他人から関心を持ってもらえるとなんだか嬉しいと感じたことはありませんか。
例えば、部下の目線から見れば、職場で自分が担当しているお仕事に対して、上司が関心を持ってくれると言うことは、
・それだけ自分に期待を寄せてくれていると感じられる。
・自分或いは自分がやっている事が上司にとっても重要と位置づけられていると感じられる。
つまり、上司が注目しているように感じていると言う事ではないでしょうか?
言い換えれば、自分に上司の関心が集まっていると感じられると言うことではないかと思います。
・ピグマリオン効果
高い期待や関心を寄せることによって、相手のパフォーマンスが上がることをピグマリオン効果と呼びます。
例えば、 本人の異動や転職で、それまで目立たなかった人が突然能力を発揮したり、活動的になったり、目立って活躍するようになったケースを見た事は無いでしょうか?
本人の周りの環境が変わることで、それまで期待されていないと感じていたが、期待されているように感じることで、本人のパフォーマンスが上がると言う事なんですね。
・ゴーレム効果
これとは逆の事象、つまり注目されないことで、本人のパフォーマンスが落ちてしまう現象のことを「ゴーレム効果」と呼びます。
ゴーレムと言うのは、ユダヤ教の伝承などに登場する空想上の巨人のことです。
律法学者が断食や祈祷などの神聖な儀式を行った後、土をこねて人形を作り、呪文を唱え、「真理」「真実」と言う意味合いの文字を書いた羊皮紙を人形の額に貼り付けることで完成し、逆に「死」と言う意味合いの紙を貼りつけると壊れると言われています。
つまり、ゴーレムが動けるようになるかどうかは、創造者の期待するところによって定められると言うことなんですね。
このことから、周りの期待次第でパフォーマンスが下がってしまう現象をゴーレム効果と呼んでいます。
・職場では両方の現象が見られる
職場では、 ピグマリオン効果、ゴーレム効果 両方を見られるのではないでしょうか。
例えば、管理職が特定の部下に対して関心や期待を寄せなければ、結果としてその部下は
「 自分の仕事に上司は全く関心がない」
「どうでも良いと思っているんだろう」
と感じるでしょう。
その部下は自信を失うかもしれません。
あるいは、パフォーマンスも低下するのではないでしょうか。
部下から見た上司の姿が
「自分には何も期待していないと思っているのだろう」
「自分のことは全然評価してくれない=能力が低いと思っているのだろう」
と映れば、「どうせ自分なんて」と感じるかもしれません。
自分なんかどうでもいいと思うようになれば、結果として、その部下はモチベーションを失い、パフォーマンスが低下してしまうかもしれません。
・ゴーレム効果を防ぐためには
では、ゴーレム効果を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
これは、上司が部下に対して、期待していることを示してあげることが重要になります。
期待されている方は、それだけ自分の価値を認めてもらっていると感じる分だけやる気を発揮できることになります。
もちろん、大変とは思いますが、特定の部下だけを気にかけるのではなく、公平にいろいろな部下に目を配らなければならないと思います。
兄弟がいる人は、子供の頃を思い出せばわかりやすいかもしれません。
「お兄ちゃんだけずるい」
「お姉ちゃんだけずるい」
こんなことがありませんでしたか。
・厳しい言葉、承認の言葉、両方が必要
一方、部下も間違いを犯す人間ですから、ただ気にかけるだけではダメで、成長と言う意味で 時として厳しい言葉をかけなければいけない時もあるでしょう。
ただ、厳しい言葉をかけるだけではなく、良いところと改善すべきところ両方を伝えてあげる必要があると思います。
・普段からのコミュニケーションが大切
このコミュニケーションがうまくいくようにするためには、部下の上司に対する心理的距離感が離れすぎていると難しくなります。
上司をどんなふうに感じているかは、普段からのコミュニケーションに影響される部分がかなり大きいと言うことなんですね。
つまり、信頼関係が前提ということです。
「自分のことなんて、どうでもいいんだろう?」と捻くれた部下とのコミュニケーションは、簡単なことでも難しくしてしまいます。
だからこそ、ちょっとした一言を普段からかけてあげる事は、意外に大切なことではないかでしょうか。
・あなたの部下への影響力はあなたが思っている以上のもの
「頑張っているね」
「調子はどうですか」
「〇〇の件だけど、うまくいっている?」
など、上司が声をかけてあげると言う些細な行動でも、部下の目線からは全く見え方は異なります。
部下は上司であるあなたに気にかけてほしいと思っている場合もあるでしょう。
自分が思う以上に、上司のさりげない一言はそれだけ影響力があると言う事なんですよね。