自分のポジションでできることをする~子育て中の専業主婦のイライラ~

子育て中の専業主婦が、外に出て働く仕事を考えて思うようにならず、イライラすることがあります。

点数や偏差値などの数字で評価されることに慣れていると、稼ぐ金額の数字を自己評価の点数のように考えることがあります。外で働いて現金収入を得ていない自分はダメだとか、がんばりが足りないと自分を責めていると、現状の自分自身への腹立ちが原因となってイライラしてしまいます。

稼ぐ金額はひとつの数字に過ぎないと、自己評価とは切り離して考えるようにしましょう。
また、人は決めたくないことは決められないものです。仕事をしたくない理由・仕事以上にしたいことを確認しながら、自分が何を選択しているのかを認めていきましょう。

そして、自分を責めることよりも、今自分に与えられているものへの感謝に取り組むと、心に穏やかさが戻ってきます。自分を肯定していくと、イライラから解放されやすくなるでしょう。

お金が意味するもの

私達は学生時代、テストの点数や通知表といった「数値」で自分の評価や位置づけを確認するやり方を経験して育ちます。ところが、大人になって社会に出ると、自分自身の評価の仕方や位置づけが「数字」としてはっきり出にくい環境になります。

そこで、新たな数値基準として「稼ぐ金額」が登場してきます。

稼いだ金額を「評価の数値」のように思っていると、「稼げていない」ことや「現金収入を得ていない」ことが、充分な努力をしていないような気持ち、自分がサボっているような気持ちなど、自分を否定する気持ちの引き金になりやすいようです。

子育ては、ほぼ24時間無休の重労働で、立派な「お仕事」です。主婦(夫)業は、している家事を家事の代行サービス業者に依頼したとしたら、相当の金額に換算される「お仕事」です。ただし、残念なことに、子育て業も主婦(夫)業もほとんど現金収入にはつながりません。

お金を稼ぐことと自己評価を結びつけていると、大変な仕事をがんばっているのに、「稼げない自分はダメだ」と自分を責めてしまうことがあります。自分はもっとがんばれるはずなのに、がんばりが足りないように思えることもあります。

そんな自分自身への腹立ちがイライラの原因になっています。

また、自分が自分を「稼げない自分はダメだ」「がんばり不足」と思っていると、家族やご近所の人などからも、「悪く思われるのではないか」と感じやすくなります。「悪く思われる」「批判される」「嫌われる」と感じながら人に接すると、何気ない言葉や態度が否定的な意味合いに受け取りやすくなります。

そして、さらに「自分は…」と自分を追い込んで、イライラするのを繰り返していきます。

まずは、稼ぐ金額はひとつの数字に過ぎないと、お金を稼ぐことと自分の評価を切り離して考えるようにしましょう。

例えば、サッカーチームを考えてみましょう。相手ゴールにシュートして得点する選手だけが、いい選手ではありませんよね。チームの勝利のために、チームメンバーはいろいろな役割を分担し合っています。担当するポジションで全力を尽くす選手こそ、素晴らしい選手と称賛されます。

あなたはあなたのポジションで、どんな働きをしているかを見直してみましょう。たくさんの仕事を果たしているのではないでしょうか。

したいことを選択する

ご相談にあるように「仕事を探すことに踏み込めない」のは、心にあるものを翻訳すると「仕事を探さなければならないのだけれど、仕事をしたくない気持ちもある」という状態ではないかと思います。人の心では、「決めたくないことは決められない」もののようです。

まず、「仕事をしたくない理由は何?」と自分に聞いてみましょう。仕事に関して抵抗を生んでいる気持ちがあるのなら、それを癒していきましょう。

例えば、仕事に行くと「自分はいない方がいい」と感じるとか、「自分が嫌われるのではないか」と怖くなって気疲れするとか。仕事をすることのブレーキになっている気持ちがあるのなら、カウンセリングなどを利用して感じ方を変えていくといいでしょう。

次に、「仕事以上にしたいことは何?」と自分に聞いてみましょう。本当はしたいことがあるのに、世間体や常識がしたいことをする妨げになっている場合があります。仮に、子供が小さいうちは傍に居てあげたいのであれば、「子育てに集中する」という選択をしてもいいでしょう。

「決められない」と思っていると、決められない自分にイライラしますが、「自分が選んでいる」と思えるようになると、「決めていない自分」を責めなくてすむようになります。

あるいは、期間を区切って「○○までは子育てに専念する」とか、「○○になったら、仕事を決める」といったことを選択してもいいでしょう。

「自分は決められる」と自分の力を感じられると、自己肯定しやすくなるでしょう。

今与えられているものに感謝する

自分を責めるのに忙しくなっていると、与えられているものへの感謝を忘れてしまうことがあります。

例えば、自分が外で仕事をしていないことを気にしていると、夫の給料日に「申し訳ない気持ち」を感じるでしょう。素直な気持ちで「生計を支えてくれてありがとう」と言いにくくなってしまいます。

専業主婦で子育てしていることで、あなたに与えられているものを受け取っていきましょう。

子供の成長に立ち会えること、家にいる時間があるからできていること、夫の理解や協力など、あなたに何が与えられているでしょうか。

それらにあなたが感謝していくと、あなたに笑顔や穏やかさが戻ってくるでしょう。

たとえイライラすることがあったとしても、「そんな気持ちになることだってあるよね」と自分の気持ちを否定せずに認めていきましょう。自分を責めるのをやめられたら、イライラから解放されていくでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大塚 統子

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。