聞くことから始めよう

判断する前にパートナーに聞かれたほうがよいでしょう

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

心理学用語で“判断”というのですが、一つの出来事をどのような意味としてとらえるかは人それぞれです。

ある人が愛情表現の意味でしたことが、パートナーにはまったく違う意味としてとらえられることもあるわけです。

昔、九州で生まれ育った、ある女性のクライアントがいました。

彼女は、「男子厨房に入るべからず」という格言そのもののような家に育ち、そして、おばあさんやおかあさんからは、「だんなさまを台所に入らせるようなことがあっては、女の恥です」と言われてきました。

このメルマガを読んでいる方の大半が、「いまどき、そんなおうちが‥‥?」と思われるかもしれませんが、田舎にいくと意外とこういう家は存在しているのです。

彼女は東京に仕事で出てきて、そして、いまのだんなさまと出会い、結婚したわけですが、そのだんなさまというのが、平気で料理も作れば、食後の皿洗いもしてくれるというタイプなのです。

一般的に考えれば、「とてもよいだんなさまじゃない」で終わる話でしょう。

しかし、彼女はこのだんなさまの好意を、こんなふうにとらえました。

「たしかに、私は料理があまり得意じゃないし、片付けだって要領が悪い。だから、彼は私に当てつけのつもりでそうするんだ」。

事実、彼女は料理があまり得意ではなく、それはそれで仕方がないと思っていましたし、だんなさまが料理や皿洗いをしてくれるのは、実際問題として、助かるのは助かると思っていました。

が、それと同時に、自分自身のことを「とても情けない女だ」ととらえていたわけです。

そして、ある日、夫婦ゲンカをしたとき、「どうせ私なんか、料理一つ、後片付け一つできない女だから!」と大爆発をしてしまったのです。

このとき、ご主人ははじめて、彼女がどう感じているかを理解しました。

もちろん、ご主人はよかれと思ってしていたわけで、彼女のような考え方をするとは想像すらしていなかったわけです。

ほかにも、こんな例があります。ある、女子中、女子校、女子大と進んだ、とてもウブなお嬢様育ちの女性がいました。

彼女は、誤解からなのですが、結婚したら、セックスは毎晩するものだとなぜか思っていたのです。

新婚時代は、だんなさまもできるかぎりがんばってくれたのですが、それでも1週間に何度かはお休みの日があります。

その程度なら、「仕事で疲れているから」とか「体調が悪いから」ということで、彼女も理解していました。

しかし、その後、3日に1回が1週間に1回に減ったころには、「やはり女として、私はもう魅力がなくなったんだ」とか「だんなさまはもう私に飽きてしまったんだ」と思い込むようになりました。

そして、恥ずかしがり屋の彼女はそんなことは誰にも話せずにいて、私どもの恋愛心理学講座に来るまで、「自分は週に1度程度しかだんなさまに愛してもらえない、魅力のぜんぜんない女性だ」と思い込んでいらっしゃったのです。

だんなさまはたぶん、「自分たちはなんの問題もない、ごく普通の夫婦だ」と思い込んでいらっしゃっただろうと思います。

その後、奥さまが勇気をもって、この話を彼にしたところ、「それを愛というのであれば、僕の愛はまだまだちっぽけだ」と笑っていらっしゃったそうですが‥‥。

とにかく、人それぞれ、生い立ちや生活環境、ものごとの見方や考え方はすべて違います。

男女関係でも、表面的に一致していると見えることであったとしても、「きっとこういうことだろう」とあなた自身で判断すべきではありません。

判断する前に、「なぜなの?」とか「どうして、そうするの?」とパートナーに聞かれたほうがよいでしょう。

最近、『秘密のケンミンSHOW』というテレビ番組があり、地域地域でまったく常識が違うということをおもしろおかしく取り上げていますが、じつは男女関係もまったく同じなのです。

そして、どちらのやり方が正しいかということでケンカするよりも、その違いを楽しめるようになることこそが、パートナーシップの魅力ではないでしょうか。

みなさんが海外旅行に行かれたとき、その地元の食べ物や生活習慣を体験することが旅の楽しみとなるように、パートナーシップでも、いろいろな違いを楽しめる力こそが必要となります。

変化というものを恐れるのではなく、楽しみに変えることこそがいちばんの術といえます。

パートナーとあなたの違いは、ケンカのタネにもなりますが、じつはその違いこそが魅力になるのですから。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。