすめしたいと思います。

関係を俯瞰する

心の距離が近い、というのは悪いことではありません。

それは親密感や信頼感・安心感を私たちに感じさせてくれます。

けれど、心の距離が近づくことでやたらと攻撃されやすくなったり、配慮のない言動にさらされやすくなるということもあります。私たちの心は、お互いの距離が近づけば近づくほど期待やコントロールも強くなるという側面を持っているからです。

それ故、心の距離が近いからといっても必ずしも関係が良いとはいえません。何だかわからないけれど腹が立つ、イライラする、というのも関係が近すぎる時に芽生えやすい感情なのです。

上司との間に適切な距離を取るにはまず、相手の期待に応えようとしすぎないこと、また相手に期待をしすぎないことが大切。

「こんなに一生懸命やっているのだから、評価されていいはず」という期待は会社員なら誰でも抱いたことがある気持ちではありますが、期待というのは、際限なく膨らむもので、膨らみすぎた期待は「期待はずれ」と常に背中合わせです。

今あなたが、上司に対して何らかの「期待」を抱いているとしたら、それはどんな期待でしょう?今あなたが、応えようと頑張りすぎていることがあるとしたら、それはどんな期待でしょう。

たとえそれがどんな期待であれ、強すぎるこだわりは執着になって相手との距離を近づけます。ここではまず、上司とは部下とは「こうあるべき」というこだわりを手放します。

実際に、一歩下がって俯瞰してみるイメージを描いてみるといいかもしれません。

心の距離感を上手にあけることができれば、あれこれうるさかった上司の言葉や態度も、必要以上に気にならなくなるのではないでしょうか?

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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