バランスよく物事の原因を見つめよう 〜自分にがっかりしたときの処方箋〜

バランスよく物事や原因を見つめることは大切です

僕たちはなにかに失敗したり、思うような結果が出なかったとき「自分はダメだ」と強く思い込んでしまうことがあるようです。特に、自分の才能や魅力を否定的に見過ぎたり、物事の失敗の原因を自分の才能や能力の部分にばかり求めると「もう何をしてもムダだ」というあきらめの気持ちが強くなっていくものなんですよね。そこで今回は自分にがっかりしたときの処方箋として、上手な自分操縦術とその方法について考えていきます。

これはいわゆる挫折感と呼ばれるものですが、なにかに失敗したり、思うような結果が出なかったとき「自分はダメだ」と強く思い込んでしまうことがあるようです。

特に、自分の才能や魅力を否定的に見過ぎたり、物事の失敗の原因を自分の才能や能力の部分にばかり求めると「もう何をしてもムダだ」というあきらめの気持ちが強くなっていくものなんですよね。

今日はそのあたりの心理について少し解説しながら、自分にがっかりしたときの処方箋についてまとめたいと思います。

○原因帰属の考え方

心理学の中で「原因帰属」という言葉が使われることがあります。

これは「ある結果の原因を推測・判断すること」です。
要は「今起きた物事の結果、その原因をどこに求めるか」ということです。

この「原因をどこに求めるか」が自分自身の行動やモチベーションに影響を与えるのです。

例えば、テストがうまくいかなかった理由を「自分には無理だったんだ」と自分(能力や才能)ばかり否定する人もいます。

一方で「きっと自身の努力が足りなかったんだな」と考えている人もいるでしょう。

この違いで次のテストに向かうモチベーションは変わってくると言えるわけです。

例えば「自分の努力が足りない」と感じるならば、一時はつらい思いを抱えるでしょうが、その後で「努力次第で良い点数が取れるかも」と思いやすくなるとも言えます。

逆に、自分の能力や才能ばかりにうまく行かないことの原因を求めると「勉強してもどうにもならないんだ」と思いやすくなってしまいます。

このように僕たちは自分自身で「物事の結果に対する原因」を探し、それ次第で自分の気持ちや物の見方が変わっているとも言えるのです。

○もし自分の才能や魅力に失敗の原因を求めすぎているとしたら

このようなことは何もテストなどの課題を前にしたときに起きるわけではありません。

仕事、お金、恋愛、家族関係、対人関係、さまざまな出来事の中で起きる物事の結果に対して、自分自身で原因を推測しているものなのです。

また、特に、うまく結果が出なかった出来事の原因を、自分自身の才能、魅力、あり方などばかりに求めてしまうと、生きづらさを感じやすくなると言われています。

具体的にはこのようなケースがそれにあたります。(以下は架空の事例とお考えください。)

・事例

Gくんは身長が低い男性で、昔から背が低いことをずっと気にしていました。

子供の頃は大人に可愛がってもらえたこともあったけれど、どこか背が高い男性を見ると羨ましく思っていました。

大人になってからもその意識は消えず「背が小さい僕が女の子に積極的に好かれるはずがない」と思い込んでいたのです。

そんなGくんに彼女ができたときのこと。Gくんは彼女のことを大好きだったのですが、同時に強い不安をいだきます。

「彼女がどうして僕を好きになってくれたのか分からない。背が低い僕とどうして付き合っているのだろう。もしかすると彼女はそんなに僕のことを好きじゃないのかもしれない。」

背が低いこと理由にGくんは愛されないと思い、その考えが正しいと思いこんでいたのです。

それからGくんは(彼女のことが大好きなのですが)、彼女の様子をうかがい、どこか彼女を警戒したり、積極的に関わろうとしなくなりました。

この状況を不思議に思ったのは彼女の方。ある日を境に急に態度が変わったGくんを見て、次第に彼女も「私と付き合っていても楽しくないのかも」と不安を覚えるようになりました。

あるとき彼女はGくんに聞きます。「私と一緒にいても楽しくない?」

その言葉を聞いたGくんは自分が彼女の前で楽しそうにしていない事実はすっかり忘れ、彼女の言葉を「彼女は僕と一緒にいても楽しくないからそう聞いているんだ」と解釈してしまったのです。

○物事がうまくいかない理由は一つじゃない

僕たちは成功と失敗を繰り返しながら生きています。

また、なにか失敗を経験したり、愛されないだとか、必要とされないと感じるときがあったとして、その原因は一つではないことが多いのです。

が、つい「自分が〇〇だからうまく行かなかったんだ」と強く思い込むことがあるようです。

失敗の原因を多角的に分析して推測するのではなく、いわば考えグセのように「きっとこうだ」という推測を確信のように感じることもあるようです。

先に書いたGくんの例は架空の話ですが、Gくんも「背が低い自分は愛されない」という推論を疑うことはなかったのでしょう。だから、彼女が愛してくれていることや、彼女が寂しがっていた事実に気づけなくなってしまったわけです。

このようなときほど、「物事がうまくいかない理由は一つじゃない」と思えるといいんですよね。(成功した理由も一つじゃないことが多いですね)

○結果の原因は少なくとも4つの要素に分けて考えてみる

実際のカウンセリングの中でも「私は〇〇だから恋愛がうまくいかない」「自分は△△だから仕事で必要とされない」といったお声を伺うことがあります。

もちろんそのお声はお声として大切に伺わせていただいているんです。

ただ、一つのご提案として「物事の原因を想像するなら、少なくともこの4つに分けて考えてみてはいかがでしょう?」とお伝えすることがあるんです。

その4つの要素とは「自分の才能」「自分の努力」「向き合っている問題の難易度」「運」。

少なくともこの4つの要因に分けて物事を考えることで、バランスよく現状を見ることが可能になってきます。

・自分の才能や魅力、自分に備わる要素の価値をちゃんと見ているか。
・自分の努力は十分だったか。それとも本当はまだ頑張れたのか。
・今向き合っている事実(課題や環境)の状態(難易度)はどうか。
・運やタイミングも関係していると考えてみることもできるのではないか。

どの要素に極端に原因を求めてもバランスが悪くなるんですよね。

特に自分に才能がないからダメという極端な発想はバランスを欠きやすいです。

もし、結果の原因を自分の才能に返しすぎてしまうなら、もう少しバランスよく物事を見る視点を意識されてみてもいいのではないでしょうか。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。