1人で仕事を背負ってしまう癖の直し方

1人で仕事を背負ってしまう方がいます。

いつも残業になってしまうけど、今日は久しぶりに早く帰ってゆっくりしようと思っていたのに。

あともう少しで定時というときに、同僚が「仕事が終わらないんだけど、今日、旦那の誕生日だから帰りたいんだ…」と言ってきた。
その仕事がわかるのは、彼女と私だけ。

そうか。旦那さんのお誕生日なんだ…。
あの資料は明日の会議で使うんだよな。
私は特に用があるわけではないし…やっておいてあげるしかないか。

仕方なく、いったん閉じたパソコンをまた開いて、なるべく笑顔で同僚に言う。
「私がやっておくから、早く帰っていいよ。」

そういえば、いつもこういうパターンになるよなあと思う。
難しいプロジェクトだと必ず自分がメンバーに入れられてしまうし、癖の強い厄介な新人の面倒を見させられるのは、いつも自分だ。
やんわり断っても押し付けられてしまって、「仕事ができる!」なんてほめられても、お世辞にしか聞こえないので嬉しくない。
「自分ばっかりやってる」という思いがいつも心のどこかにある。

こんな方、いそうではありませんか?

とても良い方ですよね。
「あなたの仕事でしょ」などと言わずに笑顔でやってあげる。
明日の会議のためも考えているし、責任感もあって真面目です。

そう。たいがい、1人で仕事を背負ってしまう方というのは、優しくて真面目なのです。
そして、ご自分のことを「要領悪いんだよなあ…」と、責めていたりします。

でも我慢して引き受けていると、だんだん苦しくなっていくんですよね。
苦しくなれば、まだ気が付くのですが、良くないパターンとして、身体に限界サインが出てしまったりすると、もうがんばりたくてもがんばれなくなります。

そうすると、もっとご自分を責めてしまったりするんですよね。
「やっぱり自分はだめなんだ」なんていう風に。

でも、それはだめなんじゃなくて、ただ、限界を超えてしまっているだけなんです。
限界を超えたら、誰でも本来のチカラなんて出せません。

なんだか毎日が楽しくない。仕事が楽しくない。生きてることが楽しくない。
そういう方は、それが心の限界サインであることが多いです。

心の限界サインに気が付くこと。
それが1人で仕事を背負ってしまう癖を直すための第一歩です。

ああ、なんだか毎日が楽しくないなあと思ったら、いったんがんばっていることをお休みできると良いですね。

そして自分がほっとできる時間を持つことをお勧めします。

お気に入りのバスソルトを入れたお風呂にゆっくり入るとか。
公園でベンチに座って、鳥が鳴いているのを聞くとか。

やったことのないリラックス法を試すと、ちょっとわくわくしたりもします。

気になっていたけど入ったことがない喫茶店に入って、ゆっくりコーヒーを飲むとか。
今まで降りたことのない駅で降りて、ちょっと散歩してみるとか。

カウンセリングでセラピーを受けるのも大変オススメです。

セラピーというのはいろいろな方法がありますが、私がカウンセリングを受けたときに、1人でがんばる癖を直すためにとても良かったと思ったものがあります。
音楽を聴きながら、カウンセラーの誘導でいろいろなイメージをしていくものだったのですが、「ああ、こういうことか」と理屈抜きで腑に落ちて楽になったのです。

それは、大きなたくさんの荷物を背負って階段を上がっていき、そこで待っていたたくさんの人たちに、自分の荷物を少しづつ分けていくというものでした。

荷物を背負って階段を上がっていくときは1人ぼっちで苦しいのですが、たくさんの人たちに荷物を分けていくと、少しづつ少しづつ荷物が軽くなっていく感じがしました。
そして意外なことに、荷物を分けてもらった人たちが「ありがとう」と笑顔を見せてくれるのです。

今まで「誰も一緒に背負ってくれない」と思っていたけれど、それは違うんだなと思いました。

ほんの少しづつ大勢に分ければ、自分の「持たせてごめんね」という気持ちも少しで済み、相手の負担も少しで済むんだな。
そして荷物を分け持ってくれた人は「苦しむあなたを見たくないんだよ。軽くしてあげられたらうれしいんだよ。」と思ってくれているんだなと感じました。

そう感じると、世界が思っていたより優しいものに変化したような気がしましたし、1人で背負わなくていいんだと心から思えたのです。

コツは「全部を誰かに助けてもらう」ことではなくて、「自分から大勢に少しづつ分ける」ことです。

あなたの荷物が軽くなりますように。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

離婚やハードワークによる鬱、親の介護など、さまざまな経験をしてから心理学を学び、【心が変われば、いつからでも人生は変えられる】ことを体験した。企業の人事や人材サービス会社など、人に関わる仕事歴30年。その人らしさを大切にし、新しい希望を見出すためのサポートをモットーにしている。