相手に届くコミュニケーション 〜優位感覚の違いから〜

あなたは何派?コミュニケーションで優先している3つの感覚

一生懸命に伝えているのに、なぜかうまく伝わらないことがありませんか?コミュニケーションで優先して使う感覚は、人によって違いがあります。3つの感覚、視覚派・聴覚派・体感覚派、それぞれの傾向を解説します。自分自身や人とのコミュニケーション、情報伝達や愛情表現に役立てていきましょう。

コミュニケーションには情報の送り手と受け手がいます。送り手と受け手が似たような感覚でいたら、伝えたいことが伝わりやすいでしょう。しかし、同じことを表現しようとしても差が出たり、同じ体験をしても違う受け取り方をしたりします。

例えば、彼は彼女にプレゼントするのが愛情表現だと思っていて、会うたびにちょっとしたプレゼントをしていました。ところが、彼女は手を繋いだり抱きしめることに愛情を感じやすい人だったとします。

彼は彼なりに愛情を示しているのですが、彼女の求める愛情の形ではないわけです。そのため、彼女は自分をわかってもらえない気がしたり、さみしくなったりと、コミュニケーションのすれ違いが起きてしまうことがあります。

愛情表現でなら「こう愛したい」「こう愛されたい」を、日常のコミュニケーションなら「こう伝えたい」「こう伝えて欲しい」と、お互いの違いを理解しておけると相手に届くコミュニケーションがしやすくなるでしょう。そのひとつのヒントとして、今回は優位感覚について解説します。

●あなたは何派?

突然ですが、質問です。大好きな人から愛情表現されるとしたら、次の3つのうち、あなたはどれがいいですか?

A:百本の真っ赤なバラをもらう
B:「愛してる」と言ってもらう
C:ぎゅっと抱きしめてもらう

これは、あなたがコミュニケーションする時に、どの感覚が優位になりやすい傾向かを知る質問です。Aを選んだあなたは視覚(目に見えるもの)派、Bを選んだあなたは、聴覚(耳で聞くもの)派、Cを選んだあなたは、体感覚(視覚と聴覚以外)派です。

なお、各派に分けましたが、私たちは複合的な要素から情報を感じ取っています。だから、何派なのかがすべてではありません。自分と相手の優位感覚の傾向を知って、コミュニケーションに役立ててくださいね。

●視覚派のコミュニケーション

視覚派は、普段から「見る」「狙う」「焦点を合わせる」など、視覚に関する言葉をよく使ったりします。視覚派に情報を伝えるには、グラフや図、イメージ・映像など、視覚的な情報を示すと理解されやすいでしょう。また、色やデザインを重視する傾向があります。

例えば、父親が子供に大きなぬいぐるみをプレゼントするなど、目に見えてわかるもので愛情表現することも多いでしょう。

●聴覚派のコミュニケーション

聴覚派は、言葉や話し方を気にしますし、論理的な話を求める傾向があります。聴覚派に情報を伝えるには、話の構成を論理的にまとめる、違和感のない言葉を選ぶ、語尾まで濁さず言葉にするなど、聴覚刺激を意識して情報を示すと理解されやすいでしょう。

それから、聴覚派には音楽が好きな人も多く、雑音があると集中できなかったりします。音の環境がいい場所でのコミュニケーションもお勧めです。聴覚派の人は、「言う」「聞く」「話す」「共鳴する」「響く」など、聴覚に関する言葉や擬音語をよく使います。

●体感覚派のコミュニケーション

体感覚派は、心地良さや肌触りを重視します。「寒い」「熱い」などの形容詞や、「触れる」「感じる」などの言葉を使うことが多いです。手や体を動かして感情を表現しやすく、実際に体験することを好みます。体感覚派に情報を伝えるには、可能ならお試し体験を提供してみるなどの方法もいいでしょう。

体感覚派が愛情を感じやすいのはスキンシップです。手を繋いだり、ハグしたりして愛情を確認することが多いでしょう。パートナーのどちらかが体感覚派の場合、日常的にスキンシップするようにすると、体感覚派側の心が満たされて良好な関係が続きやすいでしょう。

●自分自身を理解する

あなたの優位感覚は何派だったでしょうか?自分自身を知れば、具体的に「〇〇してもらえると嬉しい」とリクエストすることも、「〇〇していただけませんか?」とお願いすることもしやすくなるでしょう。

わかりやすい人になればなるほど、わかってもらいやすくなります。「わかってほしい」と望むなら、わかりやすい伝え方を工夫してみてもいいのかもしれません。

●相手への興味と理解を

あなたがコミュニケーションしたい相手の優位感覚は何派だったでしょうか?どんな言葉を多く話し、どんなことを気にする人でしょうか?相手側の「こう伝えて欲しい」「こう愛されたい」に気がつけると、相手に届くコミュニケーションがしやすくなるでしょう。

繰り返しになりますが、どの感覚が優位なのかは、自分自身や相手を知るひとつの材料にすぎません。本質的には、相手に興味を持ち、相手を理解しようとしていることが相手に伝わっていると、相手の心に届くコミュニケーションになりやすいようです。

人によって強弱はありますが、誰の心にも「わかってほしい」という思いがあります。その「わかってほしい」に反応するのがコミュニケーションの極意になるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。