相手の気持ちにぐっと近づくテクニック

本当はただ、恥ずかしがり屋さんであっただけ?

こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
旅行の夜などに、友達同士で集まって、誰のことをいちばん好きだと思っているかというような話で盛り上がったりしたことはないでしょうか?
「私も誰のことが好きなのか喋るから、あなたも喋りなさいよ」というふうな会話をすると、秘密を共有した度合だけ、親密感が強くなるということがよくあります。
心理学的には自分のことを正直に打ち明けることを「自己開示」といいますが、自己開示をすると、相手から好感をもたれるとともに、自己開示された側の人は、自分もオープンになって自己開示をしようとする意志が働きます。
このことを「自己開示の返報性」といいます。
感じの悪い人はいつも自分のことを話さずに一方的に相手から情報を聞き出そうとしますが、そうなると、おたがいに対等であるという感覚がなくなり、なにか相手に自分の弱味を一方的につかまれてしまったと感じ、そのうち、「あなたはどうなのよ!?」というふうに攻撃の的にされてしまったりします。
もし、誰かと親しくなろうと思ったら、最初に自分の話をしてあげたほうがいいかもしれませんね。
あなたが相手から聞きたいと思っているジャンルの話をあなたの方から話してみましょう。
もし、仕事に関する情報を聞きたければ、あなたが自分の仕事についての話をしてみてください。そうすると、あなたが心を開いた度合だけ、相手もあなたに心を開きやすくなり、フランクに喋りやすくなるはずです。
よくビジネスの現場では、ビジネスとプライベートを切り離している人も多いのですが、もし、あなたが一切、プライベートのことをすべて秘密にしてしまうと、まわりからは「ミスター・クエスチョン」や「ミス・クエスチョン」と呼ばれてしまうことになります。
もし仮に「あなたのお子さんは5歳だったわね。うちにも着なくなった子供服があるんだけど、使ってみる?」などのような会話ができれば、親密感はとても強まります。
あなたがセールスマンだとして、一方的に自分の子供の話をするのはちょっと考え物ですが、子供がいるお客さんとの会話の中で「いやあ、うちにも8歳と6歳の子供がいましてね」というのは、自然な会話で、かつ、「同じような苦労があるのね」とか「共通の生活をもっているんだわ」と共感を作れます。
心理学では、「類似性の要因」と呼ばれていますが、人間関係では趣味や生活習慣、思考などが似ているものどおしのつながりがもっとも親しくなりやすい関係といわれています。
もし、仮に、お客さんの家に絵画が多かったら、「絵がお好きなんですか?私も絵を描くんですよ」などと会話ができるだけで親密感は上がります。
人間は無意識的に絶えず相手がどのような人なのかを警戒していますので、あなたがどんな人なのか、あなたのことを伝え、自分を開示することで、相手の警戒感を取り払わないと親密感はなかなか作れないのです。
仕事がらみというよりも、別にプライベートな関係から仕事一緒にする関係になることもとても多いのです。
私たちの主催する講習会などで、よく初めての人同士の壁をとりたいときによく「あなたの人生であった、とても恥ずかしかった経験を喋り合ってください」という実習をすることがあります。
もちろんこれは、あなたの喋れる範囲のことでかまわないのですが、そうするとしばらくその実習を見ていると、おたがいに手を叩き合ってケラケラと笑いあいながら、どんどん二人が打ち解けて行く様子がみられます。
とくに親密感があまり強くない関係性のなかでは、この恥ずかしいジャンルの話を共通の話題にすると、とても打ち解けていくことがあるのです。
では、なぜこの「恥ずかしい」と感じるジャンルの話題は親密感を強めるのでしょうか?
私たちは子供のころ、親のことがとても大好きで、いつも親のまわりにまとわりついています。ところが小学校の高学年から中学生頃になると、反抗期と呼ばれる時代に入り、親を遠ざけようとします。
これは、われわれが大人に自立するときに必ず通る道のりなのですが、このころになると、自分の部屋が欲しくなったり、自分の大人になっていく部分を隠そうとしていきます。
このころにお父さんが娘に「おまえも胸が大きくなってきたなぁ」なんてことを言われると、もう、一生お父さんと口を聞きたくないぐらい嫌いになってしまうかもしれません。
この時代、われわれは「恥ずかしい」という感情が、大好きだった親との間に芽生え、恥ずかしさを使ってわれわれは親と距離をとっていくのです。
当然、親と心の距離ができた度合だけ、われわれはこんどは男女関係、異性への興味が芽生え始め、異性に近づいていきたくなるわけです。
ところが、異性に近づいていこうとしたときに、こんどはまた、異性と自分との間にある「恥ずかしさ」の層に入っていきます。
異性に近づいていこうと思えば、まず「好きだ」という気持ちを告白しなければなりませんが、これはとても恥ずかしいことですよね。
それに、おつきあいが始まって、より親密になっていこうとすればするほど、感情面では「恥ずかしさ」に打ち勝っていく必要があります。
初めて手を握ろうとすることや、初めてキスしようとする時に、どれだけ恥ずかしさがあるか思い出してみてください。
このように、どこかで男女関係だけではなく、人と親密になろうとするときに、恥ずかしさがあなたの最大の敵になるわけです。
もし、あなたが対人関係が苦手であるならば、どこかであなたは恥ずかしがり屋さんではないでしょうか?
恥ずかしいという感情を、もし、抑圧してしまえば、何か自分自身が「恥」になってしまったように感じるものです。
人によれば、自分は「家族の恥」だと誤解したり、「会社の恥」だと思ってしまい、そう思ってしまうことによって、自分を開示する代わりに自分のことを隠してしまい、そして、それがひいては人のなかで、まるで自分が隠れたような存在になってしまっている人もとても多いのです。
そのようなケースを私はとてもカウンセリングしてきましたが、本当はただ、恥ずかしがり屋さんであっただけなのに・・・。
ですから、どこかで自分のほうからこのような恥ずかしい経験をした話題をあえてしてみると、あなたが解放され、とても人との関係で急速に親密になれたりするわけです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!
この記事を書いたカウンセラー

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神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。